三浦瑠麗が仕切るドワンゴ運営「N高政治部」のトンデモ教育! 麻生太郎が「若者が政治に無関心なのは悪いことでない」と民主主義否定

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N高等学校HPより


 自民党総裁選はあす14日に投開票となるが、昨日12日、「ニコニコ生放送」で自民党総裁選のネット討論会が開かれた。ニコニコの総裁選討論会といえば、安倍首相が出馬した前回や前々回も、「内容がぬるすぎる」「記者クラブよりひどい忖度ぶり」という悪評がたったが、今回も全く同様のぬるさだった。

 同じ日に開かれた日本記者クラブ主催の討論会では一応、菅官房長官に森友加計問題の更問いや、外交経験のなさを追及していたが、このニコニコではそういう厳しい質問はほとんどなし。それどころか、いきなり「ガースー」「ゲル」「キッシー」という3人のあだ名について感想を聞くなど、気持ちの悪い馴れ合い丸出し。まるで自民党ファンクラブのイベントのような様相を呈していた。

 まあ、ニコニコはもともと自民党やネトウヨと親和性が高いうえ、討論会の司会が露骨な安倍政権擁護発言を連発してきた運営会社「ドワンゴ」社長・夏野剛氏。こうなるのも当然で、もはやいちいち目くじらをたてる気も起きない。

 しかし、このニコニコの運営会社「ドワンゴ」と自民党=安倍政権との癒着については、もうひとつ、看過できない問題がもちあがっている。それは「N高政治部」の開設と、そこでの麻生太郎のとんでもない発言だ。

 周知のように「N高」というのは、ドワンゴ(設立法人は学校法人角川ドワンゴ学園)が2016年に開校した通信制のネットの高校。当初は、「旧来の教育システムをくつがえす、デジタル時代に対応した新しい形の高校」などと注目されていた。

 そのN高が9月2日、「政治部」なる名称の授業を立ち上げることを発表したのだ。

 プレスリースによると、政治部の設立目的は、「政治家と直接に触れ合う機会をつくって政治を身近に感じてもらう」「政治に関する話題について、メディアリテラシーを高め、情報操作や不正確な情報に流されず自分で調べて考え判断できるようになる」ことだという。そして、高校生に向けた案内文には、こんな謳い文句が記載されていた。

〈世の中には、みなさんを利用したいと思うひとたちによって作られたり、ちょっと変えられたり、もしくはまったく捏造されたりする情報があふれています。
政治に興味があるひとだけでなく、政治に興味がないひとでも、世の中というものがどういう仕組みで動いているのか知りたい、だれかの情報に左右されない人間になりたいと思うような生徒のみなさんのために政治部をつくることにしました。〉

 まるで「ネットde真実」的な陰謀論によく出てくるような文章で、これだけでも怪しいにおいがぷんぷんするが、もっと胡散臭いのはその講師の人選だ。N高政治部のプレスリリースには、「特定の主義主張を学ぶのでなく」「特定のイデオロギーではなく、世の中には多様な考え方があるということを知ってもらう場」「登壇をお願いする政治家の先生方は与野党問わず広くから選びます」などとあったが、特別講師に就任したのはなんと国際政治学者・三浦瑠麗センセイだったのである。

 三浦センセイは「特定の授業のファシリテーター、部員の授業レポート添削等も行う」らしいが、不偏不党どころかモロ安倍応援団。しかも本サイトでも散々指摘しているように、政権を擁護するという政治目的で「情報操作や不正確な情報」を流している御仁でもある。

