差別に関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
安倍首相が嫌韓反中、在特会を持ち上げるヘイト出版社の本を大量購入!
ネトウヨ御用達の雑誌とそれに登場する日本の首相(左/「ジャパニズム」(青林堂)15号 右/同5号)
安倍首相がヘイト出版社のヘイト本を大量購入していた──。へイト団体やレイシストとの関係がさんざん取沙汰されてきた安倍晋三首相に、こんな新たな疑惑がもちあがっている。年明け、ネット上に安倍首相の政治団体「晋和会」の2011年度政治資金収支報告書がアップされたのだが、そこに以下のような書籍購入記録が記載されていたのだ。
「(株)産業経済新聞社 716,320円 H23/3/30」
「(株)産業経済新聞社 355,200 円 H23/12/27」
「ワック(株) 436,590円 H23/6/20」
「ワック(株) 405,405円 H23/10/21」
「(株)青林堂 195,930円 H23/7/19」
3社あわせて210万9千445円。この年の書籍費合計が約222万円なので、9割以上を占めることになる。本サイトも総務省のホームページで公開されている収支報告書を確認したが、これは間違いなく公的な記録だ。なぜ、特定の出版社からだけ、かくも大量に書籍を直接購入しているのか。しかも、問題なのはその出版社の顔ぶれだ。
まあ、産経新聞社は新聞、雑誌の「正論」ともに超タカ派路線をとっており、これまで一貫して安倍首相の応援団的役割を演じてきたので、今さら説明の必要はないだろう。しかし、残りの2つの出版社については、正直、驚きを禁じ得ない。
たとえば、ワックは花田紀凱が編集長をつとめる「WiLL」の発行元だが、この「WiLL」は侵略戦争肯定や従軍慰安婦否定などの歴史修正主義的主張だけでなく、ヘイトスピーチまがいの嫌韓・反中記事を毎号のように掲載している極右雑誌なのだ。たとえば、毎号の見出しにはこんな吐き気をもよおすような文言がズラリと並んでいる。
「哀れな三等国、韓国!」「世界中で嫌われる韓国人とシナ人」「恥知らぬ韓国とは国交断絶」「韓国人は世界一の嘘吐き民族だ!」「何と哀れな国民か 韓国人でなくてよかった」「韓国こそ世界一の売春輸出大国だ」「去勢しないと性犯罪を抑えられない国」……。
雑誌だけではない。単行本や新書も嫌韓・反中本のオンパレードだ。
『醜いが、目をそらすな、隣国・韓国!』(古田博司)、『ほんとうは、「日韓併合」が韓国を救った!』(松木國俊)、『あの「中国の狂気」は、どこから来るのか』(金文学)、『「反日中韓」を操るのは、じつは同盟国・アメリカだった!』(馬淵睦夫)、『虚言と虚飾の国・韓国』(呉善花)……。
ワック以上にすごいのは、青林堂だ。昨年秋、韓国人や中国人へのジェノサイドまでを主張するヘイト団体・在特会の桜井誠と、大阪市長・橋下徹の面談がテレビ放映され、その際に桜井の著書『大嫌韓時代』が大写しされていたが、青林堂はこの『大嫌韓時代』の発行元なのである。
いや、同書だけではない。同じく桜井の著書『在特会とは「在日特権を許さない市民の会」の省略です!』をはじめ、青林堂は在特会関係者やレイシストの書籍を次々に出版している。
「「反日日本人」による「反日外国人」のための優遇政策が進行中」というコピーが大書された在特会のイデオローグ・村田春樹の著書「『日本乗っ取りはまず地方から! 恐るべき自治基本条例!』、在特会元事務局長で「慰安婦は捏造」と訴え続ける「なでしこアクション」代表・山本優美子の『女性が守る日本の誇り 「慰安婦問題」の真実を訴えるなでしこ活動記録』、そして慰安婦像に紙袋をかぶせる差別的パフォーマンスで大顰蹙を買っているトニー・ラマーノの『テキサス親父の「怒れ!罠にかかった日本人」』……。
