『バイキング』が加計学園・日大・至学館を徹底比較!いちばん酷いのはどこ?という問いに、坂上忍、土田、東国原は…

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フジテレビHPより

 大阪北部地震の混乱に便乗した“火事場泥棒会見”を急遽開催するという前代未聞のゲスっぷりを晒した加計孝太郎理事長による記者会見から、きょうで1週間。しかし、ワイドショーは日本大学アメフト部や至学館大学パワハラ問題は引きつづき連日のように伝えているというのに、なぜか加計会見はまったく盛り上がっていない。

 しかし、そんななかで気を吐くように、加計問題を扱った番組があった。22日放送の『バイキング』(フジテレビ)だ。

 この日の『バイキング』では、日大の田中英壽理事長や至学館大学の谷岡郁子学長の対応を振り返り、最近立てつづけに起こった大学の不祥事を紹介。ここまではほかのワイドショーと変わらないもので、どうせ『バイキング』も日大と至学館大学を批判して終わるのだろう……と諦めていたそのとき、MCの坂上忍が「そんななかで、ついに、あの教育機関トップの方が、会見をどさくさにされたようですね」と前振りし、“ラスボス”として加計理事長の会見を紹介したのだった。

 ご存じの通り、加計理事長は会見で、安倍首相が「獣医大学いいね」と太鼓判を押した2015年2月25日の面談について、「記録にも記憶にもない」という理由で否定し、「渡邉(良人)事務局長が勝手にやったという認識か?」という記者からの質問に「はい。そうです」と即答。そして、「虚偽の発言といえば虚偽の発言だと思うが、あくまでも前に進めるため」だと説明した。

 こうした加計理事長の発言をVTRで紹介すると、坂上は「この理屈が通ったら何でもアリだと思いますけどね」と呆れ顔。それはその通りだろう。なにせ、「前に進めるため」に嘘をつくのは仕方がない、と加計理事長は言っているようなものだからだ。

 なかでも怒りを露わにしたのは、曜日レギュラーの東国原英夫だ。加計理事長は会見を開かなかった理由を「我々は一貫した態度としては、非常に謙虚な態度でやりたいと思っていたので、そういうことでお許しをいただきたい」と述べたが、これに東国原は「全然意味がわからない」「謙虚だったら記者会見しろよという話でしょ」と一刀両断。さらに、「(獣医学部を)設置するために堂々と嘘を言っていいんだよという教育機関なんですよ、加計学園というところは」と語気を強めると、こうつづけた。

「嘘だったと認めるんであれば、(市や県から出ている)補助金とか助成金を辞退するとか返納するだとか、あるいは大学の許認可をもう一回、見直してくれというような申請をするべきだと僕は思いますよ」

 これも当然の指摘だ。愛媛県と今治市は合わせて約186億4000万円もの補助金を出す決定をおこなっているが、「虚偽の発言」をして獣医学部新設を「前に進め」たことを認めているのに、これだけの巨額の血税が加計学園に注がれるのは不当としか言いようがない。

 しかも、加計理事長の会見でもっとも卑劣だったのは、言うまでもなく開催のタイミングだ。大阪北部地震の翌日でサッカーW杯日本初戦の当日というタイミングの上、会見の開催を発表したのは会見開始までたったの2時間しかない当日の9時。その上、会見場は岡山市内にある加計学園本部で、地元の記者クラブの加盟社しか取材を認めないという暴挙に出た。

 このあからさまな加計学園の対応に、坂上はパネルを示しながら「岡山! これ東京から無理じゃん!」と怒り、「なんか情けなくなる、これ」と溜息。曜日レギュラーの土田晃之も「事前に会見が決まっていたとしても、大阪があれだけたいへんなことになっているんだから、会見を中止するならわかるけど、このタイミングで2時間前にやりますって、これ、きったねえやり方ですよね」と批判し、アンガールズの田中卓志は「ワールドカップで日本が勝ったとき、2倍くらいうれしかったでしょうね」と、加計理事長の“心境”を推察した。

加計・日大・至学館のなかでいちばん酷いのは?という問いに、坂上・土田・橋本マナミは…

 この田中の推測はきっと正しいだろう。事実、この夜、日本代表は世間の大方の予想に反して強豪・コロンビアに歴史的勝利。翌日のテレビはW杯の話題でもちきりとなり、加計理事長の会見を取り上げるワイドショーは皆無だった。