三浦瑠麗のN高特別講師に能町みね子が「三浦さんの犬笛にすぐに反応するスリーパーセルを養成するつもりか」と皮肉

 実際、三浦センセイのN高特別講師就任が明らかになると、ネットでは非難が殺到した。コラムニストの能町みね子氏も「週刊文春」の連載で三浦氏が過去に「スリーパーセル」発言をしていたことや「桜を見る会」批判を「国民の感情」「嫉妬」にすり替えたことなどを取り上げ、〈橋下徹と並ぶ扇動家、言って見れば犬笛プレイヤーって感じ〉と一刀両断。N高政治部について〈それこそスリーパーセルみたいな、三浦さんの犬笛にすぐに反応する少数精鋭の戦士を養成するつもりなんですかね……〉と痛烈な皮肉を放っていた。

 しかし、この三浦センセイの特別講師就任はまだ序の口。実際に行われたN高政治部の授業内容はもっととんでもないものだった。

 第1回目のゲスト講師はなんと麻生太郎副総理。周知のように、ドワンゴの設立には麻生氏の息子が深く関わっており、いまも経営陣には麻生氏の甥が名前を連ねている関係。これのどこが「与野党問わず広くから選びます」だというのか。

 しかも、麻生副総理は「民度が違う」「政府の金で(高額医療を)やっていると思うと寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらうなど、いろいろと考えないと解決しない」といった数々の選民思想、優生思想丸出しの発言をし、財務省事務次官のセクハラ問題ではセクハラ告発を封じ込めるような発言をした政治家だ。新しい時代の政治を担っていく高校生に向けた政治の授業の第1回目に、そんなトンデモ政治家の話を聞かせるという神経が信じられない。

 と、呆れていたら、案の定、麻生氏はこのN高政治部でまたぞろとんでもない暴言を口にした。「高校生に政治を身近に感じてもらう」というのが授業の趣旨だったはずなのに、麻生氏は冒頭からこんなことを言い出したのだ。

「若者が政治に関心がないというのは、悪いことではない」「それだけ日本で平和に暮らしているということだ」

 そして、アフガニスタンなどの内戦が続く地域と比較して「政治に関心が無くても平和に生きられる国にいるほうがよっぽど良い」と決めつけたのである。

 安倍政権によってこれだけ格差と貧困が広がり、差別と分断、人権侵害が横行しはじめた日本を「平和な国」などと認識しているというのも呆れるが、もっととんでもないのは、この発言が麻生氏のファシズム肯定思想をもろに表していることだ。

「若者が政治に無関心なのは悪いことではない」に「ナチスの手口に学べ」発言と同じ民主主義否定思想

 麻生氏は2013年、憲法改正論議に関して「ドイツのワイマール憲法もいつの間にかナチス憲法に変わっていた。誰も気が付かなかった。あの手口に学んだらどうかね」と発言して物議を醸した。

 民主主義や国民の知る権利を全否定し、ナチズムを肯定するひどい発言だったが、今回の「若者が政治に関心がないというのは、悪いことではない」という発言はまさにその延長線上にある。国民は政府のやることに口を出すな、黙って言うことを聞いておけ、というのが麻生氏の本音なのだ。

 しかし、高校生相手にこんな政治家の民主主義否定、ファシズム肯定発言を堂々聞かせる高校というのはいったいなんなのか。ファシリテーターを務める三浦瑠麗センセイや、運営学校法人のバックにいるドワンゴの夏野剛社長はこんな発言を高校生に聞かせたことについてどう釈明するのか。

 いや、考えてみれば、2人にそんなことを求めるには意味がないだろう。「桜を見る会」批判を「国民の感情」と決めつける三浦センセイも、安倍首相の官邸滞在時間の短さを批判したネットユーザーに「一般ピープルの目線で見るのは大間違い」「選挙権を返上しろ」などと恫喝した夏野氏も、国民を愚民扱いし、政治は自分たち選ばれたエリートがやればいいと考えているという点では、麻生氏と大差がないからだ。

 そういう意味では、N高政治部はまさに、能町氏が皮肉ったように「三浦センセイの犬笛にすぐに反応する少数精鋭の戦士」あるいは「麻生副総理や夏野社長のような選民思想をもった政治家」を育てるためにつくられたのかもしれない。

最終更新:2020.09.13 10:44

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