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新年特別企画◎安倍政権御用ジャーナリスト大賞(後編)
「御用ジャーナリスト大賞」に輝いたのは誰だ? 田崎史郎と三浦瑠麗“自民党から高額講演料”の二人の戦いに
テレビ朝日『朝まで生テレビ』に出演した三浦瑠麗氏と同『モーニングショー』での田崎史郎氏
1年間、安倍首相をかばいまくり、安倍政権の貢献し続けた御用ジャーナリスト、学者、コメンテーターを選ぶリテラの新年恒例企画「御用ジャーナリスト大賞2018」。後編は5位から2位、そして大賞を発表しよう。大賞に輝くのは、メシ友常連のあのジャーナリストか、それとも“スリーパーセル”のあの学者か?
5位●小松靖(テレビ朝日『ワイド!スクランブル』MC)
驚愕の「ネトウヨ思考」局アナが地上波情報番組のMCに!
『報道ステーション』リニューアルで政権批判報道がめっきり減ったが、テレ朝のこうした動きは他の情報番組でも進行。同じタイミングで『ワイド!スクランブル』がキャスターだった橋本大二郎を降板させ、その後釜として大抜擢されたのが小松靖アナウンサーだった。
そして、この小松アナ、キャスターを務めていたAbemaTVのニュース番組『Abema Prime』やBS朝日の『日曜スクープ』で安倍政権擁護や右派的主張を連発、ネトウヨに大人気の局アナだったのである。
たとえば、今年8月、杉田水脈議員の“生産性がない”問題を取り上げた際には、謝罪撤回はおろか一切説明すらしていない杉田議員の姿勢をウーマンラッシュアワーの村本大輔が批判すると、小松アナは「杉田さんが出て来ないという決断を当面してる以上は、出て来ないのはおかしいという欠席裁判になるような一方的なことは。村本さんがおかしいと言うのは自由だけど、おかしいという価値判断をしてしまうことは難しい」と無理やりな擁護。
これには村本以外の出演者からも反論が出たが、それでも小松アナは「だって殺害予告が出てるわけですよ」などと杉田議員の言い訳に丸乗りし、頑として譲らなかった。
また、4月に愛媛県で「首相案件」文書が見つかった加計学園問題でも、小松アナは『日曜スクープ』で「限りなくグレーな以上、クロとは言えない」「推定無罪という原則は何事にもある」「印象だけで物事が進んでいくことの危険性を我々は知っておかなければならない」などとキャスターでありながら安倍応援団そっくりの擁護を展開したのだ。
だが、もっとも唖然とさせられたのは、昨年8月に『Abema Prime』が沖縄基地問題をあつかった際、小松アナが基地反対運動へのデマ拡散で知られる「八重山日報」の記者と一緒に沖縄基地反対運動の現場を取材したこと。
その際に基地反対運動の住民に「八重山日報は中立、客観的」「沖縄タイムスや琉球新報は反基地ありき」「反対、反対だけ載せると、みんなそっちに流れちゃうじゃないですか」などと無神経なネトウヨそっくりの主張を繰り広げたのだ。
さらに今年9月、沖縄県知事選を特集したときもこの小松アナの現地取材の模様を流し、そのなかでも小松アナは市民の強制排除を「作業」と呼び、番組は反対派の運動を「過激な抗議活動」と紹介したのだった。
『ワイド!スクランブル』でも、何かと“野党は対案を出せ”などと強調するなど、小松アナの政権擁護姿勢は健在。なにより、完全にネトウヨ思考の局アナが地上波の情報番組でMCを務めている事実は衝撃的だ。
今後の発言に注意を向けていく必要があるだろう。
4位●八代英輝(弁護士)
共演者からも「権力に従順な、長いものに巻かれた男」の称号が
