「私が責任者ですから」安倍首相と東条英機は口癖まで同じだった! 野中広務も「安倍は東条と全くかわらない」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
abe_01_160118.jpg
自由民主党ホームページより


「自制心が利かない。だから議論ができない。反対されると、我一人それを突き破っていくのが信念だと思い込む。そういう錯誤のもとに、国益に対して軍事によって解決しようとする」

 これは、安倍晋三首相と東条英機の共通点だという。そう指摘するのは昭和史研究の第一人者である作家・保阪正康氏。「サンデー毎日」(毎日新聞社)2月14日号に掲載された半藤一利氏、青木理氏との座談会で、保阪氏は、“歴代の自民党政党と現政権を比べたときの差異は?”という質問に対して、“占領期、戦後の総理はバランスや自制をわきまえていた”、“二度と戦争を繰り返すまいという共通認識があった”とした上で、こう述べているのだ。

 戦前回帰的政策をつぎつぎと打ち出す安倍首相と、1941年に近衛内閣の後を継いで日米開戦に突っ込んだ“A級戦犯”の東条には、しばしば類似性を指摘する声があがってきたが、保阪氏によると、両者は言葉遣いまで似ているという。

 保阪氏は「日刊ゲンダイ」(2016年2月19日付)のインタビューでも、こう語っている。

「安倍さんは国会の答弁でよく“私が責任者ですから”と言うでしょう? あれは東条の言い方と同じなんですよ。政治権力の頂点にいる者が威張り散らすときの言葉で、東条は“俺に逆らうな”という恫喝の意味を込めてよく使いました。あんな言葉、普通の政治家は使いませんよ」

 たしかに、振り返っても見ると、安倍首相は国会で何度も「責任者は私です」と発言している。とりわけ、集団的自衛権など国の根幹を変更しようとするときに野党から追及されると、そう頑として突っぱねていた。

「最高の責任者は私です。私が責任者であって、政府の答弁に対しても私が責任を持って、その上において、私たちは選挙で国民から審判を受けるんですよ」(14年2月12日)
「憲法解釈については、三権分立、いわば私と法制局は同じ行政府でありますから、その責任者は私であるということを明確にしなければならない」(同20日)
「我々が提出する法律についての説明はまったく正しいと思いますよ。私は総理大臣なんですから」(15年5月20日)

 しかも、である。安倍首相と東条英機の言動の類似を指摘するのは、保阪氏だけではない。実は、首相時代の東条英機を知るあの自民党の重鎮も、そう証言しているのだ。それは野中広務・元官房長官。昨年、TBSの座談番組『時々放談』に出演した際、野中氏はこう語っていた。

「(安倍首相の)国会における施政方針演説で、私にしたら私が中学生のころ、昭和16年に東条英機首相が、大政翼賛会の国会で施政方針演説をやっている、あのラジオ放送を耳にしたときの感じと、まったくかわらないんじゃないかという心配を、私は感じました」
「(安倍首相は)重要な部分には触れないで、非常に勇ましいような感じで発言をされますと、国民はついそういう発言に十分な理解ができないまま、支持率に結びついたんじゃないかと考えております」

 これは、単に野中少年の印象にすぎないのだろうか。いや、事実として、安倍と東条の演説を比較してみると、そこにはいくつかの共通点がはっきりとあらわれていた。

 具体的に、東条の演説を東照二『歴代首相の言語力を診断する』(研究社)から、いくつか取り上げてみよう。たとえば、1941年11月17日、組閣後初の施策方針演説で、東条はこう述べている(なお、引用者の判断で旧字体等については改めた)。

「私がここに衷心より希望いたしますることは、全国民が、帝国は今や一大飛躍の秋に際会をし、前途に洋々たる発展を期待し得べきことを確信して、相共に今日の苦を分かち、国民一丸となって堅業の翼賛に邁進せんことであります」

 おわかりのとおり、やたらとポジティブな言葉を使って国民に協力を要請しているわけだが、安倍首相の演説にも根拠不明の「発展への確信」や「国民一丸となって」というような表現が見られる。たとえば、野中氏が指摘した2015年2月の施政方針演説では、安倍首相は大好きな維新志士の弁を引用しながらこう語っている。

