東京五輪関係者のコロナ感染を政府が隠ぺい! ウガンダ選手の飛行機同乗者、フランスの大会関係者らの感染も野党に追及されて発覚

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首相官邸HPより


 東京はもはや感染爆発待ったなしの状況となっているが、この男はそれでも東京五輪を開催しようというのか。菅義偉首相は昨日1日、「(緊急事態宣言となれば)無観客もあり得ると明言している」などと無観客の可能性に言及し、今朝、読売新聞が「政府と組織委が一部競技を無観客とする方向で調整に入った」と報じたからだ。

 菅官邸は「一部無観客」という方針を「菅首相の英断」だと演出したいのだろうが、バカにするのもいい加減にしろ。無観客で調整に入ったのは「大規模会場や夜間に実施される一部競技」に過ぎず、ほかは観客を入れて開催することにいまだ固執しているのである。

 だが、現在の状況は「無観客」さえありえない。実際、昨日1日に厚労省新型コロナ対策アドバイザリーボードに示された京都大学などによる新たな試算では、7月中旬に都内で1日の感染者数が1000人を超え、8月4日ごろには2000人を超えるとしている。しかも、この試算はデルタ株の影響を「中程度」、東京の人出は「いまのまま」とするなど、甘い見通しに基づいたものだ。無観客だとしても東京五輪というお祭り騒ぎを繰り広げるなかで、かたや市民に「危機感を持て」「外出は控えろ」などと要求するのはどだい無理な話。ようするに、感染拡大に抑えるためには東京五輪の中止しか選択肢はないのだ。

 ところが、菅政権はこの状況下でも緊急事態宣言を出し渋り、11日に期限を迎えるまん延防止等重点措置をさらに約1カ月延長することで乗り切ろうと画策。朝日新聞6月30日付記事によると、4度目の緊急事態宣言を発出すれば〈観客を入れる余地は消え、五輪開催を「コロナに打ち勝った証し」としてきた言葉との整合性も問われかねない〉とし、官邸幹部の姿勢をこう伝えている。

〈官邸幹部は「重症化しなければ、コロナもただの風邪になる」と強調。東京で新規感染者数が増えても、ほかの指標次第では緊急事態宣言を出さずに済むとの見方を示す。〉

「重症化しなければコロナはただの風邪」って、感染者が増えれば一定数は重症化するのがコロナであり、重症患者の増加を抑えるほどにはワクチン接種も進んでいない。また重症化しなくとも後遺症のリスクが指摘されている。なのに、いまだにそんな認識でコロナ対策を指揮していたとは……。しかも、「ほかの指標次第」というのは病床使用率のことを言っているのだろうが、政府は姑息にも6月に病床使用率が低くなるよう算出方法を変更したばかり(詳しくは既報参照→https://lite-ra.com/2021/06/post-5914.html)。病床使用率を宣言発出の目安にすれば、そのころには時すでに遅し、医療崩壊に突入しているだろう。

 つまり、菅官邸はこの約1年半のあいだに繰り返してきた失敗の反省などまるでなく、デルタ株というこれまでで最大の脅威を前に、むしろこれまで得た教訓を無視する方針をとろうとしているのだ。そして、すべては東京五輪の開催のために、である。

「バブル方式」はすでに破綻! ウガンダ選手と同便の一般搭乗者に陽性者が

 だが、もっと恐ろしいのは、政府も組織委も、東京五輪にかんする「不都合な事実」を隠し、追及を受けるまでオープンにしようとしていないことだ。

 たとえば、ウガンダ共和国から来日した選手団に陽性者が確認された問題では、昨日1日になって、じつは選手団と同じ飛行機の一般搭乗者に陽性者が1人見つかっていたことがわかった。これは政府や組織委が強調する「バブル方式」が来日前に弾けていることを示す重要な問題だが、しかし、一般搭乗者に陽性者がいたことは政府や組織委が自ら発表したのではなく、立憲民主党が厚労省に確認した上で明らかにしたものであり、同日の自民党外交部会でも問題になっていたのだ。