 また、政治ジャーナリストの鈴木哲夫は、11時という会見開始時間についても“計算の上”だっただろうと指摘。というのも11時台は、キー局のある関東では加計問題を扱うような生放送の情報番組は『ワイド!スクランブル』(テレビ朝日)と『ひるおび!』(TBS)のみ。しかも、その時間帯はローカル局では独自の生番組を放送していることが多く、午前中はネットしない地方局も数多い。こうした点を踏まえて、鈴木は「相当、政治的な打ち合せをやって望んでいるなという印象」と語った。

 だが、この『バイキング』の放送でもっとも興味深かったのは、このあとだ。番組では、日大と至学館大学、そして加計学園の対応を列挙したパネルを出し、トップが何回会見をおこなったのか、会見の告知はいつだったのかを比較したのだ。

 さらに、番組は「問題を起こした当事者の不明瞭なコメント」も比較。

日大の内田正人前監督「信じてもらえないかもしれないが指示していません」至学館の栄和人前監督「コミュニケーション不足」
加計学園の渡邉事務局長「その場の雰囲気で思いついたことを話した」

このように三者の「言い訳」を並べたのだ。

 多くのワイドショーが日大や至学館批判に血道をあげる一方、総理大臣による行政の私物化という重大問題でふざけた対応を連発している加計学園のことはスルーしてきた。『バイキング』もどうせ、叩きやすい日大や至学館を批判して加計のことはお茶を濁すのだろう。そう思いきや、坂上は「渡邉事務局長という人のは、ほんとに僕、びっくらこきましたけどね」と憤慨し、「どのコメントがいちばん酷いか」をレギュラーメンバーに尋ねはじめた。しかも、レギュラー陣は一様にこう評したのだ。

「やっぱり『その場の雰囲気で思いついたことを話した』は、相当酷い!」(橋本マナミ)
「しかも半笑いで喋ってましたからね。考えられない」(土田)

 つまり、「史上最悪の対応」とまで言われている日大アメフト部問題よりも、加計学園の対応のほうが「酷い」という結論に達したのだ。

加計ゲス会見をまともに批判したのは、『バイキング』『報ステ』『NEWS23』くらい

 いや、言い訳が酷いだけではない。だいたい、この渡邉事務局長の「言い訳」は誰がどう見ても嘘なのである。どうしてこんな嘘をついているのか、この点について東国原は「愛媛県の公文書は正しかったので、つまり総理と理事長の懇談等々があったので、これはヤバイぞと。公文書を訂正・否定することはできないが、さあどうしようかな。じゃあ現場が嘘ついたことにしようよ、みたいな発想ですよ、これは」と推察したが、これしか考えられないだろう。

 ……と、このように、加計理事長の会見について真っ当に取り上げた『バイキング』。まともなニュース番組・ワイドショーなら、当然のことだ。これだけの道理が通らない嘘をつき、震災を利用し、挙げ句、加計理事長は給与を1年間、月10%分を自主返納するという痛くも痒くもない処分で幕引きしようというのだから、普通ならばどのワイドショーも、日大のときのように一斉に加計理事長を批判したはずなのだ。

 加計理事長の会見が終わっても、日大や至学館問題で会見映像を繰り返し流したり細かい続報をしつこく報じているように、加計問題だっていくらでも取り上げようはある。現に、25日の国会で安倍首相は、加計会見について「コメントする立場にない」などと逃げた上、加計理事長の発言と安倍首相や柳瀬唯夫首相秘書官の説明との矛盾点について「記者会見は独特の雰囲気があり、不慣れな人にとっては一問一答で畳みかけられると、ときには質問の趣旨を取り違えて答えてしまったこともあり得るんだろうと思っている」などと述べ、加計理事長を“擁護”した。この発言の食い違いや、安倍首相がなぜ嘘の道具にされたというのに怒らないのかなど、話題は尽きないのだ。

 なのに、そうした観点で加計問題を取り上げているのは、『報道ステーション』(テレビ朝日)や『NEWS23』(TBS)くらい。ようするに、『バイキング』以外のワイドショーや『報ステ』『23』以外のニュース番組が異常すぎるのだ。

 加計理事長は会見で、国会招致について「お待ちしています」と余裕の表情で答えた。安倍首相が国会招致を絶対に認めないことを知っているからこそ、しれっとこんな物言いができるのだ。もはや世論が高まらなければ加計理事長の証人喚問は実現しない状況だが、ほとんどのテレビはこうして忖度することで、安倍首相と加計理事長をアシストしているのである。

最終更新:2018.06.27 09:50

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