菅野完に直撃!なぜTwitter永久凍結に? 理由の開示なき凍結は言論の萎縮を生む! 一方でヘイトスピーチ放置の矛盾

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ネトウヨの黒い情熱に毒されるな! Twitter「永久凍結」の菅野完氏インタビューの画像1
菅野完氏Twilogより


 18万部超のベストセラー『日本会議の研究』の著者で、森友学園問題をはじめ、厳しい政権批判で知られる著述家、菅野完氏のTwitterアカウント(@noiehoie)が突然、「永久凍結」された。だが、Twitter社から菅野氏に対して事前通告や明確な説明はなされず、本人だけでなく、フォロワーや他のユーザーの間にも「理由も示さず凍結するのは不当な言論弾圧」「総選挙前に政権批判を封じる目的か」などと波紋と憶測が広がっている。

 Twitterはその自由さ・手軽さの反面、ヘイトスピーチの横行や、特定アカウントに誹謗中傷や嫌がらせが殺到する炎上の頻発などが長年問題視されている。こうした攻撃的行為に関して、Twitterルールは、強烈な身体的脅迫 (直接または間接)/嫌がらせ/ヘイト行為/複数アカウントの不正利用/なりすまし……などを禁じているが、実際の運用については、今回の菅野氏に限らず、不可解な事例も数多く指摘される。その要因となっているのが、ヘイトスピーチの定義への誤った認識、一時ロックや凍結の判断基準のばらつき、そして理由の不開示など。

 実は、リテラのTwitterアカウントも9月1日に一時凍結されたが、やはり明確な理由はわからないままだったという。安倍政権やネトウヨへの批判、反ヘイトなどのリベラルな主張をするアカウントほど狙われやすいという説もある。明確な理由や基準がわからないために憶測や陰謀論が広がり、言論の萎縮を招きかねない事態になっているのだ。

 アカウント凍結後、Facebookなどで「何が問題だったかを知りたい気持ちでいっぱい」と訴え、Twitter社に理由の開示を求めている菅野氏にインタビューを行った。

──まず今回の「永久凍結」前後の経緯を。

 19日の0時ちょうどに〈飲まないと本が読める〉というツイートをした。本当に本を読んでおり、担当編集者から「Twitterの表示がおかしい」とメールで連絡が入って初めて凍結に気づいた。事前の警告や理由説明はなく、突然だった。

 過去に2回、機能制限を受けてアカウントがロックされた時(いずれも2017年7月。1回目は12時間、2回目は1週間)は、Twitterにアクセスすると、問題とされたツイートが二つ三つ表示された。いずれも人と会っている時に「表示がおかしくなっている」と手元のスマホに連絡が入ったので、瞬間的に確認しただけで操作の流れで削除してしまった。内容まで覚えていないが、誰かから来たレスの引用RTだったと思う。具体的にどの文言がどう問題だったかはわからず、完全に納得したわけでもないが、削除したため確認のしようがない。

 ところが今回は一切説明がない。Twitter社に理由を開示するよう問い合わせフォームで求めたところ、19日17時21分に返信が来た。すでに公開している通り、こんな内容だった。
〈あなたのアカウントはTwitterルール(https:twitter.com/rules)に違反していることが判明したため、凍結されました(特定の人物に向けた嫌がらせ行為に関するルール)。このアカウントは復活されません〉

 Twilogで確認してもらえばわかるが、「特定の人物に向けた嫌がらせ行為」などしていない。攻撃的なメンションを受けた時に反撃として強い言葉を使うことはある。また、著名人や政治家などが自己の影響力を省みずにおこなった差別言動を強く批判したこともある。だが、攻撃的行為やヘイト行為はTwitterルールで明確に禁止されており、先にそういう行為をした者に対して反撃や批判をすることは、なんら問題ないと考えている。