番組MCの恵俊彰が菅義偉官房長官と会食したといわれるなど、すっかり安倍応援団番組として定着してきた『ひるおび!』(TBS)。そのなかでもとくに存在感を発揮しているのが、番組レギュラーの八代英輝弁護士だ。
森友問題で決裁文書が改ざんされていると朝日新聞がスクープした際には、「私はちょっと踊りたくないなと思っている」「(改ざん前)文書があると立証責任を負っているのは朝日新聞」などと元裁判官の弁護士とは思えない論理で朝日報道がまるで“誤報”であるかのごとく攻撃。
しかし、改ざんの事実を政府が認め、改ざんに政治の力が働いたのではという見方が出るなかで、「『こんなことを役人だけでできるはずがない』って感情論だと結論が見えてこない」と「感情論」呼ばわりして否定。その一方で「(改ざんによって)もみ消したところで(政権の)プラスにならないし、もみ消しのメリットもないですよ」と、まさに感情論丸出しで政権の関与を否定したのである。
同じように、加計問題で「首相案件」文書が愛媛県から出てきたときも、“愛媛県が柳瀬唯夫首相秘書官の名刺を出さないのはおかしい”“柳瀬氏の言うとおり名刺交換はしていないのでは”と愛媛県に疑いの目を向けた。だが、こちらも後日、愛媛県側が柳瀬氏の名刺を公開。こうやって八代弁護士は毎度必死になって政権の嘘や疑惑隠しのフォローに勤しんできたのだ。
それが顕著に表れたのは、入管法改正案の話題のときだ。八代弁護士もさすがに中身がボロボロのこの法案を「お粗末極まりなさすぎる」と指摘。しかし、そのまとめは「(野党が)対案を示して国民が選択肢を得ることが必要だった」。
法案を提出した政府を批判せず、結局は野党バッシングで締めくくったのだ。
ソフトな語り口で、一見ニュートラルに話しているように見えて、その中身は滅茶苦茶な理屈で擁護するばかり。それでも全国ネットでは本性を抑えていて、影響度の低い関西ローカルではもっと露骨で乱暴な政権擁護を繰り出している。実際、『胸いっぱいサミット!』(関西テレビ)では、消費税増税について「8から10に変わるだけですよ」「法律で決まっているんです、私たち代表で選挙でしか意見を言えない。その選挙で選んだ人たちが決めたことを、なんで私たちが今度反対するんですか」と発言。これにはブーイングと反論が巻き起こり、遙洋子に「権力に従順な男やのぉ!」「長いものに巻かれて生きてこられたんですね」と鋭いツッコミが飛んだ。
ぜひ、八代弁護士には全国ネットの番組でも「8から10に変わるだけですよ」とわかりやすく政権の味方をし、その実態を白日の下に晒していただきたいものだ。
3位●松本人志(芸人)
文書改ざんで「安倍さんの足を引っ張るため」と失笑陰謀論を披露
この「御用ジャーナリスト大賞」上位常連である松本人志だが、2017年末についに安倍首相の会食をし、“寿司トモ”(実際食べたのは焼肉だったが)の仲間入り。2018年もここぞとばかりに“政権応援最強芸能人”としてアシストに勤しんだ。
たとえば、韓国が慰安婦問題日韓合意見直しの方針を打ち出したことで平昌冬季五輪開会式への欠席を安倍首相がちらつかせた際、『ワイドナショー』(フジテレビ)も歩調を合わせるかのように韓国批判を展開。松本は日韓合意について「(10億円を)返してくれよ(と言うと韓国は)『返さない』。で、『誠意を見せろ』。じゃあどんな誠意を見せたらいいんですか? (韓国の返事は)『考えろ』。(スタジオ爆笑)……めちゃくちゃですよね」などと語った。
この発言はまったく事実ではない。日本政府は韓国からの10億円返還など求めておらず、韓国政府は新方針で自国での10億円負担を予算化しているのだ。実際に菅義偉官房長官も「現実に10億円のこと言って来たら、それは再交渉と同じじゃないですか。ですから私は日本は1ミリたりとも動かないと。まったく応じる気はありません」と述べている。つまり、韓国が「10億円は返さない」と言った事実などなく、返還に応じないのは日本のほうなのに、松本はこうした虚偽によって韓国が強欲で無理難題を押しつけているような印象を広めたのだ。
