安倍政権と日本会議が復活狙う「明治の日」は日本の伝統じゃない! 長州支配のアイコンにしたい安倍の醜悪な野望

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
abe_150904_top.jpg
自由民主党HPより


 国会がTPP強行採決で荒れる裏で、安倍晋三首相の暗い野望が着々と進行しつつある。

 さる11月1日、「明治の日推進協議会」(塚本三郎会長=元民社党委員長)なる団体が国会内で、11月3日の「文化の日」を「明治の日」にしようと気勢を上げる集会を開いた。自民党から安倍首相に近い議員ら12人が駆けつけ、古屋圭司国対委員長が約63万8000筆の署名を受け取った。

 11月3日は1946(昭和21)年に日本国憲法が公布された日で、48年に施行された祝日法で「文化の日」と定められた。「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨としている。ところがこの日は明治天皇の誕生日でもあり、大日本帝国憲法下の明治時代は「天長節」、明治天皇崩御後は「明治節」と呼ばれる休日だったことから話はややこしくなる。

 前出の古屋氏は集会で、「日本の近代国家立脚の原点は明治にある。かつての『明治節』がGHQ(連合国軍総司令部)の指導で大きく変わることを強いられた。明治の時代こそ大切だったとすべての日本人が振り返る日にしたい」と決意を述べた。要するに、日本国憲法も「文化の日」もGHQの押しつけだから、“本来の日本”を取り戻したいということのようだ。

 集会に参加した自民党議員の発言を朝日新聞から拾ってみる。

「神武天皇の偉業に立ち戻り、日本のよき伝統を守りながら改革を進めるというのが明治維新の精神だった。その精神を取り戻すべく、心を一つに頑張りたい」(稲田朋美防衛相)

「神武創業の原点にしっかり立脚した『明治の日』を実現していくことが、日本人の精神の独立につながると確認している」(高鳥修一衆院議員)

 こいつらは神武天皇が実在したと、本気で考えているんだろうか、読むだに頭がクラクラしてくるではないか。だが、これまで漠然と保守化、右傾化などと呼ばれていた安倍政権の目指す国家像が、これらの言葉ではっきりしてくる。それは、戦後日本を否定して、明治憲法下の日本へ戻すということなのだ。このことは、実は休日と密接に関係している。戦前の休日には、祝日と祭日があり、祭日は天皇の宮中祭祀や国家神道と関連づけられていた。ざっとあげると、以下の通りだ。

・元旦(1月1日)=四方節、1年の最初に行われる宮中祭祀
・建国記念(2月11日)=紀元節、神武天皇が即位した日
・春分の日=春季皇霊祭、歴代の天皇、皇后、皇親の霊を祭る儀式
・昭和の日(4月29日)=天長節、昭和天皇の誕生日
・秋分の日=秋季皇霊祭、歴代の天皇、皇后、皇親の霊を祭る儀式
・文化の日(11月3日)=明治節、明治天皇の誕生日
・勤労感謝の日(11月23日)= 新嘗祭、天皇が五穀の新穀を天神地祇に進め、自らも食す儀式

 明治憲法と日本国憲法の最大の違いは言うまでもなく主権者が誰かということだ。明治憲法下では天皇が主権者だった。だから、「神聖にして侵すべからず」存在である天皇に関することが祭日になっていた。戦後、天皇は人間宣言をして、日本は新憲法のもと国民主権の国家になった。それに伴い休日も天皇中心の祭日から、「国民こぞって祝い、感謝し、記念する」国民の祝日へと変わった。これを旧に戻すということは、国民主権の否定にほかならない。

 これこそが、実は安倍首相とその周辺にいる極右勢力の本音なのだ。

 2013年4月の衆院予算委員会で「明治の日」について質問し、菅義偉官房長官から「明治の日の必要性についての意見があることは受け止める」との答弁を引き出した前衆院議員の田沼隆志氏(当時日本維新の会、現自民党)は、自らのブログに〈私のライフワークである、祝日正常化。その中でも第一は、文化の日を明治の日にすることです〉と書いている。明治憲法下の祭日の復活は、この人たちにとっては「正常化」ということのようだ。