 それでも「特定の人物に向けた攻撃的な行為や嫌がらせ」があったと言うのなら、Twitter社はどのツイートがそれに当たるかを示すべきだ。自分は約10年間にわたり22万件以上のツイートをし、6万4000人あまりのフォロワーがいた。いわば、その「資産」を失ったようなもの。理由もわからず説明もないままアカウント凍結となると、ユーザーの間に疑心暗鬼が広がり、言論の萎縮につながる。

──ご自身のツイートに心当たりはなく、Twitter社に再回答を求めているとのことだが、ではなぜ今回のようなことが起こったと見ているか。

 ひと言で言えば、「ヒマなネトウヨの黒い情熱に毒されているだけ」だと思う。僕に攻撃的なメンションをして強く反撃されたり、日頃から僕の言ってることが気に入らないやつらが、コツコツと勤勉に、大量の通報行為に励んでいるんでしょう。彼らは、時間と、リベラルや反ヘイトなどの主張を憎む気持ちだけはあり余るほど持っている。気に入らない人間を黙らせるためなら、黒い情熱をいくらでも燃やすんですよ。

 それを駆動させているのは、人権や自由や平等といったリベラルな価値観を押し付けてきた学校教育への恨みや憎しみだったり、はっきりと物を言う女を黙らせたいというミソジニーだったり。水原希子さんへのヘイトが問題になっているが、あれは国籍や名前の問題よりも、物を言う女性への反感だと僕は見ている。

 Twitter社は一つ一つのツイート内容を厳密に検討しているわけじゃなく、菅野に関する通報が大量に届くので、機械的に対応したということなんだろう。だって、それほど厳密にルールが適用されているのなら、日常的に差別扇動をしている桜井誠や高須克弥のアカウントがそのまま放置されるはずがない。試しに「朝鮮人 死ね」と検索窓に入れてみてくださいよ。見るに堪えないヘイト言説がいくらでも出てくる。

──日本ではヘイトの定義への認識不足のため、丁寧な言葉で差別表現をするのと、荒っぽい言葉でそれを批判するのとでは、後者の方が問題視されがちだと言われている。その影響はあると思うか。

 最近よく言われるトーンポリシング(議論や主張の中身ではなく、言葉使いや態度を問題視すること)の問題ね。これはあると思う。英語の「ヘイトスピーチ」に「憎悪表現」という訳語を与えた人は万死に値する。差別者が特定の出自をあげつらい、「朝鮮人死ね」と書き込むのも、それに対して「差別すんなよ、アホ、ボケ、死ね」と怒りをぶつけるのも、権力者や政治家を「こいつはバカで無能」と批判するのも、あるいは個人間のトラブルやケンカで「この外道が」と感情的に罵るのも、すべて混同され、「反ヘイトの連中のほうがヘイトだ」などと、ネトウヨや浅慮な人間に言わせる状況を作ってしまっている。

 ヘイトの定義を最も明確に、短い日本語で表した無料で読める文章は、皮肉にもTwitterルールですよ。〈人種、民族、出身地、性的指向、性別、性同一性、信仰している宗教、年齢、障碍、疾患を理由とした他者への暴力行為、直接的な攻撃、脅迫の助長〉と書いてある。さらには、〈以上のような属性を理由とした他者への攻撃を扇動すること〉も定義に含めている。しかし、これほど明確に定めた禁止事項が、今の日本のTwitterでどれだけ守られているのか。

 Twitter Japanの代表(笹本裕・代表取締役)が「Twitter社員は全員がNo Hateを願う」と宣言していたけど、じゃあそのための取り組みをどれだけ真剣にやっているのか、おおいに疑問だ。

──Twitter Japanの笹本氏については、ネトウヨ向けニュースサイトのnetgeekを愛読しているとの指摘がある。また、同社が自民党に親和的で、政権や自民党への批判は削除・制限されやすく、菅野さんのアカウント凍結もそれが理由だという見方もある。いずれも明確な根拠はなく、憶測の域を出ないが、これについては。

