安倍政権批判を潰し小川彩佳を追い出した『報ステ』の忖度チーフPがアナやスタッフにセクハラで更迭! テレ朝早河会長に責任

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チーフPがセクハラ!『報道ステーション』(公式フェイスブック)


 安倍首相の“メシ友”早河洋会長の方針で、権力批判報道への圧力が強まり、安倍政権への忖度報道や御用番組がやたら増えているテレビ朝日だが、その典型が、看板報道番組『報道ステーション』の変化だ。本サイトで度々報じてきたが、始まりは昨年7月、チーフプロデューサーが早河会長の子飼いである桐永洋氏に交代したことだった。以来、桐永チーフプロデューサーの方針で、政権批判や権力監視の報道がどんどん少なくなり、代わりに当たり障りのないスポーツニュースがメインに。さらに、9月には、ジャーナリスティックな姿勢で視聴者から支持されていた小川彩佳アナを同番組から追放。代わりに、早河会長のお気に入りである徳永有美アナをメインキャスターに抜擢した。

「その後、視聴率伸び悩みやメディアからの批判で、政治報道はやや元に戻りましたが、桐永チーフP自体は相変わらず、安倍政権を忖度し、批判報道に圧力をかけまくっていました。参院選の少し前には、現場が自民党の選挙戦略を取り上げようとしたのを潰したということもあった」(テレビ朝日政治部記者)

 ところが、その『報ステ』最高責任者で、テレ朝の安倍忖度の象徴とも言える桐永氏が突如、更迭されるという事態が起きた。言っておくが、テレ朝がジャーナリズム精神を取り戻したわけではない。なんと、桐永氏のセクハラが発覚したのだという。

 事実が発覚したのは、8月30日夕方、テレビ朝日の懲罰委員会が社内向けにこんな不可解な処分通達を出したことだった。

「社員として相応しくない行為があったことにより、就業規則に基づき、社員一人に『謹慎』の懲戒処分を行なった」

 通達は懲罰委員会によるもので、深刻な不祥事と思われたが、当該社員の名前はおろか、肩書きすら記載されていなかったため、ほとんどの社員は何のことかわからなかったらしい。

 だが、同じ日の深夜、『報道ステーション』放送後の定例反省会の最後、「当番組のチーフプロデューサーが3日間の謹慎の処分になり、異動になる」ということが報告された。それで、処分された社員が桐永チーフプロデューサーであること、そして同番組から外れることがわかったのだという。

 そして、本サイトが取材した結果、その「不適切言動」とは、アナウンサーや女性スタッフに対するセクハラであることがわかった。

「『報ステ』にも出ているアナウンサーや、以前担当していた朝の情報番組『グッド!モーニング』から『報ステ』に連れてきた複数の女性スタッフにセクハラをはたらいていたという問題のようです。何人かの被害女性がコンプライアンス室に告発して、懲罰委員会が開かれ、処分が発表になったという経緯のようです。懲罰委員会にかけられていたことからもわかるように、セクハラの内容は、性的な言葉を口にしたというレベルでなく、職権を利用した相当に悪質なものらしい」(テレビ朝日関係者)

“テレ朝のドン”早河会長が政権批判潰しのために『報ステ』に送り込んだチーフP

 テレビ朝日では昨年4月女性記者が財務省事務次官のセクハラを告発したばかり。そんななか、報道番組の最高責任者が職権を利用してセクハラをはたらいていたとは信じがたいが、桐永チーフプロデューサーをめぐっては、安倍政権の顔色をうかがっているというだけでなく、横暴さ差別性も取りざたされていた。例えば、桐永氏が7月に就任した際、こんな所信表明をしていたことが「週刊文春」に報じられた。

〈(今の報ステの)イメージは偏差値七十くらい。東大は入れるんじゃないかという感じ。偏差値五十の庶民が見た時に理解できないからチャンネルを変えちゃおうとなっちゃってる〉

 また、ネットでは、桐永氏が自身のFacebookに、丸川珠代氏とのツーショットを掲載していたことや、性暴行を告発された安倍官邸御用ジャーナリスト・山口敬之氏とFB上で「友達」になっていたという情報も拡散した。

 そう考えると、改めて問われるべきは、この桐永氏を『報ステ』チーフプロデューサーに抜擢した“テレビ朝日のドン”早河洋会長の責任だろう。冒頭でも簡単に触れたが、同局を独裁支配している早河会長はある時期から、テレ朝・放送番組審議会委員長の見城徹・幻冬舎社長を通じて、安倍首相と急接近。その意向を受けて、局内の政権批判報道潰しに動いてきた。圧力で報道を潰すのはもちろん、報道局に政権と近い人物を配置し、ジャーナリスティックな姿勢を持つスタッフや記者を次々報道から追い出す人事をおこなってきた。

 その早河氏が、『報ステ』の政権批判潰しのために送り込んだのが、桐永氏だったのである。『報ステ』のチーフPは代々、内部昇格するケースが大半で、それによって番組の基本方針を継承してきた。ところが、早河氏は朝の情報番組『グッド!モーニング』のチーフだった桐永氏を強引に“外部”から抜擢。自分の意に沿った番組作りをさせたのである。

 実際、桐永氏が『報ステ』で行ったスポーツ重視も、スポーツに力を入れてきた早河会長の意向に沿ったものだし、徳永アナの抜てきについても、他でもない桐永氏自身が「徳永アナは早河さんの意向だった」と漏らしていることをやはり「週刊文春」が報じている。

 そういう意味では、今回の桐永氏のセクハラは早河会長の安倍政権忖度人事が引き起こしたと言っても過言ではない。

被害女性が告発しても動かず「週刊文春」の取材で慌てて処分したテレビ朝日

 さらにもう一つ、気になるのが、テレビ朝日がこのセクハラを一時、もみ消そうとした疑いがあることだ。実は、桐永氏のセクハラはかなり前に告発されていた問題だという。被害を受けた女性は当初、『報ステ』の番組幹部に相談したが、口止めされただけで取り合ってもらえなかった。それで、女性たちはコンプライアンス室に訴え出たのだが、コンプライアンス室も積極的に動こうとしなかったという。

 ところが、先週の木曜日に「週刊文春」がこのセクハラ問題をキャッチ。取材に動き始めたところ、その翌日に冒頭のような懲罰委員会による処分が発表されたのだ。

「局内には、『文春が動いたから慌てて処分しただけで、もみ消すつもりだったんじゃないか』という疑心暗鬼の声が広がっています。しかも、その処分も名前や肩書きを出さず、謹慎期間はわずか3日間。降格や更迭ではなく異動という扱い。上層部の中にはこの期に及んでなお、早河会長を忖度して、桐永さんを守ろうとする動きもあるほどです」(テレビ朝日関係者)

 テレビ朝日では、最近も小川彩佳、宇賀なつみ、竹内由恵ら女性アナウンサーが次々退社していることが話題となったが、もともと女性に対するセクハラ、男尊女卑体質が根強いテレビ業界にあってテレ朝も例外ではないといわれる。しかも、それに加えて、早河会長の独裁で、「上の覚えがめでたい人間ばかりが出世しちょっとでも逆らうと飛ばされる」(テレ朝関係者)という、不公正な人事がエスカレートしている。今回の桐永プロデューサーの問題はまさに、こうしたテレビ朝日の体質が生み出したものなのだ。

 そういう意味では、今回の問題をたんに桐永プロデューサー個人の問題に終わらせてはならない。テレビ朝日という組織と上層部の責任を徹底的に追及すべきだろう。

最終更新:2019.09.01 07:40

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