また、同社は2011年に「ジャパニズム」(隔月刊)という極右雑誌を創刊しているのだが、この雑誌でも、「中国・コリアに蹂躙される日本社会」「今こそ中・韓の謀略に止めを刺そう!」「日本の敵 中国と韓国」「在日コリアンと犯罪」などの嫌韓・反中記事に加え、在特会・桜井誠をインタビューに対談に、毎号のように登場させている。
「桜井誠氏インタビュー 在特会の真実を、今こそ激白!」(13年10月)
「在特会、京都裁判の真相!」(13年12月)
「「韓国」「在日」と対峙してきた八年間 国民世論を変えた「行動する保守運動」が次に目指すもの」(14年4月)
「桜井誠会長 『嫌韓』が多数派となる『大嫌韓時代』の到来」(14年10月)
いわば、青林堂は在特会やヘイト勢力のPR出版社といってもいい存在なのだ。そして、安倍首相はこういった出版社から書籍を大量購入していたというわけである。だとすると、安倍首相はこういう差別と陰謀論丸出しのヘイト本をむさぼり読んで、「そうだ! 嘘つきチョンはぶち殺せ!」「韓国の女はみんな売春婦だ!」などと叫んでいたのだろうか。
まあ、安倍首相の嗜好や教養のなさを考えれば、その可能性もゼロではないが、しかし、たんに自分が読むためだけにしては金額が大きすぎる。しかも、出版社から直接買ったというのも不自然だ。そのへんを考えると、もっと蓋然性の高い購入理由が考えられる。それは、自分のPRのためのまとめ買いだ。
安倍の政治団体が書籍を大量購入した2011年というのは、腹痛で首相の座を放り出し、謹慎状態だった安倍が東日本大震災の混乱に乗じて、政権返り咲きのために政治活動を再開、再びメディアに露出し始めた時期である。
そんな中で大々的に安倍のことを取り上げたのがこの3社が発行する雑誌だった。産経新聞社の「正論」は11年3月号で、安倍と下村博文現文科相との対談「教育改革の後退を許すな」をはじめ、安倍待望論を何回も掲載している。
「WiLL」も11年7月号で「震災復興 私ならこうやる」という安倍のインタビュー、そして政治評論家・三宅久之の「安倍晋三元総理 再登板待望論」を掲載。11年11月号でも、「正気ですか? 野田さん!」というタイトルで野田批判を語らせている。
そして、2011年6月に発売された「ジャパニズム02」にも 「安倍晋三の逆襲…元内閣総理大臣 安倍晋三」と題されたインタビュー記事が堂々と掲載されている。
おそらく、安倍事務所はこうした自分のインタビューや称賛記事が掲載された雑誌を大量購入して、支持者や関係企業に配りまくったのではないだろうか。
しかしだとすれば、たんにヘイト本を大量購入したというより、もっと悪質といえるだろう。安倍はこれまで雑誌に対しては必ず自身の味方になるメディア、自身の思想と合致するメディアだけを選別し、インタビューに応じてきた。つまり、安倍はこんなヘイトスピーチまがいの中国・韓国差別を叫び、在特会をPRするような出版社を支持し、自分のインタビューを発信する場所にふさわしいと考えていたということだ。
しかも、まとめ買いという事実を考えると、両者の間にはもっと深い関係があることも考えられる。政治家のインタビューというのは、もともとまとめ買いを約束した上で、政治家と出版社が組んで仕掛けることが多い。安倍は当時からヘイト出版社と一体化していた可能性も十分あるだろう。
安倍首相は昨年秋、国会で在特会元幹部とのツーショット写真について追及を受けた際、「極めて失礼だ‼ 何の証拠で在特会と親しいと言ってるんだ!?」と逆ギレしていたが、こうした過去のメディアとのつきあい方を見れば、少なくとも在特会的な排外思想をよしとしてきたことは言い逃れできない事実だろう。
そして、ヘイト出版社の扱いを見れば、安倍晋三という政治家が、桜井誠と同種の“ネトウヨスター”であることもよくわかるというものだ。
(エンジョウトオル)
最終更新:2017.12.09 04:38
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