 さらに、6月28日になって政府は、東京オリパラに関連して来日した選手や関係者の陽性者について、ウガンダ選手団の2人以外にも、2月以降、フランスやエジプトなどの選手やコーチら4人の感染が確認されていたこと、そのなかには政府が濃厚接触者の有無を把握できていないケースがあったことが明らかになった。だが、これも政府が自ら公表したのではなく、同日におこなわれた野党合同ヒアリングで、野党側が事前に通告していた質問に対して内閣官房のオリパラ推進本部事務局担当者が答えたものだった。

「バブル方式」の実効性や空港検疫のあり方に疑義が呈されるなか、これらの情報は政府や組織委が率先してオープンにし、どのような対応を今後とっていく方針なのかを丁寧に説明すべき事柄だ。にもかかわらず、自分たちから自発的に公表しようとはけっしてせず、野党などから問いただされてから明らかにしているだけ。逆にいえば、追及がなければ、これらの事実は隠蔽されたままだったのだ。

 感染拡大の最中に五輪をやろうという常軌を逸した状況にありながら、その上、政府や組織委の度し難い隠蔽体質──。こんな姿勢のまま大会が開催されれば、開催期間中に重大な出来事が発生しても、ひたすら押し隠されてしまうのではないか。

 しかも、こうした追及によって明らかになったのは、政府や組織委の隠蔽体質だけではない。それは政府や組織委の無責任ぶりと、大会運営能力の欠如ぶりだ。

東京五輪の運営がボロボロ! 濃厚接触者も試合に出られる、大会指定病院候補は「打診ない」

 実際、6月30日におこなわれた野党の合同会合では、出席した内閣官房のオリパラ推進本部事務局担当者に対して“オリパラの選手らに多数の感染者が出た場合、東京都民の病床が不足して医療が逼迫するのではないか”という質問がなされたが、これに対する回答は「仮に選手から陽性者が発生した場合でも、ほとんどは無症状、あるいは軽症であることが想定されている」というもの。その上、「濃厚接触者は試合に出られるのか」という質問には、こう言い放ったという。

「本来、濃厚接触者は検査結果が陰性でも自宅待機するルールだが、五輪は4年に1度だ。14日間隔離すると試合に出られなくなることもあるため、関係者で調整している」

 濃厚接触者も試合に出られる、というのだ。最悪のケースを想定して対策をとるのが危機管理だが、「五輪は4年に1度」という理由で隔離を免除するって、そんなことをすればバブル内で感染拡大が起こりかねない。滅茶苦茶ではないか。

 さらに、「無症状か軽症だから都民の医療を逼迫しない」などというのも楽観的にも程がある。しかも、組織委の橋本聖子会長は、大会指定病院について「都内の9病院からおおむね内諾をいただいた」と語っていたが、6月30日放送の『報道1930』(BS-TBS)の取材に対し東京都は「3つの都立病院が候補になっている」とし、その3つの病院に同番組が直接確認したところ、2つの病院が「正式な打診はない」と回答。つまり、いまだに病院の確保はあやふやな状態にあるのだ。こんな体たらくであるにもかかわらず、内閣官房や組織委は「都民の医療を逼迫しない」と断言しているのである。その言葉を信用しろというほうがどうかしている。

 このほかにも、選手以外の「ぼったくり男爵」をはじめとする大会関係者約5万人に対して入国後14日以内でも条件付きで個室レストランの利用を認めるなど、むしろ率先して東京五輪を一大クラスターイベントにしようとしているとしか考えられないような施策を打ち出している。こうしたいい加減な対策や説明からしても、はっきり言って「安全安心」の大会開催など政府や組織委には不可能であることは明々白々だ。

 そもそも運営能力が著しく欠如しているとしか思えない場当たり対応を連発し、その上、極度の隠蔽体質を持つ政府と組織委が、緊急事態宣言レベルのなかで3週間後には五輪を開催する。そして、その生贄とされるのは私たち市民だ。この恐怖と不条理に、黙っているわけにはいかないだろう。繰り返す。東京五輪は「中止」の一択しかない。

最終更新:2021.07.02 09:51

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