 笹本氏がどうかは知らないが、日本のIT業界人に共通する問題はある。彼らはだいたいが2ちゃんねるやニコ生で育ってきた世代。ああいうところの(ネトウヨ的)文化やノリにどっぷり浸かって、それがよいと思ってきた人たちでしょう。そこで染み付いた価値観や物の見方・考え方が、業界の全般的な傾向を決めていると僕は見ている。

 付け加えて言うなら、今40代から50代になっている彼らは、ガンダム世代でしょう。価値相対主義が強烈に刷り込まれている。

──というと? もう少し詳しく。

 ガンダムというのは価値相対主義のストーリーなんですよ。地球連邦とジオン、敵対する両者にそれぞれ理があり、正義があり、弱いところもあるというふうに描かれている。それに影響を受けた人たちは、差別する側にも彼らなりの正義があり、差別される側にも相応の理由があると考えてしまう。

──絶対的な善悪はなく、超越的な視点で「どっちもどっち」と見てしまうということ?

 そう。やや飛躍があるかもしれないけど、僕はそういう傾向があると思っている。

──政権批判を封じ込める動きだという見方については?

 それはどうだかわからない。そうだとすると、物書きとして逆に名誉なことだとさえ思う。ただ、もしそれが事実であったとしても、政権側や自民党が菅野のアカウント凍結を指示や要請したというのではなく、Twitter社が勝手に判断して先回りした、つまりここでも権力への忖度が働いたのではないか。そして、そうした「先回りの服従」は、日本型ファシズムの典型だったりする。

──いずれにせよ、理由なき永久凍結というのは菅野さんへの言論封殺であり、引いてはTwitterという言論空間への信頼性にも関わる。これを問題視し、理由開示や凍結解除を求める声も多数上がっている。今後どのようにTwitter社に働きかけ、何を訴えていくか。

 これはもう粛々と納得いく説明を求め、話し合いを持てるよう働きかけていくしかない。メールや電話だけでなく、場合によっては直接乗り込むかもしれない。それは展開次第でわからないけど。

 僕の凍結解除を支援してくれる人たちが、change.orgというサイトで賛同を募ってくれている。その中にある、この文面を読んでみてほしい。

〈聞くところによると、Twitter Japanは日本のTwitterの日計tweet流量が世界最大規模であることを、広告媒体としての訴求材料として、広告主にアピールしているようです。Twitterも商業プラットフォームである以上、そうした営業努力は当然のことでしょう。しかし、「日本のTwitterの日計tweet流量が世界最大規模」となったのも、Twitterがユーザーに不要な「言論の萎縮」を生まないプラットフォームであったからではないでしょうか〉

 Twitterは、誰もが自由に発言できるプラットフォームだからこそ、これほど多くの日本人に受け入れられた。その自由は守られないといけない。しかし、SNSがこれほど大きなメディアになった以上、流通する情報や言説について、フェイクか否か、合理的かどうか、ルールに沿っているか、検証や確認の責任は生じる。これを商業媒体が自分自身でやるのは無理。広告収入に頼る商売をしながら、同時に情報の真偽や的確性を判断することはできない。

 放送業界におけるBPOのように、SNSの運営企業が共同で審査機関を設立したり、各社が独自に委員会を設けたりして、専門性を持った第三者に審査を任せるべきだと思う。メンバーは人権や差別問題に詳しい弁護士や研究者になるのかな。そこはまだよくわからないけど。今のままの運営では、「Twitter社が自社のルールに則ってそう判断した」というだけで、その判断が正しいのか、法律や社会的正義に照らして合理性はあるのか、誰にもわからない。ましてや、理由も開示されないような状況では。SNSも、そういうことを真剣に考える段階に来ているということだ。

******************

 いかがだろうか。現時点ではTwitter社が明確な理由を開示していないため、推測するしかない部分も多いものの、菅野氏の分析は鋭く本質を突く部分がかなりあるように思える。菅野氏には引き続き、その取材力を活かして、この問題を徹底的に追及してもらいたいところだ。

 また、Twitterアカウントを一時凍結されたリテラ編集部もこの問題を調査中だという。こちらにもぜひ期待しよう。

最終更新:2017.09.20 08:27

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