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三浦瑠麗問題に「週刊文春」「週刊新潮」は完全沈黙する理由! ネットはこんなに盛り上がっているのにコワモテ週刊誌がなぜ?
「山猫総合研究所」HPより
三浦瑠麗氏の夫・三浦清志氏が代表を務める投資会社「トライベイキャピタル」が太陽光発電への出資をめぐり約10億円をだまし取ったとして刑事告訴され、東京地検特捜部の家宅捜索が入ったと報じられてから、1カ月。瑠麗氏はそれまでレギュラー出演していた『めざまし8』(フジテレビ)や『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日)といった番組への出演を見合わせているが、その一方、過熱しているのが週刊誌メディアによる報道だ。
たとえば、「女性自身」(光文社)は2月14日発売号で「三浦瑠麗 イケメンと腕組み しなだれ現場 論客ママご乱行撮」と題し、渦中の瑠麗氏が2日続けて違う男性と逢瀬を楽しんでいたと写真付きで報道。また、「FRIDAYデジタル」(講談社)は、三浦夫妻がオフィスが入るビルで禁止されている猫の飼育を続けていたことや共用スペース使用をめぐるトラブルを報じ、「FLASH」(光文社)は清志氏に直撃をおこなったところ「んなぁんだよ!」と“チンピラ同然舌打ち恫喝”を受けたと報道。このほか、「週刊ポスト」「女性セブン」(ともに小学館)や「週刊女性」(主婦と生活社)なども瑠麗氏の話題を取り上げてきた。
紙の本誌のみならず、デジタル版では連日のようにどこかの社が何かしらのネタを記事にしつづける──。いかに瑠麗氏について世間の関心が高く、注目を集めているかを裏付けるような状況だが、そんななか、普段はスキャンダル報道の先頭を切っているあの週刊誌が、なぜか瑠麗氏の話題を報じず、スルーしている。
それは、週刊誌の2トップである「週刊文春」(文藝春秋)と「週刊新潮」(新潮社)だ。
この1カ月、「週刊文春」と「週刊新潮」は、他の週刊誌の報道が過熱するなかでも瑠麗氏の問題についてスルー。「週刊新潮」の場合、ウェブ版の「デイリー新潮」で「三浦瑠麗にEXIT兼近…相次ぐスキャンダルであらわになったコメンテーターに求められる適性とは?」(2月8日付)と題したコラムを掲載したが、あくまでコラム記事であり、その内容も“「行き過ぎたサービス精神」がアンチを生んでしまったのでは?”という同情的なものだった。
だが、もっとあからさまなのが「週刊文春」だ。本誌で取り上げないどころか、発行元の文藝春秋が運営するニュースサイト「文春オンライン」でも、瑠麗氏の話題に触れているのは、時事芸人のプチ鹿島による一連の報道などにかんする論考記事だけ。むしろ、家宅捜索が入ったと報じられてから4日後の1月24日には、「文藝春秋 電子版」で瑠麗氏が司会を務める新番組「炎上上等対談」の配信をスタートさせている。さらに、ジャーナリストの鈴木エイト氏のツイートによると、2月3日におこなわれた第84回文藝春秋読者賞の授賞式にも瑠麗氏が参加したという。
他の週刊誌が連日のように話題にし、世間の関心も高いというのに、何もなかったようにまったく食いつこうともせず、むしろ渦中の人物の新番組をスタートさせる……。この異常な「週刊文春」と「週刊新潮」の態度の裏にあるのは、いったい何なのか。それは、「お抱え作家や評論家のスキャンダルは報じない」という「作家タブー」だ。
ジャニーズのスキャンダルは報じても、作家のスキャンダルは報じない週刊誌
実際、瑠麗氏は「文藝春秋 電子版」の新番組だけではなく、本誌の「文藝春秋」2023年2月特別号でも成田悠輔や東浩紀らと日本の国防をめぐる鼎談に参加しているほか、「皇族に恋愛の自由を」なる論考を寄稿するなど、「文藝春秋」の常連。じつは文藝春秋との付き合いは古く、2015年に文春新書から『日本に絶望している人のための政治入門』を出版して以降は、2018年に『あなたに伝えたい政治の話』、2019年には『政治を選ぶ力』(橋下徹との共著)『それでも、逃げない』(乙武洋匡との共著)、2021年には『日本の分断』と、コンスタントに文藝春秋から新書を発表している。また、前述した文藝春秋読者賞では選考顧問を務めている。
これは新潮社も同様だ。瑠麗氏は「週刊新潮」で2016年から「週刊「山猫」ツメ研ぎ通信」なる連載を担当していたほか、『国家の矛盾』(高村正彦との共著)『21世紀の戦争と平和』『私の考え』『不倫と正義』(中野信子との共著)を出版。昨年11月には、2019年に発売した単行本『孤独の意味も、女であることの味わいも』が文庫化されたばかりだ。
