芥川賞受賞・村田沙耶香の問題作!“10人生めば1人殺してOK”恐怖の少子化対策「殺人出産制度」が問うもの

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左『コンビニ人間』(文藝春秋)/右『殺人出産』(講談社)


 昨日、第155回芥川賞の選考会が行われ、受賞作は村田沙耶香の「コンビニ人間」(「文學界」6月号掲載)に決定した。

 著者の村田は、大学在学中の2003年に『授乳』でデビューし、数々の新人賞を受賞してきた期待の若手作家。「コンビニ人間」の舞台にもなったコンビニで自身も学生時代からいまも週3回バイトしており、バイトのない日は執筆しないという少し変わった執筆スタイルの持ち主だ。

 以前、『ご本、出しときますね?』(BSジャパン)に出演した際にも、グロテスクな殺人シーンを書いているときに喜びを感じるとか、バイト中に客からいきなり抱きつかれても気づかないふりをするといったエピソードを披露し、共演者を驚かせていた。

 そんなところも含めてなのか、村田は朝井リョウや加藤千恵、西加奈子ら作家仲間からは“クレイジー沙耶香”と呼ばれているという。しかし、彼女が“クレイジー”と評される最たる所以は、やはり作品や彼女が扱うテーマにあるだろう。

 今回芥川賞を受賞した「コンビニ人間」の主人公は、常軌を逸した言動のため幼いころから“普通じゃない子”とされてきたが、コンビニで働くうちにマニュアル通りに動き、完璧な接客をする“普通の人間”を簡単に演じられるようになる。自分を世界の正常な「部品」にしてくれると感じられるコンビニでバイトすることで、その女性は安息を得るのだ。一見すると、異常に見える主人公だが、その異常性を描くことで、現代のマニュアル化した人間や“普通”であることを強要する社会に対する風刺になっている。

 こうした現代社会を風刺するデストピア的な世界観をもった小説は近年の村田の持ち味のひとつとなっているが、とくにセックスも家族も過去の遺物となった世界を描いた『消滅世界』(河出書房新社)や3人での恋愛が流行する世界を描いた「トリプル」のような、ジェンダー観や家族観、生命観を問う作品が印象的だ。

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