『バイキング』に元文春記者が出演! なぜ文春はスクープを連発できるのか? 語られなかった意外な裏事情とは?

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「週刊文春」(文藝春秋)2016年3月17日号

「週刊文春」(文藝春秋)の勢いが止まらない。ベッキー&ゲスの極み乙女。川谷絵音の不倫スキャンダルにはじまり、甘利明TPP担当相の収賄スキャンダル、宮崎謙介・衆院議員の不倫スクープ、そして、神戸児童連続殺傷事件の少年Aを直撃──。8日に記者会見が行われた巨人・高木京介選手の野球賭博関与問題も「週刊文春」から球団側に取材があったことで事態が明るみになっており、今日発売の3月17日号にはその真相が掲載されている。

 最近のスキャンダルの大ネタはほとんど「週刊文春」によるものだと言ってもいいほどの快進撃。なぜ「週刊文春」だけがこれほどにもスクープを連発できるのか? 最近は「AERA」(朝日新聞出版)や「創」(創出版)をはじめ、その理由を検証する記事が多く掲載されているが、そんななか本日『バイキング』(フジテレビ系)でも、その秘密に迫る企画が放送された。

 番組には、元「週刊文春」記者の中村竜太郎氏が出演。「「週刊文春」はスクープのためなら経費を惜しまない。そのため優秀な記者が集まる」「企画会議では週に250本近くのスクープネタが集まる」など、その理由を解説していたが、もうひとつ本サイトが報じていた内情にも触れていた。それは、昨年「春画」問題で新谷学編集長が3カ月間の“強制休養”を命じられた一件との関係だ。

『バイキング』では新谷編集長がいない間にネタをためていたという話で終わったが、その背後にはもっと深い裏事情があった。

 その内幕をレポートした記事を再録するので、是非読んでみてほしい。
(編集部)

********************

「週刊文春」(文藝春秋、以下「文春」)のスクープラッシュが止まらない。新年早々1月14日号に掲載されたベッキー&ゲスの極み乙女。川谷絵音の不倫スキャンダルにはじまり、続けざまに現役閣僚だった甘利明TPP担当相の収賄スキャンダルで大臣の座から引きずり下ろした。さらに2月18日号では“イクメン議員”として名を馳せた宮崎謙介・衆院議員の不倫をスッパ抜き、宮崎氏は議員辞職へ。そして同月25日号では神戸児童連続殺傷事件の少年Aを直撃──。まさにスクープのデパート、ひとり勝ちといった様相で、甘利問題第一弾とベッキーの「センテンス スプリング!」なるLINE流出を報じた1月28日号は2年4カ月ぶりに完売した。

 ここ10年来、「文春」は一般週刊誌の中で部数トップを維持し、数々のスクープを飛ばしてきた。とはいえ、このスクープラッシュは異例の展開。それゆえ、業界内のみならず一般読者のあいだからも「なぜ『文春』だけこれだけスクープを連発できるの?」という疑問の声があがっている。

 だが、この「文春」スクープ連発には、“意外な理由”が隠されていた。それは、いまから4カ月前に起きた例の「春画」問題だ。

 昨年10月8日、「文春」の新谷学編集長は3カ月間の“強制休養”が命じられた。この決定は文藝春秋・松井清人社長自らが下したものだが、原因は同誌に掲載された「春画」グラビアだった。これが「品位と伝統を穢す」として松井社長が激怒、現役編集長への異例の強制休養を発令したのだ。

「この異例の休養命令は編集部で大きな波紋を呼びました。突然、編集のトップがいなくなり、それまで進めてきた記事の扱いなど混乱が生じたのです。それだけでなく『経営側が編集に介入することこそ文春の伝統を穢す』と反発する声も上がりましたし、社長や経営幹部に対する反発の声もあった。新谷編集長はワンマンで決して人望が厚いタイプではないですが、そのイケイケ路線を支持し慕う新谷派の編集者や記者も多かったんです」(文藝春秋関係者)

