安倍元首相「桜前夜祭」問題でサントリーに続きニューオータニとも癒着疑惑! 室料87%割引き、その後天皇即位時の晩餐会会場に…

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2019年の「桜を見る会」(首相官邸HPより)


 安倍晋三・元首相の増長が止まらない。「桜を見る会」前夜祭でサントリーから酒の無償提供を受けていたという問題には何も説明もしないままだと言うのに、一方では軍拡のために圧力をかけまくり、「骨太の方針」に「防衛費をGDPで2%以上」「防衛力を5年以内に抜本的に強化」という文言をねじ込むことに成功。9日におこなわれた自民党議員のパーティの挨拶では、首相の座を射止める秘訣として「運と、多少の人柄だ」などと語ったらしい。

 国会で118回も虚偽の答弁をしておきながら何の責任もとらないままの人物が「人柄」を自慢する──。まったく反吐が出るが、しかし、ここにきて前夜祭問題では、またも疑惑が再浮上している。それは、前夜祭がおこなわれた会場であるホテルニューオータニをめぐる政治の私物化問題だ。

 というのも、サントリーの無償提供を受けて安倍事務所側は酒をホテルニューオータニに持ち込んだのだが、このときホテルニューオータニは酒の持ち込み料を無料にしていた。この件について東京新聞は9日付の記事で、ホテルの担当者によると一般的な持ち込み料の単価は3000円程度であることから、少なくとも2017〜2019年の3年間で計約100万円相当のサービスがあった計算になると報道。これがサントリー同様、企業からの違法な寄附にあたる可能性があると伝えた。

 だが、この東京新聞の報道によって、さらなる疑問が浮上。それは宴会場を使用する「室料」でも、ホテルニューオータニが異常なサービスをおこなっていたからだ。

 東京新聞は今回、開示された刑事確定記録をもとに2019年の前夜祭でホテルニューオータニが安倍事務所に出した見積書を掲載。それによると、前夜祭がおこなわれた宴会場「鶴の間」の室料は2時間で通常450万円だと記載されているのに、備考欄で390万円も値引きされ、たったの60万円で見積もられていたのだ。

 しかも、小宴会場である「桜の間」「吉祥の間」の室料も通常料金で合計28万5000円であると記載されながら、備考欄には「サービスさせて頂きます」とあり、使用金額は両方とも0円となっていた。つまり、ホテルニューオータニは見積書において、合計418万5000円もサービスしていたことになるのだ。じつに、驚きの87%引きである。

 ホテルニューオータニの営業担当者は供述調書で「数百人分の料理の注文があった場合などは一般のお客さまにも室料の値引きをしている」と説明しているが、1回で400万円を超えるこの値引きは明らかに異常だとしか言いようがない。それは、他の自民党大物政治家の場合と比較すればよくわかる。

麻生太郎の派閥パーティでは1400万円超も支払われているのに、なぜ安倍晋三は…

 たとえば、コロナ禍の2020年7月16日にホテルニューオータニの大宴会場でおこなわれた麻生派(志公会)の派閥パーティの場合、志公会の政治資金収支報告書を確認すると、会場費として1406万6374円がホテルニューオータニに支出されている。安倍氏の2019年前夜祭の参加者は約800人であったのに対して麻生派パーティは1000人超であったため会場の規模は異なるが、しかし、麻生派パーティは飲食なしでおこなわれたため(代わりに土産としてホテルのカレーが後日受け取れる引換券などが渡された)、会場費約1400万円のうちその多くが室料として支出された可能性が高いだろう。

 また、2019年9月2日にホテルニューオータニの「鳳凰の間」で開かれた加藤勝信・前官房長官の政治資金パーティでは、「会場借上費」として618万6353円を支出。参加人数や飲食費の支出がどれほどになるのかは不明だが、「鳳凰の間」は安倍氏が前夜祭で使用した「鶴の間」より規模は小さい。それでも約620万円も支払っているのである。

