新年特別企画山本太郎プレイバックインタビュー後編

2016年安倍政権とどう戦うか、山本太郎は「僕たちは、ひとりじゃない」「できる範囲で戦い続けろ」と言った

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ジョークも挟みつつ朗らかに話す山本太郎氏だったが、ふいに浮かべる真剣な眼差しは、これからの安倍政権との戦いがいかに厳しいものかということを否応なく我々に感じさせる。


 2016年念頭にあたって、山本太郎の“バカみたいに前向きな”言葉をお届けしたが、続いて後編をお届けしよう。

 山本は後編ではさらにみんなを鼓舞する。安保法制は可決してしまったけれど、落ち込むことはない。「草の根でもここまで来た、前に進んでいるのは明らか」と。

 これから大事なのは、立憲主義をぶち壊した安倍政権とどう戦っていくか。まず最初の決戦は今夏の参院選だ。独裁路線をエスカレートさせる安倍政権、屈服するメディア、民主党はじめグダグダな野党……こんな状況に絶望してしまいそうになるかもしれない。

 それでも、山本は言う。「僕たちは、ひとりじゃない」「それぞれが、自分のできる範囲で戦い続けろ」。政権をとれば、安保法制を廃止にすることだって、できないことじゃない。やってやろう!と。

 今年、安倍政権は、参院選、憲法改正に向けあらゆる手段を講じるだろう。抑圧はますます強くなり、言論状況もさらに悪化するかもしれない。絶望しそうになったら、あきらめそうになったら、何度でもこの山本の言葉を思い出してほしい。そして、ヘタレ野党も、この男の言葉に耳を傾けろ。
(編集部)

********************

 不撓不屈──。一連の山本太郎氏の行動・発言を追うと、そんな言葉が思い浮かぶ。喪服パフォーマンスによって山崎正昭参院議長に叱られ謝罪、“国会パンチ男”もとい“ヒゲの隊長”佐藤正久議員にも「品位がない」(おまえが言うな!という話だが)と謗られても、舌鋒は鋭いまま。もちろん、いまも思いは「安保法は絶対廃止!」の1点だ。
 
 前編につづくこの後編では、核心となる“ひとりひとりの今後の闘い方”について語ってもらった。

■草の根でもここまで来た、前に進んでいるのは明らかな事実

──いまの政治状況では憲法改正はあり得ない、少なくとも市民が政治をコントロールする状態がつくられるまでは、してはいけない、という話でしたが、それくらい、いまの状況は危ないと?

山本 ああいうかたちで憲法違反の法案が押し通されてしまうんですから、これは今後、もっと大きく世の中が変えられていく気がしてならないんです。こんな状態だと、来年7月の参議院選挙でねじれを生み出せなかったとき、もしかしてその先の衆議院選挙だって、いままでのような普通選挙さえ行えなくなるんじゃないかって、そういう危機感すらもっています。

──普通選挙じゃなくなる、とは?
 
山本 いまの状況は戦前・戦中によく似ていますよね。関東大震災以後、治安維持法が定められ、国家総動員法ができ、そのあとは翼賛選挙でひどい選挙干渉が行われた。いまの日本も、3.11があり、特定秘密保護法が成立し、武器輸出も事実上解禁、安保法案も通ってしまった。でも、世間の危機感はそれほど強くない。
 先の戦争でも、本土が爆撃されるのは最後の1年くらいですが、その前からずっと海外には進出しつづけているわけですよね。つまり戦争がはじまっていても、国内的にはリアリティがないと。これって、現在の日本の動きと重なっている部分も多いと思うんです。安保法案が可決されて数時間後に、NHKは自衛隊がPKOで南スーダンへ行くと伝えましたよね。中国の脅威をあれだけ語っておいて、その中国の為の駆けつけ警護かよという話もありますが、南スーダンのあとにはさらに海外へ出て行くでしょう。そしてアメリカと一体化したことで国内ではテロが起こり、かなり危険・リスクは高まっていき………はあ(ため息)。
 はあ、って言っている場合じゃないんですけど、危険な目に遭わないと緊張感が生まれないということは、よく考えなくてはいけないことだと思うんです。想像力も大切な部分です。もうすでに戦争に巻き込まれるステップは踏んでおり、リスクは高まっているんですから。

──兎にも角にも来年の参院選でストップをかけなくては、ということですね。
 
山本 そうです。で、そのためにひとりひとりが何をできるのかって話なんですけれども、それはもう、すごく単純な話で。まず、メディアはすでに魂を売っている。企業側に寄り添った情報が主である、と。企業からの広告で成り立っているのですから当たり前。それははっきりしていること。だからこの時点でできることと言ったら、草の根運動以外、何もないと。

──うーん。やはり、デモに期待するしかないんですかね?
 