さらに、財務省セクハラ問題で「ハニトラじゃないのか」と麻生財務相と同様の“はめられた説”を唱え、杉田水脈議員の“生産性がない”問題でも、「新潮45」(新潮社)の寄稿文を読んだと語った上で、「前段はねえ、なんかこう、そんなにおかしなことは言うてなかったんですけど」と言い放った。言っておくが、杉田議員の寄稿文は冒頭から一貫して性的マイノリティへの偏見と蔑視、差別感情に満ち満ちていたにもかかわらず、だ。
松本は「『生産性がない』っていうのは絶対言っちゃだめな言葉」と述べていたが、結局は「生産性」という言葉・表現をNGだと言っているに過ぎないのだ。
しかし、象徴的だったのは森友問題でのコメントだろう。なんと、松本は公文書改ざんなどについて「安倍さんの足を引っ張るために、っていう裏の読み方も(ある)」などと恥ずかしすぎる陰謀論を開陳したのである。どれだけ安倍首相が大好きなんだ……と脱力せずにはいられない。
今年、改憲に邁進したい安倍首相は、またも『ワイドナショー』に登場するかもしれない。そのとき、松本はどんな“愛”を見せるのか。気持ち悪いので、できればみたくないのだが。
2位●三浦瑠麗 (国際政治学者)
「スリーパーセル」のデマ煽動! その裏では自民党からカネも…
松本と同様、2017年に安倍首相との会食デビューをし、2018年は安倍首相が開催する有識者会議「安全保障と防衛力に関する懇談会」のメンバーにも抜擢。“スリーパーセルで大阪がヤバイ”などというデマを平気で口にする人物が有識者とは“アベ友会議”の底の浅さがよくわかるというものだが、安倍首相の期待通り、三浦は2018年も政権擁護で大活躍。
なかでも驚かされたのは、森友文書改ざん問題で近畿財務局の職員が自殺したと報じられた3月9日の『みんなのニュース』(フジテレビ)でのコメント。三浦は「この問題っていうのは人が死ぬほどの問題じゃない」と言い切ったのである。
この発言に批判が集まると、三浦は“悪意ある切り取り方をされたデマ”だとして反論したが、実際に放送でそう発言している。その上、三浦は、一連の発言のはじめに「最初は本当に小さな事件から始まった」と言い、「責任者はまあ処分するかもしれないけど」と処分が必要かどうかわからないレベルというニュアンスをちらつかせながら、「人が死ぬほどの問題じゃない」という言葉につなげたのだ。現実に自殺者が出ている事件で、こんな上から目線の物言いはありえないだろう。
また、財務省セクハラ問題では〈性暴力は親告罪。セクハラでも被害者が情報を提供しないと、それ以外に認定することができない〉と2017年の刑法改正を知らないという無知を晒したかと思えば、財務省による調査協力という名の“恫喝”行為を〈みんなで名乗り出ないと Metooにはならない〉〈ここではみんなで「言えないよね」というのではなく、いるならみんなで名のり出よう、というべき〉などと主張した。
ちなみに本サイトでお伝えしたように、2017年分政治資金収支報告書によると、自民党本部と自民党山口県連が合計627580円を三浦に支払っている。
これは安倍首相のお膝元である自民党山口県連が2017年10月29日に開催した「政経セミナー」での講師料と交通費を合わせたものと見られるが、メディアで安倍政権をアシストする一方でこうした金銭のやりとりがあることは見過ごせない問題だろう。
1位●田崎史郎(政治ジャーナリスト)
政権の代弁者”であることを自ら認め、森友加計でフル回転!
