“白人だらけ”米アカデミー賞ボイコット騒動の余波? 抗議した俳優、ウィル・スミスの映画が日本で公開中止に!

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映画『Concussion』予告動画(YouTube「Sony Pictures Entertainment」公式ページより)


 いよいよ明日に迫った第88回アカデミー賞。例年、オスカー像獲得をめぐる賞レースの行方に注目が集まるが、今年はまったく別の話題もクローズアップされている。

 ことの起こりは、1月15日に発表された主要部門のノミネート俳優の顔ぶれをめぐってだった。アカデミー賞の常連でもある黒人映画監督のスパイク・リーが、自らのInstagramで招待されている今年の授賞式への欠席を表明したのだ。

「2年連続で俳優部門の候補20人全員が白人ばかりなんてことがあり得るのか? 」
「おれらは演技ができないというのか?なんだそれ!」

 確かに、今年の俳優部門(主演男優・女優、助演男優・女優)にノミネートされた顔ぶれは、初の受賞が期待されるレオナルド・ディカプリオをはじめ、20人すべてが白人なのだ。

「アカデミー賞はアメリカ社会の今を反映する鏡ともいわれています。1963年に黒人として初めてオスカーを受賞したシドニー・ポワチエをはじめ、過去には数々の俳優や監督が人種の壁を超えて賞賛されてきました。リー監督の言うように2年連続で起きた今回の事象は、アカデミー賞すなわちアメリカ社会の多様性が失われたとみられてもおかしくはない出来事です」(映画ライター)

 Twitter上では、「#OscarsSoWhite(オスカーは真っ白)」というハッシュタグが作られ、アカデミー賞の在り方が盛んに議論されている。

 同様の理由で授賞式のボイコットを表明したのが、『メン・イン・ブラック』などで知られる黒人俳優のウィル・スミス。妻で俳優のジェイダ・ピンケット=スミスと共に、授賞式への不参加を明言した。ウィルは、『コンカッション』という作品で、今年の主演男優賞ノミネート有力視されていたのだが、まさかの落選。当事者ということも相まって、一層の注目を浴びている。

 そんな中、この『コンカッション』という作品をめぐって、日本でも不可思議な動きが起きていた。

「実は、今年5月に決まっていた日本での公開が、突如として中止になったのです。すでに原作本の日本出版も決まっていたとも言われていて、異例の展開ですね。配給元のソニー・ピクチャーズは理由を明かしていませんが、本国から何らかのプレッシャーがあったとも言われています」(映画関係者)

『コンカッション』は、米「GQ」誌掲載後に出版された同タイトルのノンフィクション作品がベース。アメリカナンバーワンの人気スポーツであるアメリカンフットボール(NFL)と脳震盪(=コンカッション)の関係を描いている。

 原作によれば、NFLの元スター選手の遺体を解剖したナイジェリア出身の医師(=ウィル)が、プレー中の激しいタックルによる脳震盪がもたらす病気を発見。危険性を指摘するも、エンタテインメント性を重視するNFLは問題を黙殺し続けた。しかし、やがて国民的関心事となり、NFLに対する集団訴訟に発展していくというもの。

 全米王者を決定するスーパーボウルの視聴率が50パーセントを超えるなど、NFLはアメリカ国内最大の娯楽産業でもある。今回の決定に、NFL側からなんらかの圧力があったことも考えられる。

 実際、2015年9月には、米ソニー・ピクチャーズが制作サイドにNFLを怒らせない内容にするように求めているとの内部情報が漏れ、全米メディアで大きく報じられたほどだ。

 また、この作品が社会派のドラマであると同時に、マイノリティであるアフリカ出身の医師が、アメリカ社会にはびこる偏見や差別に苦悩する姿を描いていることも見逃せない。大きな構図で見ると、どこか今回のアカデミー賞ボイコット騒動に通じる部分も感じられるのだ。

 映画公開中止の判断には、こうした問題への過剰反応があったという見方も流れているがソニー・ピクチャーズ側が一切、理由を明かさないため、今のところ、はっきりした原因はつかめない。

 しかし、いずれにしても、国会議員がアメリカを指して、「奴隷が大統領になる国」と発言してしまう人権感覚の薄い国だからこそ、今回の一件はアメリカだけでなく、世界中で起きている人種差別問題に向き合ういい機会になるはずだ。

 明日は白人ばかりのアカデミー賞を見ながら、このボイコット騒動と日本での映画の未公開問題についてもう一度、考えてみたい。
(窪川 弓)

最終更新:2016.02.28 07:10

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