山本 いや、逆に考えましょうよ。草の根でもここまできたんだ、っていうね。特定秘密保護法のときよりも今回、野党をがんばらせたのは、みなさんの声です。間違いない。あきらかな事実です。前に進んでいるってことですよ。これを来年の7月までもっと大きく広げていかなくてはいけないけれど、そのためには、みなさんひとりひとりがメッセンジャーになるしかない。たとえば、「安保法案がさあ……」という話をしたって、「はい?」って顔をする人たちもまだまだ多い。そういう人に、どういう球を投げたら政治的な扉が開かれるかということを、ひとりひとり考えなきゃいけないと思うんですね。
 政治の話って、やっぱりしにくいでしょ。もちろん盛り上がることもあるけど、引かれることのほうが多い気がする。僕も、このまえ個人的にたまたま参加した席で、聞かれた話に答えただけなのに、「まあ、政治の話はいいじゃないですか」って言われまして。

──政治家なのに政治の話を拒否された(笑)。
 
山本 だから、相手に対して、どういう球を投げるかが大事だと。

■橋下徹と一緒にしないで!彼は無難なことを情熱的に語っているだけ 

──山本さんが言う、戦前・戦中に近づいていっているという危機感は、とてもよくわかるし、荒唐無稽なことを言っているとはまったく思いません。でも、多くの人たちはその話を聞いたときに、「そこまではないんじゃない?」と言うような気もするんです。そういう危機感のギャップって、どうやって埋めていけばいいと思いますか?
 
山本 これも球の投げ方の話につながりますが、みんなが共有しやすい危機感の話をするというのは、ひとつの方法だと思います。たとえば、徴兵制。これも参院特別委の質問で取り上げましたが、政府は「あり得ない」と言うし、「まさかそんなこと」という受け止め方の人も多いでしょう? では、徴兵制なんてやる訳ない、と言う根拠は? 
 政府は「自衛隊はハイテク装備のプロ集団なんだから、素人が入ってきても困るんだよ」と言います。だから自衛隊が徴兵制を敷くようなことはあり得ない、と。でも、ハイテク装備の超プロ集団、世界一の超プロ集団であるアメリカは、イラク戦争のときにどうしたか? まず、21万人以上のリクルートを行い、そのうちの3分の1ぐらいは高校卒業後、間もない若者たちが連れて行かれることになった。そして州兵が──州兵というのは災害が起こったときに出動するような普段は別に職業を持つ一般の方々で、月一回程度の訓練を受ける、このほとんど素人のような州兵をたった4ヶ月間訓練してイラクに連れて行った。ハイテク装備の超プロ集団と言われているようなアメリカでさえも、そんな派遣の仕方だったわけです。あと、デンマークではたった10日間の訓練期間でアフガンに連れて行かれた過去があります。つまり、戦場では、ハイテク装備をいじれるプロフェッショナル以外の頭数が、相当必要ということなんです。
 徴兵制をやらない根拠に、「ハイテク装備が云々」と言う我が国政府の説明は世界を見れば、破綻した話である事は明らかですよね。
 こんな感じで政府見解のおかしさ、危険な話を、一個一個潰していくと。

──たしかに、国会で山本さんは経済的徴兵制の話もされていましたが、若い人はそこへの危機感から反対していた人もいましたしね。
 
山本 僕は当選したときの話の中心は、やはり原発だったり被曝の問題だったんですけど、その話には当事者意識がもてない、という人も多かったんです。みんなが当事者の話なんですけどね。それで、全国街宣をいろいろやっているなかで多くの人が当事者だと思って聞ける話は何だろうと考えたんですが、それは税金と労働の問題の話だった。多くの人々が納税者であり労働者ですから。「あ、これ、俺の話してるな」と思ってくれれば、僕が言っていることが正しいかどうかをジャッジする事は難しくない。いま、政府は経団連からの要望によって、労働時間の制限をぶち壊し、低額で死ぬまで使えるようにしているんですよ、とかね。そういう話になると、やっぱり「許せん!」となる。大企業優遇の消費税の問題だってそうです。
 あと、奨学金の話も。もうすでに学生を食い物にした、消費者金融みたいなシステムが国にできあがっていて、毎年320億円もの利息収入で銀行の利益があがる。しかも延滞金だけで約40億円って、これは日立がやっているような民間債権回収会社の懐に入るという。おかしいだろ?って話ですよね。
 こういう身近で、そして当事者として怒りを感じること、これが大事だと思うんです。だってその怒りは、先々、デモとか投票とか、行動に移す原動力になると思うから。

──ということは、来年7月の参院選までの闘い方も、安保法案1点というよりはパッケージで闘っていく、ということですか?
 
