加計学園獣医学部が入試で韓国人受験生を全員0点にする国籍差別! 前川喜平元文科次官は「事実なら私学助成を打ち切るべき」

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加計学園HPより


「人獣共通感染症対策」を大義名分に安倍首相がゴリ押しで認可したにも関わらず、政府が新型コロナの調査研究を指示した9大学に含まれなかった加計学園の岡山理科大学獣医学部。あらためてそのインチキぶりが明らかになったわけだが、今度はその入試で国籍差別の不正疑惑がもちあがった。安倍首相の不正介入で新設された岡山理科大学獣医学部の2020年度入試において、意図的に韓国人を全員不合格にしていたというのだ。

 この疑惑を報じたのは、本日発売の「週刊文春」(文藝春秋)。加計学園の幹部職員が、昨年2019年11月16日に実施された推薦入試(A方式)で、韓国人受験生8名を全員0点にして不合格にしたことを告発しているのだ。

 岡山理科大の「入学試験要項」によると、このA方式(スタンダード型)は「出身高等学校の調査書(50点)」「基礎的な試問(80分2科目、各50点)」「面接(50点)」の合計200点満点の試験だと記載されている。だが、告発した加計学園幹部職員は、韓国人受験生8名は全員が面接の点数が0点だったとし、その証拠となる合否結果が記された内部文書も「週刊文春」に提供している。

 そして、掲載された文書を確認すると、たしかに「外国」受験者8名は全員「面接」の点数では0が並んでいる。しかも、なかには数学と英語の2科目の試験で46点と47点(合計93点)と満点に近い結果を出している受験生もいる。一方、合格ラインは138点だったといい、外国人受験生の評定平均値は一律35点で揃えられているというから、この受験生の場合、面接で10点でもとっていれば合格ラインにあったのだ。

 獣医学部の教授陣は「日本語でのコミュニケーション」を問題にしたと説明しているというが、設問が日本語の学科試験で満点近い結果を出しているのだから、この説明には無理がある。韓国人受験生を排除するために面接を0点にしたのではないか──そう疑われても不思議はないだろう。

 本サイトでは2017年にお伝えしたが、加計学園は獣医学部開学時の2018年度入試にあたって、韓国・ソウルで韓国人留学生向けに獣医学部の入学説明会を開催するなど積極的に韓国人受験生獲得に動き、実際、開学時には7名の韓国人が入学している。

 それがどうして、2020年度入試ではこんな不正が疑われる不自然な結果になったのか。じつはこのA方式(スタンダード型)の獣医学部獣医学科は定員21名に対し69名が出願。一般入試のセンター試験利用では定員12名に対して341名が出願し、志願倍率は20倍を超える人気となっている。つまり、是が非でも定員割れを避けなければならなかった初年度とは違って受験生を獲得することができたために、もともとの差別体質をあらわにして、韓国人を不合格にさせたのではないか──。

 だが、言うまでもなく、女性や浪人生を差別していた医学部入試と同じように、国籍を理由に不公平な採点をおこなうことは、断じて許されない差別による不正入試だ。

加計学園は、ヘイト論客のケント・ギルバートや上念司を客員教授に

 実際、前川喜平・元文科事務次官は、昨日「文春オンライン」がこの問題の先出し記事を配信したことを受けて、このようにツイートした。

〈加計学園の韓国人受験生差別が事実なら、私学助成は打ち切るべきだ。〉
〈加計学園の獣医学部の韓国人留学生枠は、国家戦略特区法が定める「国際拠点」という条件を満たす口実だった。同じく国家戦略特区でできた成田の国際医療福祉大学医学部の留学生枠を真似たものだ。加計学園は、形だけの口実すら反古にしたわけだ。〉

 国家戦略特区の条件も反故にしただけではなく、受験生差別が事実であれば私学助成金も打ち切り対象になる。前川氏はこう指摘したのだ。

 果たして、国籍差別による不正入試がおこなわれたのか。加計学園には説明が求められるが、これはやはり加計学園や理事長である加計孝太郎氏の思想と関係がある気がしてならない。

 というのも、加計氏は安倍首相の「腹心の友」だけあってゴリゴリの歴史修正主義思想の持ち主。“日本会議の別動隊”といわれる育鵬社の教科書発行の支援団体「教科書改善の会」の賛同者に名を連ね、系列の岡山理科大付属中では実際に歴史修正主義的な育鵬社の教科書を歴史と公民で採用している

 また、加計学園はケント・ギルバート氏や上念司氏を岡山理科大学の客員教授として迎え入れるという人事もおこなっている。

 ケント氏や上念氏は加計学園問題が大きく報じられると“偏向報道だ!”と騒ぎ、必死になって安倍首相と加計学園を擁護してきた。その“ご褒美”として客員教授として招かれたのだろうが、そもそもケント氏や上念氏は、加計問題にかぎらずメディアを通じて悪質なデマを流布したり、さらには排外主義を前面に打ち出し、ヘイトスピーチを連発している人物。このような人物を客員教授として採用すること自体、大学としての見識を疑わざるを得ないものだ。

加計学園獣医学部には、シラバスで参考文献のヘイト本を掲載する科目も

 さらに、開学した2018年4月には、目を疑うような信じがたい事実も発覚。それは、大学HPで公開されている講義のシラバスのなかにあった。

 この年、獣医学部では1年生を対象とした教養教育科目のひとつに柳井徳磨氏による「現代人の科学A」という科目があり、シラバスには〈現代科学の到達した自然観の全体的な枠組みを伝える〉ことを目的とする講義だと記載されていた。しかし、この講義の「教科書」「参考書」として挙げられていたもののなかには、中国・韓国・モンゴルヘイト本を多数出版している宮脇淳子氏の『日本人が教えたい新しい世界史』(徳間書店)なるヘイト本や、極右雑誌「WiLL」やヘイト本の出版で知られる出版社ワックが発行する『日本人はなぜ「小さないのち」に感動するのか』(呉善花)などという「日本スゴイ」本が挙げられていたのだ。

 一体どのあたりが「現代人の科学」なのかさっぱり意味がわからないが、さらには、性的マイノリティに対する下劣な差別や伊藤詩織さんへの攻撃でも知られる小川榮太郎氏が“森友・加計学園問題は朝日とNHKが共犯のうえで「創作」した”なる陰謀論的分析を開陳した『徹底検証「森友・加計事件」――朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』(飛鳥新社)を「参考書」として挙げていた始末だった。

 そもそも、加計学園獣医学部の新設には「深刻な四国の獣医師不足を解消するため」という大義名分もあったというのに、2020年度入試では四国で獣医師になることを希望する「四国枠」合格者がなんと0名だったことも判明している。この事実だけでも獣医学部新設を認めた「前提条件」そのものを揺るがす事態だが、挙げ句、飛び出した国籍差別による不正入試疑惑。加計学園はもちろん、安倍首相もこの問題に対し、しっかりと説明する責任があるのは言うまでもない。

最終更新:2020.03.05 02:29

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