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1億円買収が発覚してもレコード大賞は予想通り、AAAなど候補にバーニング押しの曲が! “癒着”審査委員に反省なし
TBS『第58回輝く!日本レコード大賞』番組サイトより
今月17日、『第58回輝く!日本レコード大賞』(TBS)の各賞受賞者・受賞曲が発表された。
「優秀作品賞」は、西野カナ「あなたの好きなところ」、浦島太郎(桐谷健太)「海の声」、坂本冬美「女は抱かれて鮎になる」、きゃりーぱみゅぱみゅ「最&高」、AKB48「365日の紙飛行機」、AAA「涙のない世界」、宇多田ヒカル「花束を君に」、西内まりや「BELIEVE」、氷川きよし「みれん心」、いきものがかり「ラストシーン」の10作品。
12月30日の放送でこのなかから大賞が選ばれるわけだが、周知の通り、レコード大賞といえば、「週刊文春」(文藝春秋)2016年11月 3日号で、芸能界のドン・周防郁雄社長率いるバーニングプロダクションが三代目J Soul Brothers(以下、三代目)にレコ大をとらせた見返りに、三代目の所属事務所・株式会社LDHに1億円を請求していたという事実が、請求書の写真付きですっぱ抜かれたばかりだ。
これが、これが普通のイベントなら、絶対に取り止めか延期になりそうなものだが、しかし、この日、まったく何もなかったかのように授賞者が発表されたのだ。もちろん文春報道への一言も釈明もなかった。
しかも、唖然としたのはそのラインナップだ。前出「週刊文春」には、レコード大賞関係者のコメントとして、今年もバーニング系アーティストが受賞確実のような、こんな証言が掲載されていた。
「まだ候補曲を絞る粗選りの段階ですが、早くもエイベックスのAAAとバーニングの広報担当者がプッシュする西野カナ、CMで『海の声』がヒットした桐谷健太あたりに金賞の当確が出ていると言われています」
そう、ラインアップをみると、「週刊文春」記事の予測そのままで、「優秀作品賞」のラインナップに、エイベックスのAAAやバーニング傘下のライジングプロダクションに所属する西内まりやといった面々が相変わらず入っている。まったく反省の色なしといった状況だ。
いったい、なぜこんなことになるのか。レコ大の審査委員のほとんどはスポーツ紙記者や新聞記者、テレビ局の局員で占められている。たとえば、「優秀作品・新人賞委員」では、審査委員長の毎日新聞、副委員長の日刊スポーツを筆頭に、読売新聞、時事通信、産経新聞、東京中日スポーツ、報知新聞、東京スポーツ、MBS毎日放送、RKB毎日放送といったマスコミ関係者がずらり(第57回時点)。
「アルバム賞委員」「作曲家協会選奨・最優秀歌唱賞委員」にも、デイリースポーツ、東京新聞、日本経済新聞、日刊スポーツ、スポーツニッポン、サンケイスポーツ、夕刊フジ、CBC、HBC北海道放送と、日本のすべてといっていいスポーツ紙の記者が名を連ねている(第57回時点)。
報道機関に所属している人々はなぜ、こうした腐敗の決定的証拠が発覚してもそれを無視し、従来通りの出来レースを続けていられるのか。彼らに倫理感覚はないのか。
いや、実はないのである。こうしたレコ大審査委員に名前を連ねているマスコミ関係者のうちの多くがB担と呼ばれるバーニングべったりの記者で、バーニングの“共犯者”なのだ。
「週刊文春」によれば、「優秀作品・新人賞」審査委員15人のうち、「最低でも8名は普段からバーニングと仕事の付き合いがある記者」で、審査委員のなかには自らバーニングに出向き、「今年はどうするんですか?」と聞きにいく者もいるという。
そうした癒着関係のある審査員たちには、なんともおいしい接待が用意される。ただ、こういった話は昨日今日出てきた話ではなく、ずっと指摘され続けてきたことだ。「週刊新潮」(新潮社)では、レコ大の審査委員経験者や関係者が、自分たちの受けた接待についてこう証言している。今回の「1億円」のも、おそらくこのようなかたちで使われたものだろう。
「高価な贈り物や商品券が届くこともあるし、授賞させたいと思われるタレントの曲や映像が入った高価なiPodが送られてきた人もいます。銀座や六本木のクラブでの接待や、有名店でのディナー攻めも多い。これだけご馳走になったら投票しないわけにはいかない、と思う人もいるし、審査員がそれを逆手に取って、投票するからネタをくれ、などと要求するケースも多いですね」(08年9月11日号)
「11月18日の第4回会合までには受賞作がほぼ確定する見込みですが、それまでは昼も夜もレコード会社や芸能事務所の宣伝担当者との会食が入っている。昼に鰻、夜にしゃぶしゃぶ、あるいは昼ステーキで夜は寿司。当然、酒も入る。そんな毎日ですから、胃腸も肝臓も最悪の状況ですよ」(11年11月17日号)
「J-POP系のあるレコード会社では、5人の宣伝部員が1人あたり300万円以上の予算を持ち、さらに制作部も動くので、レコ大関係の接待費は2000万円を下らないでしょう。同社の場合は、高級焼き鳥店などで食事をした後、六本木のクラブのVIPルームで女の子と飲むことが多いようですが、演歌系の大手事務所などは、一次会は1人3万円位するしゃぶしゃぶ屋で、二次会は銀座の高級クラブ……と、会社や事務所によって接待の流儀はそれぞれです」(同前)
レコ大1億円疑惑が大きな反響を巻き起こした翌週、「週刊文春」16年11月10日号には、レコード大賞の最高責任者であり「レコ大のドン」とも呼ばれる、日本作曲家協会会長の叶弦大氏が登場し、「このような証拠が出た以上、放置しておくわけにはいかない」とのコメントを残していた。だが、前述の通り、「優秀作品賞」の発表時に1億円騒動に関する言及はなかったし、そのラインナップには相変わらず芸能界の裏の政治事情が垣間見える。「放置しておくわけにはいかない」ための行動を本当にしているのか疑問は残る。
ご存じの通り、バーニングに忖度するテレビ各局のワイドショーはこの問題を一切報じていないし、スポーツ紙も同様だ。
これだけの証拠を突きつけられながら、レコ大は結局なにも変わることができなかった。今度こそレコード大賞は本当に視聴者から見放されてしまうだろう。
(新田 樹)
最終更新:2017.11.12 02:09
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