山本 安保法案1点では、正直難しいと思います。賛成派もそれなりに聞こえのいい話をするだろうし……というか、賛成派のロジックはすごい簡単なんです。「米艦に助けられた不安そうな母子」の様に。だって、ほんとうのことは言わずに雰囲気だけでいいんだから。だけど、反対する者はその嘘を暴いていかなきゃいけない。話す時間も断然、長くなる。1つ1つ説明する訳ですから。どういうことかって言うと、長い話は面白くない。途中で疲れて聞きたくなくなるでしょ? そういう意味でもすごく不利なんですよね。だからなるべく短く、面白い話にしないととは思うんですが……。

──あの、もしかして、それで山本さんはいつも経団連の話をするんですか? たとえば橋下徹が「日教組」「教育委員会」を仮想敵に仕立て上げるみたいに……。
 
山本 そこは一緒にしてほしくないですよね(笑)。橋下さんの日教組がどうした、って話では政治生命を奪われることもないでしょう。日教組で橋下さん支持者、ってほぼいないでしょうし。
  橋下さんは結局、構造改革的な話で虎の尾を踏まず、当たり障りなく情熱的に語っている、と言うある意味才能に溢れる方です。タブーに触れているかの様に見えるけれども大したタブーでもない。
 間違いなく彼は、この国の強者、1%側の人間だから、これだけメディアに取り上げられる。
 逆に1%側の敵になると、僕のようにテレビにはほぼ出られなくなるんです。生活の党と一緒になる際に共同代表と言うポジションにこだわったのはここにあります。
 呼びたくなくても少なくともNHKは各党討論、といった場面では共同代表である僕を呼ばざる得ない。
  話を戻すと、この安保法案を求めているのは経団連であることは間違いないんです。なにしろ武器開発・製造・輸出は、イージス艦1隻で2500社、戦車1両で1300社、パトリオットミサイル1200社、戦闘機で1100社と、これだけの国内企業がかかわれる大きなマーケットです。これを拡大し、国家戦略として取り組めって提言を行っているのが経団連。安保法制を転換する事で、税金を正々堂々と横流しできるわけですよ。「日本の周辺環境がヤバい!」と言えば防衛費も積み上がります。自分たちに組織票を投じてくれた企業、企業献金をしてくれた企業に対して、税金で恩返しを正々堂々とできるシステム。賢いですよね。
 この先、武器開発・製造・輸出が日本の主な産業となっていった場合、アメリカのようにとにかく戦争をしていないと経済が回らないような状況をつくってしまうんです。
 法案の本質、何の為に必要か、を考えれば99%の人々にとって不要であることはわかって戴けると思うんです。
 安保にとって本当に最も必要なのは外交力。
 安倍政権が1番不得意な部分です。

■選挙前には最大のバッシング、人格攻撃が始まると覚悟しています

──ひとりひとりの闘いという意味では、メッセンジャーになっていく以外にも方法はあるでしょうか。たとえば、非暴力直接行動として不買運動をするとか……。
 
山本 それは重要だと思います。また経団連の話になりますが(笑)、彼らは自分たちが最大の権力者だと思い込んでしまっている節がある。でも、大企業がわたしたちの日々の消費行動によって支えられている。そのことを忘れるなよという運動が大規模に起こったら、たぶんかなりビビるでしょう。それはNHKも同じですよ。はたして受信料を払う価値があるのか、受信料に見合う放送が行われているのか。そういうことをチェックする人たちがすごい数になっていけば、このままではさすがにいられないでしょうしね。

──NHKもそうですが、電気料金やメガバンクの利用を拒否するとか、結託してやったらそれも抵抗の方法のひとつですもんね。
 
山本 いや、かなりヤバイ状況になると思いますけどね。でも、この先はそういう抗い方がほんとうに、力をもっていくんじゃないですか。

──メディアの問題だと、さっき山本さんは「メディアは魂を売っている」と言いましたよね。うちは一応、まだ売っていないというか……。
 
山本 というか、買ってもらえないでしょ、それは(笑)。

──自覚してますが、なにもそこまで言うかっていう(涙)。
 
山本 いや、リテラが攻めてるのは、わかっていますよ。僕がリテラっていう存在に気付いたのは今年に入ってからなんですが、「攻めてるな〜」と思うと同時に「大丈夫なん? この人たち」みたいな心配もしてました(笑)。「これ、デッドボールやん!」って思いながら記事を読むこともあったんですけど。

──デッドボール! でも、山本さんだって結構、デッドボール投げてませんか(笑)?
 
