柴山文科相が入試改革を批判した現役高校生を晒し上げ公選法違反と恫喝!「学校の昼休みに政治の話」とツイートしただけで

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高校生を恫喝した柴山文科相Twitter


 先月、「街頭演説でヤジを発することは権利として保障されていない」などと発言し、憲法に保障された「表現の自由」に対するあからさまな弾圧を正当化したばかりの柴山昌彦文科相が、またも唖然とするような行動をして物議を醸している。なんと、現役高校生が政策批判をし、「学校の昼休みに政治の話をしたりしていた」とツイートしただけで、これを晒しあげて、恫喝したのだ。

 高校生が批判したのは、現在、文科省が2021年1月よりセンター試験を廃止して導入予定の「大学入試共通テスト」。これには高校生や教員を含む多くの人びとから批判が殺到しているのだが、その理由のひとつが英語に民間検定試験を活用することで、準備不足にくわえ受験生全員が公平に受けられるのか疑問視されている。

 ところが、柴山文科相がTwitterで6日に〈この度、英検が正式に加わりました〉などと投稿。受験生の不安が広がっているのに見切り発車で強行しようとする柴山文科相のこの姿勢に、当然、非難の声があがり、ツイートには多くの批判コメントがついた。

 そのなかで、私立高校で英語を教えているという教員がこの民間英語試験導入の問題点をコメントしたところ、この高校生がこう応じた。

〈私は現在高3です。志望している大学に受からなければ浪人する予定です。受けるかどうかもわからない予約に3000円払ってくれなんてそれも落ちる前提で話すことが親に申し訳ないし、これを知らない高3生はどうなるのか、不安要素が多すぎます。〉

 教員はこれを受けて、〈せめて、次の選挙ではこの政策を進めている安倍政権に絶対投票しないように周囲の高校生の皆さんにご宣伝ください。受験の成功をお祈りします〉とエール。すると、高校生はこう続けた。

〈はい。本当に。
私の通う高校では前回の参院選の際も昼食の時間に政治の話をしていたりしていたのできちんと自分で考えて投票してくれると信じています。
もちろん今の政権の問題はたくさん話しました。笑〉

 これに、教員が〈今回の民間試験制度の問題点を生徒、保護者の前でクソミソに言って、文科省そして現政権に嫌悪感を持つように洗脳していきます!〉と、冗談交じりに応じ、やりとりは終わった。

 教員の言葉は少し「露悪的でらしくない」ところもあるが、基本的にはお互い面識のない教員と高校生がSNS上で、民間英語試験導入という政策への批判で一致し、冗談も交えながらエールを交換しただけの話。ところが、柴山文科相はまず教員を批判した後、この高校生の“学校の昼休みに政治の話をしたりしていた”という投稿を非公式リツイートのかたちで引用し、こうコメントしたのだ。

〈こうした行為は適切でしょうか?〉

 高校生が昼休みに政治の話をすることには何の違法性もないどころか、文科省も選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたことで主権者教育の推進を打ち出している。だというのに、柴山文科相は「不適切」であるかのように疑義を呈したのである。

 そもそも、ひとりの高校生の投稿を文科大臣が吊るし上げるようなかたちで非難する行為こそ、常識的に考えて「不適切」であり異常と言うほかないが、柴山文科相がこうして高校生の投稿に噛み付いたのは、〈今の政権の問題はたくさん話しました〉と記述していたからだろう。ようするに柴山文科相は、高校生が昼休みに安倍政権の問題点について語り合うことを「不適切」だと言っているのだ。

ネット上で批判を受けた柴山大臣は「昼休みに政治の話」を選挙運動と決めつけ反論

 この柴山文科相の行為には当然、Twitter上で〈高校では友人同士で話をする内容まで規制されるんですか?〉〈若者の政治離れを後押しする文部科学大臣〉〈今の政権は国民に真面目に政治に向かい合われると色々と不都合だという事情が赤裸々に溢れだしている御発言ですね〉〈高校生が昼休みに話してる内容が野党批判だったら褒めるんだろ〉と非難が殺到した。

 さらに柴山文科相の高校生を恫喝したツイート問題を「WEB女性自身」が記事で取り上げると、柴山文科相は高校生と高校教員のやりとりを引き合いに出し、このように投稿したのだ。

〈学生が旬の時事問題を取り上げて議論することに何の異論もない。しかし未成年者(18歳未満に引き下げられたが高3はかなりが含まれる)の党派色を伴う選挙運動は法律上禁止されている。ここをどう考えるか、責任あるメディアはもっと慎重に取り上げるべきでないのか?〉

 柴山文科相が悪質なのは、政治活動=選挙運動と混同していることだ。公選法137条の2は《年齢満十八年未満の者は、選挙運動をすることができない》としているが、政治活動を禁じてはいない。高校生が署名やデモ、集会に参加する自由は憲法や子どもの権利条約で保障されている。ましてや、高校生が昼休みに政治の話や安倍政権に対する問題点について語り合うことが「選挙運動」に当たるはずがない。

 いや、むしろ〈未成年者の党派色を伴う選挙運動は法律上禁止されている〉と言うのなら、問題なのは、安倍自民党のCMほうだ。

 というのも、安倍自民党は先の参院選に向けた広告展開で、ダンスやBMX、落語やファッションなどさまざまな分野で世界を目指す13〜17歳の表現者たちを登場させ、その10代の若者たちの輪に安倍首相が加わり「未来をつくりたい」と宣言するというCMを流した。これは〈未成年者の党派色を伴う選挙運動〉ではないのか。

