失言・炎上に関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
加藤清隆、竹内久美子、百田尚樹…安倍応援団が「#検察庁法改正案に抗議します」に「中国の陰謀」「テレビ局が黒幕」とトンデモバッシング!
検察庁法改正案に抗議する芸能人たちへリプライ(返信)を送りつける加藤氏Twitter
安倍政権が手下である黒川弘務・東京高検検事長を検事総長に据えるため、後付けで定年延長を合法化しようと企む「検察庁法改正案」。本サイトでも既報のように、この無茶苦茶な“権力私物化法案”には多くの芸能人や文化人が反対を表明し、普段は公に政治的発言をしない人々までもが抗議の声をあげたわけだが、そんななか、案の定と言うべきか“安倍応援団”がトンデモな“法案反対芸能人バッシング”を展開している。
とりわけ失笑を禁じ得ないのが、時事通信出身の右派政治評論家・加藤清隆氏だ。加藤氏といえば、安倍政権を徹底擁護しまくる極右論壇誌の常連で、今年2月には立憲民主党の有田芳生参院議員へのツイートが東京地裁からも名誉毀損の“フェイク”認定されている御仁だが、この間、Twitterで法案に反対する芸能人たちへ片っ端から難癖のリプライ(返信)を送りつけていた。
たとえば、「#検察庁法改正案に抗議します」のハッシュタグをツイートした俳優の浅野忠信に対しては〈浅野君、こういうデタラメな陰謀論に与せず、役者として全うして下さい。期待してます〉と謎の上から目線で説教。元格闘家の高田延彦に対しては、〈プロレスで忙しくて知らないのだろうが、検察庁改正案は65歳定年制導入のため〉などとリプライ。また、文筆家の武田砂鉄氏に対しては〈陰謀論って便利だよな〉などと噛みつき、〈もうこれ以上、保身のために都合良く法律も政治もねじ曲げないで下さい。この国を壊さないで下さい〉と訴えた俳優の井浦新に対しては、〈「保身のために都合良く」って、誰のため?もしそれが安倍総理のことを指しているのなら、改正検察庁法が施行される22年4月段階でまだ安倍さんが総理だと思う?絶対ないとは言い切れないが、90%以上の確率で現役ではないよ。それでも陰部論に与する?〉(原文ママ)とリプライを飛ばしていた。
「陰部論」とかいう意味不明な表現は措くとしても、黒川検事長の“脱法人事”を後付けで正当化させようとしているのは安倍政権であり、加藤氏の反論は難癖、嫌がらせレベルとしか言いようがない。Twitterでは、一方的に行われる的外れな攻撃リプライ(返信)を俗に「クソリプ」と呼ぶが、加藤氏のリプはまさに「クソリプ」そのものだろう。
そんな加藤氏によるクソリプのなかでも一番笑えたのが、ミュージシャンのきゃりーぱみゅぱみゅへのクソリプだ。抗議の意思を表したきゃりーに対して、加藤氏は〈歌手やってて、知らないかも知れないけど、検察庁法改正案は国家公務員の定年を65歳で揃えるため。安倍政権の言いなりになるみたいな陰謀論が幅をきかせているけど、内閣が検察庁を直接指揮することなどできません。デタラメな噂に騙されないようにね。歌、頑張って下さい〉とクソリプ。これにはきゃりーも〈歌手やってて知らないかもしれないけどって相当失礼ですよ、、、、〉と反論していたが、当然だろう。職業や属性など関係なく、誰にでも政治権力を批判できることこそ民主主義の条件だからだ。
もっとも、こうした加藤氏のクソリプには一般ユーザーからもツッコミが続出。〈加藤清隆って言う人 #検察庁法改正案に抗議します でツイートしてる有名人にいちいち「騙されないように」「本職を全うしてください」とか書いてるけど余計なお世話だし、だいたいこの人誰なんや?〉など、「というかあんたこそ何様だよ」と総スカン状態になっているのである。
改めて安倍応援団のレベルの低さが満点下に知れ渡ったわけだが、さらに連中はこの「#検察庁法改正案に抗議します」のムーブメントに対して、なんと「黒幕は中国政府だ」などと言い出している。
竹内久美子は「中国が本気で日本をとりにきている」「負けないぞ!えいえいおー!」
たとえば加藤氏は10日、「#検察庁法改正案に抗議します」のハッシュタグの急増を伝える海渡雄一弁護士のツイートを批判する形で、こんな投稿をしていた。
〈どう考えても150万とか200万とか〔のハッシュタグのツイート数〕が事実ならば、裏で糸を引いている奴がいるのだろう。もしかしたら、中国とつながっているかも知れない。そういう怖さを今ひしひしと感じている。中国はなりふり構わず、日本を取りに来ている。呼応する日本人がいかに多いか。政界官界経済界マスコミ法曹界にも。〉