山本 まあ、「デッドボールを投げに行ってます」って話をしちゃうと失礼な話ですから(笑)。問題は、デッドボールを披露する場所がないってことですよね。今回の参院特別委では、たまたま自民党がいい格好して「じゃあ、少数会派にも質問権を与えようぜ」みたいな度量見せて、結果、痛い目に遭った……と。

──いや、特別委での質問はどれも安倍首相にとっては痛かったと思います。
 
山本 でも、そういうデッドボールみたいな記事(笑)を発信しつづけることによって、生まれる信頼もあると思うんですよ。いま、リテラの記事によって「スカっとした!」という人たちもたくさんいると思うし、「ほかのメディアはどうしてこんなこと言ってくれないの?」というふうに感じている人も多いと思うんですよね。だからつづけることっていうのはすごく重要だし、つづけていただきたいなと。

──ありがとうございます(涙)。
 
山本 ただ、大手メディアにも、心ある記者、心あるディレクターはいて、最後の1行、1秒で何か伝えられないかと闘っている人はまだいると僕は信じています。自分が使えるコマの範囲で、何か多くの人たちに伝わるものはないかっていうふうに闘っている人はまだいる、と。そういうものづくりをしてくださいと、生意気にもお願いすることはあるんですけれど。

──まだ希望を捨てていないということですか。でも、メディア側は山本さんのこと、ずいぶんひどい扱いをしてきたじゃないですか。特別委での“原発にミサイルが飛んできたときのリスク想定”というナイスな質問、ほぼメディアは無視したりですとか……。
 
山本 いや、まだまだ。今回、僕が特別委でやらかしたことの仕返しは、たぶん来年くらいからはじまると思います。きっと無理矢理いろんなことで叩かれる総バッシングっていうのが待っているはず(笑)。
「火の無いところに煙は立たない」なんてとんでもない。「火の無いとこでも焼け野原」ですよ。いますぐ叩けば、多くの人が「違うだろ!」と反応してくれるでしょうが、こういうのは忘れたころにやってくるんですよ。選挙前には最大の人格攻撃が始まると覚悟しています。

──そんな状況を見越しているのに、どうして「あとは希望しかない」とか、山本さんは前向きなことを言えるんでしょう?
 
山本 僕ひとりの力じゃどうにもならないからですよ。だって、この国に生きている人の多くが同じ方向に向かわないと、この国は変えられないですから。自分はベストを尽くすぞっていう気持ちは満タンにあるから、だからあとは、できるかぎりつながっていくだけ。この泥船をみんなでなんとか岸に寄せて、一旦、避難しようと。この国が危ない方向に向かっているのをどうにか回避しようっていう、その作業を集団になってどこまでできるのか。
 でも、できないことじゃないと思うんですよ。ナチスと同じように立憲主義をぶち壊した奴らがいるわけだから、逆に政権を獲れば何でもできる。安保法制を廃止にすることもできるんですよ。やってやりましょうよ! もう!

──ええ、もちろん! と言いたいですが、来年7月までのあいだ、絶望的な気持ちになることは何度もあると思うんです。そういうとき、どうすればいいんでしょうかね……。
 
山本 はっきり言って、しんどい作業ですよ。みんな仕事や勉強、子育て、家事をしながら草の根をつづけていかなくてはいけないんですから。非常に面倒臭い。そんな時間あるかよ!みたいな話だと思うんです。
 でも、たとえばデモとか直接の抗議行動の何がいいかっていうと、「自分はひとりじゃない」ということを確認できる場所だということ。おそらくは普段、ほとんどの人たちが、ひとりのなかで行動しながら、思い悩むことも多いと思う。そんなとき、デモに行くと「あーよかった!これだけの人たちがいるんだ!」と思える。これは僕がそうだったんです。原発事故のあと、はじめて高円寺のデモに参加して、行くたびに「あ、ひとりじゃない」ってことを確認していた。そして結局、いまは国会に紛れ込んでいる(笑)。デモ発の国会議員も誕生させられるのが人々の力です。
 抗議行動に参加する中から政治に挑戦する人たちがどんどん出てきてほしいし、政治家が躊躇するラインを踏み越えさせるためにも、市民の監視の声というものはどんどん大きくなっていかないといけない。そうしないと政治は茶番化してしまうから。
 僕も政府の嘘を指摘しながら、わかりやすい表現で「政治って興味をもったほうが面白いぞ」と伝えていきたいと思っています。僕くらいの脳の容量だと、内容も中学生以下対象にしないといけないんですよ。小学校高学年から中学生くらいが理解できるような内容にしないと、僕自身が飲み込めないっていう。……って、何度も深く頷くのやめてもらっていいですか(笑)?

──いや、違う違う、うちも同じスタンスだから共感していたんです。これからもお互い、安保法制廃止に向けて安倍政権にデッドボールを投げつつ……。
 
山本 ね(笑)。いっしょにがんばりましょう!
(編集部)

最終更新:2016.01.01 03:04

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