差別に関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
「ソウルに劣化ウラン弾おとせ」安倍首相のFacebookは保守速報よりヒドい
安倍晋三Facebookより
安倍晋三のヘイト好きが止まらない。先日は「中国はゴキブリ」「韓国はダニ」といったおぞましい差別言辞を連発する神社宮司と親密な交友関係をもち、自費出版本に推薦文まで書いていた事実を指摘したが、今度はなんとヘイトサイトを拡散したことが明らかになった。
解散に疑義を呈する「#どうして解散するんですか?」というサイトを立ち上げたのが小学4年生でなく、大学生のなりすましだった騒動で、安倍首相自らがまるで鬼のクビをとったようにこれを取り上げたのだが、その際に、なんとヘイトサイトでもっとも悪質といわれる「保守速報」をシェア。しかも、「選挙目当ての印象操作ではないでしょうが」などという解説を加えながら、民主党の陰謀というデマをそのまま垂れ流したのだ。
だいたい「保守速報」といえば、中国人や韓国人への差別発言、ヘイトスピーチが満載され、その内容は妄想と陰謀論だらけのまとめサイト。いまや2ちゃんねらーの間でも失笑の対象になっている。今年8月、その人種差別発言に対して在日コリアンのライター李信恵から損害賠償を求める訴訟を起こされ、現在、係争中でもある。
国際社会がヘイトスピーチに対して一斉に非難の声を明けている中での安倍首相の行為には、ネットユーザーから批判が殺到。駒崎弘樹、宇野常寛、津田大介といった特別、政権に批判的でない識者の間でも疑問の声が上がった。そして、安倍首相側はこうした騒動に慌てて、「保守速報」のシェア部分を削除した。これが今回の騒動の概要である。
しかし、かえすがえすも驚かされるのは、一国の首相がこんなヘイトサイトをシェアしていたという事実だ。ツイッターなどには、「やったのはスタッフでしょうけど」「書いたのはたぶん秘書」という意見が散見されるが、取材してみるとどうもそうではないらしい。官邸担当記者がこう語る。
「Facebookは安倍首相以外に、秘書と専門スタッフが書き込めるようにしているらしいですが、秘書の場合は『秘書です』と書くことが多い。それ以外は本人が書いているか、指示をして書かせているケースがほとんどです。今回もアップされたのは安倍首相が私邸に戻った夜ですし、本人が秘書の初村竜一郎の投稿を見つけてシェアした可能性が高い。それでスタッフに拡散を指示したんでしょう」
本人が直接やっていたとは、ますます唖然とさせられるが、安倍首相がネトウヨやヘイトスピーチに抵抗感がないのは、Facebookを見れば明らかだ。安倍首相のFacebookのコメント欄には「保守速報」や在特会顔負けのこんなヘイトスピーチが大量に見られる。
「(反対勢力は)売国奴以外の何物でもない。きっと在日だよ」
「反日在日韓国人わ徹底的ニ潰しましょう(原文ママ)」
「日本国内のとりあえず中華料理屋店 韓国料理屋店、関係店をぶっ潰せ〜」
「野生唐物 北京原人を射殺してください」
「中国朝鮮3国もろとも殲滅でいいきましょう」
「北京とソウルに、原爆よりえげつない、核物質搭載(劣化ウラン)イプシロンミサイルを打ち込んでしまえ〜。」
そして、安倍首相はこうした書き込みをまったく削除することなく、世界中が閲覧できる状態にしているのだ。
ユーザーの意見を勝手に削除できないと弁明するつもりかもしれないが、一方で、安倍首相のFacebookは、批判的な意見にはしばしばブロックをかけることで知られている。つまり、安倍首相は明らかにユーザーを選別しているわけで、逆に言えば、これらのヘイトコメントの発信者は安倍首相からその存在を認められているといってもいいだろう。
もちろん、こうした背景には安倍首相の個人的な志向、資質がある。
「安倍首相はもともと、右派メディアが自分のことを絶賛しているのを読むのが好きなんです。新聞も産経新聞を真っ先に読むらしくて、机の上に置く順番も一番上が産経、一番下が朝日と決まっている。Facebookでも自分を評価する右派読者の意見を見るのが大好きで、『いいね』が多いと、すごく機嫌がよくなるらしいですよ」(前出、官邸担当記者)
いや、「好き」どころではない。国会でなんの根拠もない朝日陰謀論を叫び、JR東日本の労組JR総連から献金をもらっているというだけで、民主党の枝野幸男幹事長が「殺人を行っている団体とつながっている」と決めつける。『NEWS23』(TBS系)で見せたように、自分に対する批判的な意見は全部「捏造」「ヤラセ」にして、被害者を気取る。安倍首相を見ていると、本人の思考回路が“2ちゃん脳”、ネトウヨそのものであることがよくわかる。
そういう意味では、今回の「保守速報」シェアも一部でいわれているような「リテラシーの低さ」などではなく、むしろ、確信犯といっていいだろう。安倍首相は明らかにヘイトサイトを支持し、そのネトウヨ的な主張を拡散することを意図していたはずだ。
実際、自民党は数年前からまさに安倍首相を中心にこうしたネトウヨ的支持者を組織化してきた。そのカギを握っているのが「自民党ネットサポーターズクラブ」(J-NSC、通称ネトサポ)の存在だ。
この問題を記事にした「週刊現代」(11月22日号)によると、このJ-NSCは自民党が下野した2009年、ネット上の支持者に呼びかけて生み出された組織。党員ではないが、会員になる際は、実名、住所などの個人情報を提供して「夢と希望と誇りを持てる日本を目指すため。党勢拡大をはかり、日本再建を実現する」という規約に同意しなければならない。
そして、このJ-NSCの会員が自民党の対立候補や他党に対するネット上のネガティブキャンペーンの中心的役割を担ってきたのだという。同時に、その中から自らのFacebookやツイッターにヘイトコメントを載せる者が登場するようになった。
「週刊現代」はその危険性をこう指摘している。
「まさに自民党は、その意を汲んで動く少数精鋭の『親衛隊』を、ネットを通じて養成している。これはつまり、自民党は自らの手を汚すことなく、ネットを悪用して批判の声を封殺することさえできるようになるかもしれないということである。政権与党が、陰湿な手口で『言論の自由』を脅かしている疑いがあるのだ。」
しかも、彼らはどんどん勢力を拡大し、現在では1万5000人を超えるともいわれている。もしかすると、今、ネット上で安倍を擁護し、差別的言辞をまき散らしているネトウヨたちは、かなりの部分でこのJ-NSCと重なっているのではないか。
だとしたら、結論はひとつ。ヘイトを止めるには、まず、安倍政権と自民党を止めなければならない。そういうことだろう。
(野尻民夫)
最終更新:2014.11.29 10:46
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