早死にしやすい職業が判明! 美容師、SE、営業がなりやすい病気とは

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『早死にする仕事、長生きする仕事 働き方を変えれば、寿命は10年延びる!』(古井祐司/マガジンハウス)

 テレビの健康番組や週刊誌が日々必死に訴えている、生活習慣病の脅威。しかし、20・30代の人の多くは、「まだまだ先の話」と受け流しているのが実情ではないだろうか。ところが生活習慣病とはその名の通り、日々の食生活や習慣の蓄積によって発症するもの。さらにいえば、生活習慣病に大きな影響を与えるのは仕事環境。職種ごとに罹患しやすい病気も異なるという。

『早死にする仕事、長生きする仕事 働き方を変えれば、寿命は10年延びる!』(古井祐司/マガジンハウス)によると、早ければ20代から健康診断時の数字として表れてくる職種もあるのだという。一体どんな職業がどんな病気のリスクを抱えているというのだろうか?

 たとえば、美容師。オシャレや体型に気を使い、健康的なイメージが強いが、実は意外なリスクを抱えているのだとか。従業員の平均年齢は26歳と若く、見た目にも痩せている人が多かったという某企業。その一方で、空腹時の血糖値の平均は、なんと50代並み! つまり、平均よりも糖尿病のリスクがとても高いのだとか。

 これは、閉店後に技術練習をするという美容師の労働環境が大きく関与しているという。帰宅時間が遅く、必然的に夕食が遅くなること。夕食が遅い時間だったために、胃がもたれて朝食が食べられないこと。また、接客に追われて昼食を食べ損ねることもしばしばで、空腹を満たすために糖分の入った清涼飲料を摂取することが多い……といった習慣が要因と考えられている。

 美容師同様、20代のうちから体調の異変が数字に出るのは、電車やバスの乗務員だ。20代という若さなのに、中性脂肪やコレステロール値が上昇し、肝機能値も悪化する傾向が強く、心臓病や肝炎、肝硬変を罹患するリスクも高まるという。

 これも乗務員の「環境」が影響している。乗務員は多くの場合、シフト制。当然ながら乗務前には禁酒で、お腹の調子を崩さないように水分もなるべく摂らないという人も多いのだとか。その反動なのか、業務後は同僚と食事に出かける人が多く、シフトの関係上、次の勤務まで時間があるので、食事や飲酒の時間が長くなりがち。そうすると、摂取カロリーや飲料量も多くなり、前述の各数値が悪化するという悪循環が生まれているのだ。この現象は乗務員に限らず、工場勤務といった製造業やシフト制を敷いている企業で多くみられるそう。

 業務自体が体の異変に関係しているのは、SE(システムエンジニア)だ。彼ら/彼女たちが抱えるリスクは「高血圧」。仕事柄「継続して集中力と緊張感を強いられるのでストレス度が高く」、自律神経の中でも交感神経が優位になるため、血圧が上がりやすいのだそう。デスクワークで血流が鈍くなるため、肩こりなども重症化しやすい。

 そして最も多くの人が共感するのが、販売店の営業マンたちの悪しき習慣だろう。「働き盛りの男性の肥満率は30%程度」にもかかわらず、著者が調査した企業は「肥満率が44%」。さらには、「心筋梗塞の発症率が全国で最も低い会社のおよそ2倍」とかなりの高リスクとなっている。

 その原因は、店舗の営業が終わった後に営業会議を行うという、この企業独自の習わし。そのために帰宅時間が遅くなり、72.5%の人が「就寝前2時間以内に夕食を摂ることが週3回以上ある」のだとか。深夜に食事をすると太りやすくなり、糖尿病・心筋梗塞のリスクが高まる。

 さらにこの企業の特徴は、50%を超える喫煙率の高さだ。それは、喫煙ルームが情報交換の場であるということと、喫煙が就業中にできるストレス解消だという背景があるそう。深夜帯の食事と喫煙という組み合わせは、営業以外の人でも心当たりがある人が多いのではないだろうか。

 このように、仕事環境と生活習慣病のリスクは密接に関係している。本来なら、企業側が従業員の健康のために、悪しき習慣や勤務形態の改善に取り組むのがベストだろうが、現実的ではない。個人で、自分のいまの生活リズムや食生活が「健康的な生活」とどのぐらいかけ離れ、なにが原因となっているかを突き止めるほうが早いだろう。

 たとえば、仕事が佳境に入るため、夜7・8時台に夕食を摂ることが難しい人は、就業中におにぎりやサンドウィッチといった主食を食べ、帰宅後におかずを食べる「夕食の分食」という手もある。SEのように就業中に緊張が強いられる職種の人は、飲み物を口にするだけで、緊張が緩和されるという。これは、飲み物を摂取すると胃腸が動き、自律神経の交感神経から副交感神経と切り替わってリラックスできること、同時に血管が広がるために血圧が下がりやすくなる、という働きによるものなのだとか。

 まずは自分の悪しき“職習慣”を見つけること。それが「長生きする仕事」への第一歩だろう。
(江崎理生)

最終更新:2015.01.19 05:33

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