そもそも、「週刊文春」と「週刊新潮」は、たとえ関係の深い相手でも平気で寝首をかいて記事にするメディアだ。「週刊文春」を快進撃に導いた「文春砲の産みの親」とも呼ばれる新谷学編集長(現在は「文藝春秋」編集長)が「親しき仲にもスキャンダル」と口にしてきたように、それを実践してきた。実際、両紙とも保守系政治家や内閣調査室といった内閣の情報機関とも太いパイプを持っているし、芸能事務所との付き合いもあるが、そうした関係を裏切って相手がピンチに立つような記事を書いてきた。
だが、文藝春秋にも新潮社にも共通するのは、ともに老舗の文芸出版社であるという点だ。そのため、他の出版社以上に「作家タブー」が強く、政治家や芸能事務所相手では平気で裏切ってスキャンダル報道を飛ばすのに、親しい作家がらみとなると途端に弱腰になる。以前、作家の林真理子は「どうすれば文春に書かれないようになるか」と訊かれた際、「文春の執筆者になること」「作家はもっと大丈夫」と答えたことを「週刊文春」の連載エッセイで明かしていたが、つまり、これと同じ「作家タブー」が瑠麗氏にも発動され、スルーしているのである。
実際、「週刊文春」と「週刊新潮」では、これまでも「作家タブー」をめぐって似たようなことがたびたび起こってきた。
その典型が、2014年に巻き起こった百田尚樹の『殉愛』騒動だ。故・やしきたかじんの妻をテーマにした同書をめぐっては、周知のように、妻の結婚歴などさまざまな嘘が発覚。たかじんの長女からも名誉毀損で出版差し止め訴訟を起こされるなど大きな問題となった。ところが、小説『フォルトゥナの瞳』を連載して単行本化したばかりだった「週刊新潮」は、百田氏に妻のインタビューをねじ込まれ、それを掲載した。
百田尚樹の圧力電話で記事見送り、石原慎太郎都知事の疑惑には擁護記事
さらに、ひどかったのは「週刊文春」だ。もともと「週刊文春」はたかじんの死の直後にたかじんの妻をめぐる疑惑を他メディアにさきがけ報じており、『殉愛』発売の少し前にもたかじんの長女の手記を掲載する予定だった。だが、校了直前に当時『殉愛』を執筆するためにたかじんの妻を取材中だった百田氏が電話で新谷編集長に記事を中止するよう申し入れると、新谷編集長はあっさり承諾。記事掲載は見送られ、さらに『殉愛』発売後にさまざまな嘘や問題が発覚しても一切記事にしようとせず、逆に2014年12月18日号に百田氏の手記を掲載。翌2015年からは百田氏の連載小説「幻庵」を予定通りスタートさせたのだ。
だが、もっととんでもなかったのが、石原慎太郎のケースだろう。
それは2006年に東京都知事だった石原慎太郎に四男の“縁故重用”疑惑が浮上したときのことだ。石原氏の四男・延啓氏は無名の画家だったが、石原氏は自らの職権で都の若手芸術家の支援事業「トーキョーワンダーサイト」に助言する芸術家として都の外部委員に抜擢。「ワンダーサイト」への補助金を4年間で4億7000万円と以前の8倍以上に増やしていた事実が発覚した。さらに2003年3月には、延啓氏が都の職員とともに訪欧した際に費用55万円を都が全額負担したことや、他の数々の公費による出張も複数のマスコミ報道から判明していった。そのため石原氏は「息子可愛さに血税を湯水のように使う公私混同」と大きな批判に晒されたのだ。
しかし、このときも「週刊文春」だけは石原氏の疑惑を一切報じることはなかった。いや、報じないどころか渦中の石原氏をインタビューに登場させ(2007年1月4・11合併号)、「(疑惑報道は)選挙のためのネガティブ・キャンペーンだ」などというなんの説得力もない釈明を延々と垂れ流させたのだった。これも石原氏が当時、都知事だったことが原因ではなく、石原氏が大物作家であり、しかも当時、文藝春秋が主催する芥川賞選考委員だったことが大きかった。
相手は政治家だというのに、懇意の作家だというだけでスキャンダルを追及できなくなる──。そういう意味では、瑠麗氏のケースも同様で問題は深刻だ。政治の問題とはまったく関係のないエンタテインメントの作家ならいざ知らず、瑠麗氏は政治について活発に発言をおこない、さらには政府の有識者会議で委員を務めるなど直接政治にコミットしてきた。そうした人物の疑惑を、「懇意の作家だから」という理由で追及せず、沈黙を守ることは、ジャーナリズムの放棄ではないか。
この体たらくで、「タブーなき週刊誌」などと言えるものなのか。「週刊文春」と「週刊新潮」はよく考えたほうがいいだろう。
(編集部)
最終更新:2023.03.14 12:23
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