 にもかかわらず、柴山文科相は挙げ句、NHKの「ドイツの政治教育と中立性」という記事にリンクを張って、〈こうした取組みを成熟させることこそが肝要。先に述べたようなやり取りとは雲泥の差〉などと言い出したのだ。

 だが、これもブーメランとしか言いようがないものだった。NHKの記事では、こう書かれているからだ。

〈ドイツの政治教育が目指しているのは、何よりも一人ひとりが自分の意見を持つことです。意見を持たない人は、政治に主体的に参加することができません。(中略)その結論については、人権や民主主義などの憲法の理念に反しない限り、尊重される必要があります。〉
〈(ドイツでは)個々の教員も市民である以上、自分の意見を表明するのは当然であるという理解がまずあります。中立性は、厳密な意味では、学校の設置者である政府や地方公共団体に対して求められるものです。〉
〈(ドイツでも個々の教員が)自分の意見を生徒に押しつけることのないよう期待されています。とはいえ、それは教員が自分の意見を述べることを制限するものではありません。つまり、教員が授業のなかで自分の意見を述べることが生徒の意見形成を妨げるとは考えられていないということです。〉

法律違反は柴山文科相 萩生田光一の文科相就任で憲法無視、言論弾圧はますますひどく

 ようするに、これは柴山文科相が攻撃した日本の高校生と高校教員の投稿はドイツでは当然のものだとしか受け止められない記事であり、むしろ記事では“中立性が求められるのは政府”と指摘されている。つまり、高校生や高校教員からの個々の意見表明を文科大臣が「不適切」などと吊し上げした行為こそ、中立性を犯す暴挙と言うべきなのだ。

 安倍自民党の“違法CM”は棚に上げ、弁護士でありながら法律解釈を都合よく捻じ曲げ、さらには自分の暴挙を立証するような記事にリンクを張る……。柴山氏は端的に「バカ丸出し」としか言いようがないが、問題なのはこれが安倍政権の考え方であり、姿勢であるということだ。

 現に、安倍自民党は2016年の参院選公示直前に、“「子供たちを戦場に送るな」と主張することは偏向教育、特定のイデオロギーだ”と糾弾し、そのような学校や教員の情報を投稿できる“密告フォーム”を設置。さらに、自民党の木原稔・党文部科学部会長(当時)は、“密告フォーム”に寄せられた情報について「公選法違反は警察が扱う問題」などと述べ、情報の一部を警察当局に提供する考えを示した。つまり、教員が「子供たちを戦場に送るな」と言う当たり前のことすら糾弾し、選挙中であったことを盾に公選法違反として捜査対象にしようとしたのだ。

 さらに、同年12月には、自民党文部科学部会が教員の「政治的中立性」を確保すべく処分を厳格化する方向で検討を開始。朝日新聞の報道によれば、同部会は〈現状では政治的中立を逸脱しても「処分が重くない」と指摘。教育公務員特例法を改正し、罰則を科すことも検討すべきだとした〉とし、今後、〈教員免許を都道府県教委に代わって国が授与・管理する「国家免許化」や、国公私立すべてに共通する教員の理念を規定する立法措置を講じることなども議論〉していくと打ち出している。

 免許の授与だけでなく、教員の理念までをも国によって規定・管理する。これはいわば、政府にとって不都合な考えをもった教員を締め上げ、徹底的に萎縮させようとする現場介入にほかならない。今回の柴山文科相の主張はこの地続きにあるもので、「学校における政権に批判的な発言は許されない」と刷り込んで萎縮させようとするものだ。

 冒頭でも少しふれたように、柴山文科相は、先月おこなわれた埼玉県知事選の街頭演説で大学入試改革に反対してヤジを飛ばし警察に強制排除された大学生についても、Twitter上で吊し上げた上、「街頭演説でヤジを発することは権利として保障されていない」などと大臣会見で主張。さらにはTwitterでは〈13条見て下さい〉などと投稿し、わざわざ「表現の自由」と関係のない「個人の尊重」を定めた条項を持ってきて、大臣に批判の声をあげる行為は「公共の福祉」に反していると強調したが、これも安倍政権の姿勢を表したものだった。実際、「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」中止問題でも、自民党の杉田水脈議員は〈憲法第21条で保障されている表現の自由は、「公共の福祉」による制限を受けます…〉と投稿していた。

 ようするに、自分たちのヘイトや歴史修正主義発言を「表現の自由だ」と正当化しながら、市民の「表現の自由」だけを制限しようとしているのである。

 そして、今回も高校生の「昼休みに安倍政権の問題点をたくさん話した」という投稿や高校教員の投稿を「不適切」と断じ、文科大臣自ら政権批判を教育現場から封じ込め、言論統制をおこなおうとしたのである。

 明日には内閣改造がおこなわれ、柴山文科相の後任には、安倍首相の側近中の側近で極右思想の持ち主である萩生田光一・自民党幹事長代行の就任が有力視されているが、露骨な“憲法違反+言論弾圧”、教育現場に対する統制はますます強化されてゆくことは間違いないだろう。

最終更新:2019.09.10 11:54

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