 その活動の中心になっているのは「明治の日推進協議会」という団体だ。かつて「昭和の日」(4月29日)実現運動を推進したメンバーを中心に2011年に結成された。役員にはジャーナリストの櫻井よしこ氏や、安倍首相のブレーンの一人とされる伊藤哲夫氏(日本政策研究センター代表)のほか、代表委員に百地章氏(日本大学法学部教授)、所功氏(京都産業大学法学部教授)といったお約束の日本会議系学者も名を連ねており、日本会議の別働隊といってもいいだろう。

 4月29日は昭和天皇の誕生日であり、1988年までは「天皇誕生日」だった。それが、昭和天皇の崩御によっていったんは「みどりの日」となった。「自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心を育む」というのがその趣旨だが、そこには生物学者であり自然をこよなく愛した昭和天皇を偲ぶ意味も込められていた。ところが、極右勢力にとっては、それが気に入らなかった。そこで、神道政治連盟などが中心となって運動が起こり、「みどりの日」を「国民の休日」だった5月4日に無理やり移動させ、4月29日の「昭和の日」を押し込んだのだ。この時とほぼ同じ人たちが、「明治の日」実現のために集まっている。

 前述の集会では、推進協議会事務局長の相澤宏明氏が、時事通信の取材に対して「本来のあるべき姿に戻したいとの素朴な思いがあるだけ」と話しているが、彼らにとって「明治の日」は「昭和の日」の時の積み残しであり、「紀元節」「新嘗祭」復活への試金石なのである(ちなみに相澤事務局長は右派系出版社「展転社」の会長で、同社は2005年に『「昭和の日」実現への道』を出版している)。同協議会のHPを見ると、第2次安倍政権発足後に、にわかに活動が活発化していることがよくわかる。

 推進協議会の活動目標は、祝日法を改定して11月3日の「文化の日」を「明治の日」にすることだ。同協議会が出した請願書によると「日本国が近代化するにあたり、わが民族が示した力強い歩みを後世に伝え、明治天皇と一体となり国つくりを進めた、明治の時代を追憶するための祝日」にしたいという。明治維新から150年目の節目にあたる2018年の実現が目標で、安倍首相に近い自民党議員らを中心に超党派での国会議員連盟発足の動きもすでに始まっている。

 さらに、この運動に呼応するかのように 、政権側も2018年に明治維新150年の記念事業を実施することを10月7日に発表した。菅官房長官は記者会見で「明治150年は、我が国にとって一つの大きな節目。明治の精神に学ぶ、日本の強みを再認識することは極めて重要だ」と述べている。これに合わせて、現行憲法の交付日にちなんで設けられた「文化の日」を廃し、戦前の国家神道を意識した「明治の日」に変えようという魂胆なのだ。

 しかし、ここであらためて指摘しておくが、こんなものは日本の伝統でもなんでもない。むしろ、薩長革命政府によって作られたフィクションにすぎない。

 400年に及ぶ徳川幕藩体制で外様の地位に置かれていた薩長が明治維新によって政治の中心に躍り出た際、革命政府がまずやらなければならなかったのは、自らの権威を確立し、国を一つにまとめることだった。そこで利用されたのが天皇信仰だ。薩長革命勢力は王政復古を掲げて維新を戦い、政権樹立後もこれを積極的に利用した。「建国神話」「神武創業」「万世一系」といった思想を整備し、蝦夷地から琉球に至る統一国家の樹立を目指した。イタリア人画家キヨッソーネに明治天皇の肖像を描かせ、「御真影」と称して全国津々浦々に配って国民支配の道具とした。

 祝日もそのひとつだった。維新を成し遂げた薩長政権は「王政復古」を具現化するためのさまざまな施策を実行した。1873(明治3)年には太陽暦を採用し、「年中祭日祝日」についての布告を出す。ここで何が行われたのかというと、なんとそれまでの日本の“伝統的な祝日”だった五節句祝(1月7日の人日、3月3日の上巳、5月5日の端午、7月7日の七夕、9月9日の重陽)を廃止してしまったのだ。代わりに新たな「国家祝祭日」として設置されたのが、神武即位日(後の紀元節)、神武天皇祭(神武天皇の崩御日)といった天皇信仰に基づく祭日だった。実在もしない神武天皇の即位から年号を数える「皇紀」もこのとき定められた。