「明治国家の礎を築いた岩倉具視は、近代化が進んだ欧米列強の姿を目の当たりにした後、このように述べています。『日本は小さい国かもしれないが、国民みんなが心を一つにして、国力を盛んにするならば、世界で活躍する国になることも決して困難ではない』。明治の日本人に出来て、今の日本人に出来ない訳はありません。今こそ、国民と共に、この道を、前に向かって、再び歩み出す時です」

 驚くほど内容がない演説だが、さらに注目すべきは、さまざまな苦難や課題を前にした両者の演説内容だろう。以下に挙げるのは1944年1月、同盟国イタリアの降伏やカイロ宣言など日本に不利な戦況が続いた時期の東条の演説である。

「私の特に強調いたさんとするものは、われら一億国民に一貫して流るる必勝の信念であります、大東亜戦争の勝利獲得の確信であります、申すまでもなく戦争はひっきょう意志と意志との戦いであります」(1944年1月21日、東条総理施策方針演説)

 ようするに“苦境に瀕しているが精神でなんとかしろ”というアジテーションだ。そして、やはり安倍首相も同様に“強い「意志」で苦難を乗り越えよ”と号令をかけている。

「今の日本が直面している数々の課題。復興の加速化、長引くデフレからの脱却、経済の再生、財政の再建、社会保障制度の改革、教育の再生、災害に強く安全・安心な社会の構築、地域の活性化、そして、外交・安全保障政策の立て直し。これらも、『意志の力』さえあれば、必ず、乗り越えることができる。私は、そう確信しています」(2013年10月15日、安倍総理所信表明演説)

「やれば、できる。人口減少や超高齢化など、地方が直面する構造的な課題は深刻です。しかし、若者が、将来に夢や希望を抱き、その場所でチャレンジしたいと願う。そうした『若者』こそが、危機に歯止めをかける鍵であると、私は確信しています」(2014年9月29日、安倍総理所信表明演説)

「意志の力さえあれば」「やればできる」などという空虚な精神論は、一国の宰相として無能であることをさらけだすようなものである。しかし、これを自信満々で述べてしまうところが、まさに安倍氏の本質を表しているとも言えよう。

 そして、こうして両者の演説を比較してみると、やはり安倍晋三と東条英機はそっくりと言わざるを得ない。安倍首相が一貫してA級戦犯を擁護し続けてきたのも、自分と似ているからじゃないのか、と考えたくなるほどだ。

 しかも、この類似性が恐ろしいのは、たんに個人の考え方や口癖ではとどまらないことだ。

 前出の「サンデー毎日」の座談記事で保阪氏と半藤氏は、戦前・戦中日本と安倍政権下で進行していることを重ね合わせて、こう警鐘を鳴らしている。

「昭和18年1月1日、首相官邸で東條は『朝日新聞』朝刊で中野正剛の「戦時宰相論」を読んだ。戦時の宰相は強くあれと、東條を煽るようなことが書かれていた。東條は激高する。そして司法大臣に電話をかけ、中野の逮捕を命じる。しかし法的に該当する罪科がないため、中野は釈放される。すると東條お抱えの憲兵隊長である四方諒二が中野を脅す。中野は自殺してしまった。僕が許せないのは、内閣総理大臣が不愉快だからといって、司法大臣に逮捕を命じるというやり口です。資料によっては、命じたのは逮捕ではなく事情聴取だと書かれているものもあるが、いずれにせよ、いかに戦時下であれ、内閣総理大臣が司法大臣にそんなことを命じる権利などありはしない。行政が立法、司法と直結してしまったんです。さらに東條は、中野を釈放した判事たちまで懲罰召集した。こんなことが許されるものか。しかし安倍首相はやりかねない人物です」(保阪氏)

「同時に日本にも戦前の教訓がある。昭和13年の国家総動員体制です。昭和12年7月に日中戦争が始まり、翌年の1月には国家総動員法が提出される。先読みのしすぎではと思われるかもしれませんが、実は第一次世界大戦後の大正7年、永田鉄山を中心とするグループがすでに人事刷新などとともに、国家総動員法を具体的に練り始めていた。おそらく現政権はすでに準備を始めていると考えたほうがいい」(半藤氏)

 戦中に生まれ、軍部の内実を研究してきた半藤氏と保阪氏だが、ふたりは決して「左翼」ではなく、むしろ穏健保守派と評価されてきた知識人だ。そんな両氏の目からも、安倍首相は相当危険な存在として写っているのだ。