 しかも、松井社長はこの強制休養を、あくまで“休養”であって“処分”ではないとし、新編集長を置くわけでもなく、かつて同誌の編集長を務めた役員の木俣正剛氏を“代行”に立てた。これにより、「文春」編集部ではさらに反発と混乱が広がったようだ。新谷編集長の休養後、マスコミ業界雑誌「創」(創出版)15年12月号には、編集部で新谷編集長休養を伝える松井社長の説教の一部始終が掲載されたが、これも新谷派のスタッフが隠し取りしたものだと言われているほどだ。

 当然、松井社長への反発だけではなく、編集部の士気も一気に下がった。実際、新谷編集長が休養中のあいだの「文春」の誌面は、「あなたの年金があぶない!」「『血圧は120以下に』は本当か?」「東京がテロの標的となる日」など、スクープ記事とはほど遠い企画で埋め尽くされている。

 しかし、こうした誌面は、編集部の士気の低下だけが理由ではなかったようだ。じつは、「文春」編集部スタッフは、“スクープの出し惜しみ”をしていたのである。

 たとえば、スタッフがネタを出しても、デスクが「これは今やるネタじゃない」「タイミングが悪い」と言って企画が通らなかったり、水面下で進めていた記事もなかなか掲載されないといったことが続発していたという。

「編集部では、上層部に反発した一部による『新谷さんが戻って来るまでスクープネタは掲載しない。ただし水面下では取材を進め、新谷さんが復帰した後にそれを一気に放出しよう』という空気が流れていました。新谷編集長を休養させた上層部への精一杯の抗議であり、嫌がらせ、意趣返しですね」(同前)

 たしかに、新谷編集長が復帰した今年に入ってからのスクープを見ると、タイミング的に不自然なものが多い。甘利前大臣の収賄報道にしても、1月28日号に掲載されたグラビアでは、昨年10月19日には甘利前大臣の公設第一秘書と告発者の間で現金授受の現場を写真に記録していたことがわかる。また、少年Aの記事にしても、昨年9月の段階で少年Aの住居と姿を確認しており、以降、頻繁に転居を繰り返した少年Aをずっと追い続けているのだ。記事にも明記してあるが、所在を把握して以降120日も取材に費やしている。いくら慎重さが求められる少年犯罪の記事だとしても、週刊誌が120日間もひとつのネタを温存し続けるのは異常だ。

 しかも、こうしてネタを出し惜しみした結果、大スクープを逃してしまうという痛恨の事態も起こっている。それがSMAPの分裂・独立問題だった。

「じつは、SMAP独立騒動に関しては、『文春』が昨年から先行して取材をしていたといわれています。昨年末には取材もほぼ終了し、ウラ取りも完璧だった。しかし“新谷待ち”で記事を出さなかったため、タイミングを逸して結局『週刊新潮』に抜かれてしまったようです」(週刊誌記者)

 事実、「週刊新潮」がSMAPの分裂・独立問題をスクープした翌週の「文春」のグラビアを見ると、昨年12月4日にはSMAPの育ての親で騒動のきっかけとなった飯島三智マネージャーの仕事帰りの姿や、1月3日には飯島マネージャーと香取慎吾が車中で密談している様子、そして1月8日には中居正広の姿をキャッチしている。

「さすがにこれは編集部員も相当悔しい思いをしたようです」(同前)

 ともあれ、「文春」のスクープラッシュの真相は、社長に対する“内乱”が理由であり、社会を揺るがしたSMAPのスクープをみすみす取り逃していた。──これには、週刊誌業界からは「雑誌は読者に向けてのものなのにプロ意識がない」「縄張り根性が酷すぎる」などと批判する声も一部にはあるらしいが、このスクープラッシュが意外な副産物を生んだようだ。

 結果的に溜め込んでいたスクープを一気に放出したことで、「文春」は世間から一気に注目を集めたが、これにより、いま、編集部にはタレコミが大量に押し寄せているというのだ。

「告発する側もどうせなら話題になってほしいから、勢いのあるところにタレコミは集中するんです。いま、『文春』には、政治や芸能、企業ものまで、スクープラッシュならぬ“告発ラッシュ”で、スタッフは対応に大わらわらしいですよ」(同前)

 この調子だと今後もしばらく「文春無双」はつづきそうだ。
(時田章広)

最終更新:2017.11.24 08:30

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