第1位はやはりこの人だろう。2016年、2017年と続けて御用ジャーナリスト大賞1位に輝くなど本サイトでは長らくその御用ぶりを批判し続けてきたが、安倍御用ジャーナリストの代表格として知れ渡ったようだ。 今年2月には「週刊文春」(文藝春秋)がおこなった「嫌いなキャスター&コメンテーター」で、「ジャーナリストとしての信念を感じない」「政権広報が必要なら与党政治家を呼べ」という意見が集まり見事ワースト2位にランクイン。
さらに6月末に時事通信社から契約が切られたが、時事通信の労働組合のひとつ「時事通信労働者委員会」のレポートによると、田崎の報道姿勢に苦情が大量に寄せられていたらしく、労働者委としても「マスコミの役割は権力のチェックであり、政権にあまりにも近い会社だと言われることは報道機関として致命的だ」として社に田崎との関係を速やかに解消するよう要求してきたという。
しかし、こうしたジャーナリストとしての姿勢を問う声があがっても、当の“田崎スシロー”はどこ吹く風。森友文書改ざん問題では「理財局の暴走」「理財局による組織防衛」「(改ざんは)大臣も官邸も自民党も知らなかった」などと主張。さすがにあまりにも無理がありすぎる擁護だが、これには同じく安倍応援団の八代英輝弁護士も「それを田崎さんが言っても説得力ないって、なっちゃうんだと思うんですよ」と合いの手を入れ、スタジオは笑いに包まれた。
ようするに、“政権を必死に擁護する人”としてすっかりお茶の間にまで認知され、それで笑いがとれるまで進化してしまっているのである。
実際、田崎本人も“政権の代弁者”“安倍応援団”であることを隠そうとさえしない。
『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)で 「首相案件」文書を扱った際、加計学園関係者や愛媛県職員らが柳瀬首相秘書官と面談していたかどうかについて、「僕でさえ、本当は会ってると思う」と発言。ようするに、“安倍応援団のボクでさえ”とコメントしたのだ。これにはMCの羽鳥慎一も「田崎さんが僕で“さえ”って、言ってしまう」とつっこみ、田崎自身、自分の発言がウケたことに気を良くしてか、なんだかうれしそうに一緒に笑っていたのだった。
また、先日12月26日、田崎はほかの新聞社やテレビ局の幹部たちとともに安倍首相としゃぶしゃぶを囲んだばかりだが、翌朝の『モーニングショー』では捕鯨問題に絡んで玉川徹が「鯨の本当においしい部分は議員さんとかが食べるとこに行く」「田崎さんも食べてるかもしれない」などと皮肉った。しかし田崎はまんざらでもない様子で否定さえしなかったのだ。
いや、もっと露骨に開き直ったのが、1月8日の東京新聞に掲載されたインタビューだ。
「総理の本音を知ることは、安倍一強とされる政治を知る上で重要な要素だ。政権べったりと批判を受けても悪いと思わない」
「今も利用されていると感じているが、利用されるかどうかはこちらの判断。『いずれ書くぞ』というのが、最大の良心でありプライドだ。言いなりの記者には視聴者の目も厳しい」
「いずれ書くぞ」って、第二次安倍政権6年間のあいだに一体どれだけのことが起きてきたことか。権力を監視するどころかバックアップしてきたことの罪を、何一つとして感じていないらしい。
どうか今年は、ジャーナリストではなく“政権ヨイショ芸人”としてさらなる磨きをかけていただき、たんに失笑される人として消費尽くされることを祈るばかりである。
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いかがだったろうか。こうした御用ジャーナリストやコメンテーターや忖度メディアに守られて、公文書改ざんなどという国家の根幹を揺るがす大事件が発覚しても、ボロボロの法案を強行採決させても、外交で大失敗を重ねても、安倍首相は責任をとることもなく総理として居座りつづけているのである。
しかも、今年は安倍首相が憲法改正に向けた動きを加速させることは必至であり、こうした安倍応援団の活動が改憲PRに使われていくことは目に見えている。
「権力の監視」こそメディア、ジャーナリストの使命だが、そのジャーナリストが「政権に加担」していないか。本サイトは今年も厳しくメディアチェックしていきたいと思う。
前編はこちら
(編集部)
最終更新:2019.01.02 10:49
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