検察庁法改正案に反対するのが「中国とつながっている」「中国は日本を取りに来ている」って、この人は何を言っているのだろう。あえて真面目に突っ込んでおくが、だいたい安倍政権はいま、経済政策や習近平国家主席の「国賓来日」をはじめとして、いま、東アジア情勢のなかで表向き親中的な姿勢をとっている。その安倍政権がやろうとしている検察庁法改正案にどうして中国が政治的な思惑で介入しようというのか。まったく、論理も政治勘もへったくれもないだろう。こんな人が数年前まで時事通信で「特別解説委員」を務めていたとか、同じ釜の飯を食った田崎史郎氏といい、いったいどうなっているのかと聞きたくなってくるではないか。
だが、安倍応援団という一種の“メルヘン空間”では、こうした中国陰謀論が当たり前のようにまかり通っている。というか、安倍政権の政策や不祥事に市民から批判が集まるたびに、安倍応援団文化人たちは「中国の脅威」を吠えて、目線を変えようと必死に足掻くのだ。
加藤氏だけではない。近年、すっかり右派論壇の一員となった著述家の竹内久美子氏も「#検察庁法改正案に抗議します」のハッシュタグの盛り上がりに対して、10日、荒唐無稽な“中国陰謀論”をがなり立てていた。
〈ここ数日の尖閣侵入の本気度、今日の芸能人がいっせいに「検察庁法改正案に抗議」の動きを見て、中国が本気で日本をとりにきている、いやまず試しおったなと思った。負けないぞ!えいえいおー!〉
「いやまず試しおったな」って頭が悪すぎて言葉を失うが、とにかく、安倍応援団の頭のなかは「安倍政権批判に負けないぞ!えいえいおー!」というレベルであることは確からしい。
他にも、あの百田尚樹氏は〈安倍政権を叩きたいだけの野党は、本当は問題ではないのを知りながら「問題だ!」と騒いでいるのはいつものことだが、頭の悪いタレントは、本気で批判しているからイタイ〉〈しかし気になるのは、これらのバカタレントを大量に動かしているのは誰かということ。この黒幕は誰なんだろう。テレビ局?〉と“テレビ局黒幕説”を展開。百田センセイは普段、テレビ局や芸能人が政権への忖度、スポンサーやファンの目を気にしていかに政治的発言を控えているかご存知ないのか。それでも、今回はさすがのひどさに「おかしいものはおかしい」と声をあげざるをえなくなった芸能人が続出しているというのが真相なのである。
それを、どういう思考回路をしたら“テレビ局が芸能人や文化人に指示して政権批判をさせている”みたいなロジックが成り立つのか、本気で頭が痛くなってくる。
ほんこん、つるの剛士は「尖閣諸島への中国船の領海侵入」を持ち出し話をスリカエ
露骨な黒幕陰謀論を語っていなくても、姑息な話のすり替えに必死な安倍応援団もいる。 “ネトウヨ芸人”と化しているほんこんやタレントのつるの剛士だ。彼らは〈著名人の皆様 ハッシュタグの件もいいですが その勢いで 竹島、尖閣、北方領土、拉致被害問題、香港民主化 近隣諸国問題や その他諸々の問題も ハッシュタグつけて呟いてくれへんかな?〉(ほんこん)、〈〔引用者注:尖閣諸島周辺で中国船の領海侵入が続くと報じた産経ニュースをツイートしながら〕個人的には今国民的に声を上げるべき、報道されるべき現実問題だと思います〉(つるの)などと、話題をすり替え、検察庁法改正案の問題を矮小化することに必死になっている。
だが、連中がどれだけ荒唐無稽な陰謀論や話のすり替えをまくし立て、安倍首相を擁護しようとも、もはやほとんどの人たちが、その詐術や愚かさに気がついている。
実際、前述した芸能人・文化人たちだけでなく、小泉今日子や城田優、古舘寛治、水原希子、鈴木砂羽、元AKB48の秋元才加、水野良樹(いきものがかりの)、岸田繁(くるり)、日高光啓・末吉秀太(AAA)、コムアイ(水曜日のカンパネラ)……挙げていけばキリがないほど多くの人たちが、いち市民という立場から法案に反対の声をあげてきた。一方、この期におよんで「中国の尖閣侵入のほうが重要」などと言って安倍政権を擁護しようとしているのは、“ネトウヨタレント”のほんこんやつるの剛士ぐらいのものだ。
安倍応援団やネトウヨの難癖や攻撃は今後も続くだろうが、だからこそ、まっとうな声をあげている芸能人や文化人は、その圧力に屈してほしくない。きゃりーぱみゅぱみゅは11日に〈理由はファンの人同士での私の意見が割れて、コメント欄で激論が繰り広げられていて悲しくなり消去させて頂きました〉として、抗議のツイートの削除してしまった。しかし、メルヘン世界の住民と化している安倍応援団以外、誰がどう見ても、今回の「検察庁法改正案」は異常なのだ。この現実は揺るがない。絶対に、廃案にしなければならない。
(編集部)
最終更新:2020.05.11 10:36
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