すぎやまこういち氏死去でマスコミが封印した歴史修正主義と性的マイノリティ差別肯定発言…朝日は五輪開会式を持ち出して絶賛

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朝日デジタルは五輪開会式のドラクエ持ち出し「誰もが待ってました!と叫んだ」

 言っておくが、海外のメディアは今回のすぎやま氏の訃報を受けて、その功績とともに負の側面にもスポットをしっかり当てている。

たとえば、アメリカのゲーム・エンタテインメント情報サイト「IGN」は、今朝配信した記事で、ゲーム音楽界に残した功績とともに「LGBTQ +の人々や、第二次世界大戦における日本の行動について、物議を醸す見解で知られていた」と言及し、杉田水脈氏の差別的主張を支持したことや旧日本軍の慰安婦問題をめぐり「日本のナショナリストたちのレトリックに賛同」していたことなどを紹介している(ちなみに、この記事を配信したのは「IGN」の本家であるアメリカ版だが、「IGN」の日本版サイト「IGN Japan」を運営しているのは産経デジタルだ)。

 海外メディアはすぎやま氏が杉田氏の差別発言を支持したことを取り上げているというのに、国内の大手メディアはダンマリを決め込んで功績に光を当てるだけ──。だが、とくに絶句せざるを得なかったのは、朝日新聞のデジタル版記事だ。

 朝日新聞デジタルは昨晩、「「ドラクエ」支えたクラシック様式の数々 すぎやまこういちさん悼む」という記事を掲載。この記事では、冒頭から東京五輪の開会式にすぎやま氏の楽曲が使用されたことについて、〈あのファンファーレが鳴り響いた瞬間、誰もが「待ってました!」と心の中で叫んだのではないだろうか〉と綴り、すぎやま氏のドラクエ音楽が〈多様極まる祝祭の響きがSNSにあふれ、多くの人のステイホームの日常を元気にした〉と紹介。東京五輪の開会式後、海外メディアではあらためて杉田議員の性的マイノリティ差別発言を支持したことが問題になったというのに、この朝日の記事ではその問題には一言も言及することなく、「誰もが「待ってました!」と心の中で叫んだ」などと無邪気に振り返ったのだ。

 朝日は東京五輪の「オフィシャルパートナー」であり、五輪報道ではその弱腰っぷりを見せつけてきたが、ここでも礼賛に終始して、差別問題を無視するとは……。この記事には、専門家などが記事にコメントを加える「コメントプラス」で津田大介氏が、東京五輪開会式におけるすぎやま氏の楽曲使用を批判した海外メディアの記事などを紹介した上で〈「五輪開会式におけるすぎやま氏の音楽の採用」については(中略)何らかの批判的視座から記事を出す必要があったように思います〉〈故人の美談や実績だけを伝えるのではなく、なぜ彼がそのような思想に惹かれたのかといったことも含め、彼が持っていた複雑な側面にも目を向けた記事を書いていただきたいです〉と苦言を呈しているが、あまりにも当然の指摘と言わざるを得ないだろう。

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