 しかも、これはのちに国家神道へと発展し、“日本は世界無比の神の国”という「国体」思想の装置として、祭政一致の国家主義、軍国主義に突き進んでいくことになる。この作られた伝統こそが、数々の侵略戦争によって多くの国の人間の命と自由を奪い、日本自体も滅亡の危機に追い込んだ「大日本帝国」の原点なのだ。

 安倍首相は昨年8月、地元・山口で開かれた会合のあいさつで、明治維新から50年後が寺内正毅首相、100年後が佐藤栄作首相で、いずれも山口(長州)出身だったと指摘して、「頑張って18年までいけば『(明治150年も)山口県出身の安倍晋三となる』と語っていたという(朝日新聞より)。こんな男の野望のために、歴史を逆行させられてはたまらない。
(野尻民夫)

最終更新:2016.11.09 03:11

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

安倍政権と日本会議が復活狙う「明治の日」は日本の伝統じゃない! 長州支配のアイコンにしたい安倍の醜悪な野望のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。安倍晋三日本会議皇室野尻民夫の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 久米宏が「テレビが反韓国キャンペーンをやってる」と真っ向批判
2 陸上・朝原宣治がスポーツの政治利用に危機感
3 Nスペ731部隊検証にネトウヨ錯乱!
4 田崎とケントに自民党からカネが!
5 「あおり運転」警察の過剰捜査とワイドショーの異常報道
6 マツコ「安倍首相は馬鹿」にネトウヨが
7 久米宏、さんま、村本も東京五輪批判
8 葵つかさが「松潤とは終わった」と
9 池上彰が朝日叩きとネトウヨを大批判
10 久米宏が電通タブーに踏み込む激烈な五輪批判
11 橋下徹に恫喝された女子高生が告白!
12 吉本興業の改革委員会に、自民党御用学者、裏金隠蔽の元検察・警察
13 日韓対立で『ワシントンポスト』が日本の歴史修正主義が原因と指摘!
14 ウーマン村本がよしもと社長からの圧力を激白!
15 テレ朝が萩生田に全面謝罪した背景
16 N国・立花孝志のマツコ攻撃は言論弾圧!メディアは放置するな
17 東山紀之が“反ヘイト本”を出版
18 安倍政権が天皇代替わりにかこつけ佐川元国税庁長官を恩赦に
19 青山繁晴が前川氏に論破されてボロボロ
20 パワハラ禁止の法整備が不十分な日本で労働者をどう守るか?
1 安倍首相と省庁幹部の面談記録が一切作成されなくなった!
2 くりぃむ上田晋也が“政権批判NG”に敢然と反論
3 金融庁報告書で厚労省年金局課長の驚愕無責任発言
4 産経新聞コラムが「引きこもりは自衛隊に入隊させて鍛え直せ」
5 安倍首相が「老後2000万円」追及に逆ギレ!
6 菅官房長官が望月衣塑子記者への“質問妨害”を復活
7 金融庁「年金下がるから資産運用」報告書で麻生太郎が開き直り!
8 F35捜索打ち切りと大量購入続行でNHKが「背景に政治性」と報道
9 金融庁炎上の裏で安倍政権が「年金」の“不都合な事実”を隠蔽!
10 防衛省イージス・アショア失態 、玉川徹が原因を喝破!
11 長谷川豊が部落差別発言「謝罪文は馬場幹事長が作った」
12 講談社「ViVi」の自民党広告は公選法違反か!
13 映画『主戦場』上映中止要求の右派論客に監督が徹底反論!
14 渡辺謙が語った『ゴジラ』出演と震災、原発、戦争
15 マンガ『スシローと不愉快な仲間たち』第1話
16 田崎史郎「65歳から年金もらってます」
17 川崎殺傷事件「不良品」発言こそ松本人志の本質だ!
18 香港市民はデモの力示したが、日本は…
19 松本人志が「不良品」発言問題で謝罪も説明もなし!
20 農水元次官子ども殺害正当化は、橋下徹、竹田恒泰、坂上忍も

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