 自民党の大物政治家である麻生太郎が率いる派閥のパーティでさえ1400万円も支出しているのに、87%もの大幅値引きを受けた安倍氏はたったの60万円の室料──。酒の持ち込み料をサービスしていた件も含め、あまりにも異常な優遇だろう。

 そして、このホテルニューオータニの異常なサービスの実態があきらかになったことで、あらためて注目すべきなのは、同じく2019年におこなわれた「即位礼正殿の儀」の翌日に行われた晩餐会問題だ。

 本サイトでも前夜祭問題の疑惑として繰り返し報じてきたが、2019年10月22日におこなわれた「即位礼正殿の儀」の翌日23日には、同年の前夜祭と同様にホテルニューオータニの「鶴の間」で「内閣総理大臣夫妻主催晩餐会」が開催され、その予算総額は予算1億7200万円にものぼっていた。

 だが、この「首相夫妻主催晩餐会」の会場がホテルニューオータニに決まった経緯は、なんとも不可解なものだったのだ。たとえば、同じ即位にまつわる祝宴で、皇居でおこなわれた宮内庁管轄の「饗宴の儀」の料理は一般競争入札方式で最低価格だったグランドプリンスホテル新高輪が落札したが(落札価格約8400万円)、「首相夫妻主催晩餐会」の会場選定のほうはなぜかそうした入札なしで2019年1月にニューオータニに決められていた。

安倍「桜前夜祭」値引きの見返りで天皇即位時の首相主催晩餐会会場がニューオータニに?

 内閣府に設置された「皇位継承式典事務局」によれば、「舞台スペース(平成度の実績:220席分)を除いて約900名の正餐が行える宴会場を有する」「元首など各国要人をもてなすため、非常に高いレベルの接客及び充実した設備・ノウハウを兼ね備えている」「前日も使用可能」「23日に大きなイベントがないこと」の4点が選定理由だという。これくらいの条件ならば、帝国ホテルの「孔雀の間」やホテルオークラの「平安の間」は「鶴の間」と同規模の宴会場であるし、いろいろ候補にあがりそうなものだが、しかし〈事務局において調査した結果、選定のポイント1〜4までの全ての項目をクリアしたホテルは、「ホテルニューオータニ」のみ〉と結論づけたのだ。

 入札もおこなわず、不透明な選定によって予算総額1億7200万円もの税金が使われる宴会がニューオータニに決定していた──。しかも、ダメ押しなのは、ニューオータニの代表取締役常務取締役であり東京総支配人の清水肇氏の発言だ。

 清水氏は2019年11月に「週刊文春」(文藝春秋)の直撃を受けた際、「安倍さんが説明された通りです。五千円が安いと言われても、うちがそれで引き受けているんだから」などと説明。実際には1人5000円で引き受けてなどいなかったわけだが、この直撃で清水氏は、さらにこうも口にしていた。

「このあいだの晩餐会(即位の礼の翌日、十月二十三日に行われた首相夫妻主催の会)もやっていただいた。総理といえば天皇の次くらいの人ですから、使ってもらえるのはありがたいですよ」

 この発言をあらためて考えると、つまり「晩餐会」会場としてホテルニューオータニが選ばれたから室料を大幅値引きした、あるいは安倍前夜祭へのサービスの見返りとして「晩餐会」会場がニューオータニになった、ということではないのか。

 繰り返すが、政治家に対して一般客にはおこなわれないような値引き・サービスをおこなえば、違法な寄附にあたる可能性がある。しかも、その値引き・サービスの背景に予算総額1億7200万円もの国事業の発注が絡んでいたとしたら、これは巨額の税金を使った重大な問題、「政治の私物化」にほかならない。

 昨日10日、サントリーによる酒の無償提供が政治資金規正法違反だとして市民団体がサントリー社員(不詳)を刑事告発し、同時に安倍氏や後援会代表だった配川博之・元公設第1秘書ら3人についても告発対象としたが、当然、ホテルニューオータニについても追及がおこなわれなければならない。そして、メディアも安倍氏の増長した発言を取り上げている暇があるのならば、前夜祭問題に対して徹底追及をおこなうべきだろう。

最終更新:2022.06.11 10:13

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