 1941年10月、軍人として総理に就任した東条英機は、同年12月1日の御前会議で英米蘭との開戦を提案、同8日に海軍は真珠湾を奇襲し、太平洋戦争が始まった。その約10日後、帝国議会は政府提出の「言論・出版・集会・結社臨時取締法」を成立。これは、国民やメディアの諸々の表現を官憲の許可制にし、自由な言論の一切を封じ込める目的でつくられたものだった。

 翻っていま、安倍政権は、この国の安全保障を180度転換する安保法制を、解釈改憲で強行可決させただけでなく、メディアへの圧力を強め、ついには国会でも高市早苗総務相が“政治的に公平ではない放送をするなら電波停止を行う”旨の発言を行うまでになった。もはや、ただの偶然ではないだろう。

“日本が自ら戦争をするわけがない”“安倍首相が戦争指導者なんていうのは妄想だ”なんて楽観的に考えていると、あっという間に取り返しのつかないことになってしまうのではないか。
(小杉みすず)

最終更新:2016.02.20 11:08

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

安倍首相の「歴史観」を問う

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

「私が責任者ですから」安倍首相と東条英機は口癖まで同じだった! 野中広務も「安倍は東条と全くかわらない」のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。安倍晋三小杉みすずの記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
いいね! 数
1 池袋暴走事故の容疑者逮捕なしに批判、元検察幹部も
2 萩生田発言が大阪12区補選に影響!安倍首相が窮地に
3 週刊誌の秋篠宮バッシングは官邸が発信源か?
4 ウーマン村本がよしもと社長からの圧力を激白!
5 ブラックホール会見でNHK記者“日本スゴイ”質問に世界が失笑
6 美智子皇后が誕生日談話で安倍にカウンター
7 橋下徹に恫喝された女子高生が告白!
8 橋下徹が岩上安身リツイート裁判で矛盾を追及され逆ギレ!
9 萩生田光一の問題は消費税延期論でなく「ワイルド改憲」発言
10 上野千鶴子「東大祝辞」へのワイドショーコメントが酷い!
11 松尾貴史「日本を壊しているのは安倍さん」
12 維新応援団・野村弁護士が懲戒、橋下徹にも請求が
13 マツコ「安倍首相は馬鹿」にネトウヨが
14 安倍首相の改憲キャンペーンに松本人志、小藪千豊らが協力?
15 東電が福島原発の廃炉作業を外国人労働者に押しつけ
16 ゴーン逮捕“国策捜査説”を裏付ける経産省メール
17 ピエール瀧逮捕でワイドショーが石野卓球に「謝れ」攻撃の異常
18 秋元康の東京五輪に椎名林檎が危機感
19 吉本興業が社をあげて法務省PR!
20 秋篠宮が「大嘗祭」には秘密の儀式が
1 国民健康保険料が大幅値上げ、年間10万円増額も
2 安倍首相と省庁幹部の面談記録ゼロ!安倍政権“公文書破壊”の実態
3 石野卓球がワイドショーに勝利した理由
4 忖度道路めぐり安倍の直接指示の新事実が
5 安倍首相が「桜を見る会」に『虎ノ門ニュース』一行を堂々招待
6 安倍が“忖度道路”の要望書を提出、山陰自動車道でも利益誘導
7 上野千鶴子「東大祝辞」へのワイドショーコメントが酷い!
8 塚田「忖度」発言は事実! 麻生利益誘導の疑惑
9 イチローに国民栄誉賞を断られ安倍政権が赤っ恥
10 野党議員をデマ攻撃「政治知新」の兄・自民党県議を直撃!
11 NHKで国谷裕子を降板に追い込んだ人物が専務理事に復帰
12 維新勝利で橋下徹が「反対した年配の人が死んじゃった」
13 中村文則が安倍政権批判に踏み込む理由
14 『あさイチ』の「中高生に韓国が人気」企画炎上の異常
15 安倍首相「桜を見る会」招待状が8万円で売買との報道!
16 菅官房長官「令和おじさん」人気の正体!
17 ゴーン逮捕“国策捜査説”を裏付ける経産省メール
18 「あつまれ!げんしりょくむら」以外も…原子力ムラの醜悪SNS戦略
19 衆院補選で安倍自民党が大惨敗の予想が!
20 ピエール瀧出演の『麻雀放浪記2020』に“安倍政権への皮肉”

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