『潜入ルポamazon帝国』著者・横田増生インタビュー

ユニクロに潜入したあのジャーナリストが「amazon」に潜入! 秒単位で管理される労働現場と秘密主義の恐怖

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作業中に亡くなった人も 倒れてから救急車が呼ばれたのは1時間後

──アマゾンでは、作業中に亡くなった人もいたと聞いていますが。

横田 週刊誌経由でアマゾン社員からの内部告発があったことが発端でそれを知りました。小田原の物流センターが開設されたから4年で5人のアルバイトがセンター内で死亡したんです。しかしアマゾンの秘密主義からか、公にされてはいません。
 しかも私がセンターでバイトする直前、作業中に50代の女性が亡くなったんですが、そのケースでは、倒れてから救急車が呼ばれたのは1時間も後だった。アルバイトリーダー、上司のスーパーバイザー、アマゾン社員など複数の人間がセンター内で電話をたらい回しにしたためです。周りのアルバイトは携帯電話持ち込みが禁止されていて救急車を呼べなかった。死因はくも膜下出血だったのですが、もっと早く救急車を呼べたら、助かった可能性もあったと思います。今回、その遺族の方にも話を聞いたのですが、 届いたのは3万円の香典だけ、その後もアマゾンからは連絡はないそうです。こうした死亡事例があるのに、アルバイトにも告知されず、あまり大きな問題にならない。マスコミもこれを報じない。赤旗が触れていた程度です。

──今回は、日本のアマゾンの実情だけでなく、海外での事情も取材されています。

横田 イギリス、フランス、ドイツで、労働組合関係者や私と同じくアマゾンの物流センターに潜入したジャーナリストたちに話を聞きました。日本では潜入取材が色物扱いされていますから(笑)、世界各国でアマゾンに潜入したジャーナリストに話を聞きたかった。結果、世界共通標準でやはりアマゾンの労働はひどいことが改めてわかりました。
 ただ、アマゾンの物流センターは世界で同じ運営しているから、そこで働けば似た感想が出てくるのは、最初から予想していたんです。それでも海外の事例を紹介したかったのは、ヨーロッパでは潜入取材は通常のジャーナリズムだということを、日本にも知らしめたいと思ったからです。世界的に見ると潜入取材は頻繁に行われているし、フリーだけでなく組織内ジャーナリストも潜入取材をするんです。特にイギリスでは潜入取材は確立された王道的手法のひとつです。なにしろイギリスBBCやガーディアンだって潜入取材をしているんですから。日本ではNHK記者が潜入取材するなんて考えられないでしょう。

──日本はなぜ潜入取材が色物扱いされるのでしょう?

“汚い方法”だと思われてしまうのでしょう。日本人の生真面目さも関係しているのかもしれません。たとえば鎌田慧さんのトヨタ自動車工場への潜入ルポ『自動車絶望工場』が大宅ノンフィクション賞にノミネートされた際も、「こんな汚い方法で取材した本はダメ」という反対の声が上がったと聞いています。なんというか日本人的感覚なんでしょうね。正面から取材しても答えてくれない。都合のいいことしか言わない。そんな企業を取材するには、潜入取材は真実に迫る数少ない方法なんです。日本でもその認識が広がらないと、巨大企業がやりたい放題になってしまう。

──確かにユニクロ、アマゾン、Googleと、世界を席巻しているグローバル企業はいずれも秘密主義で知られていますからね。

横田 周囲を取材しようとしても、取引業者も社員もアマゾンの秘密主義な体質を知っているからなかなか口を開きたがらない。アマゾン創業者のジェフ・ベゾスは、もともとなんでも秘密にしたがる性格で、その色が特に出ている。秘密ということで労働者をしばり、取引先をしばる。よいしょインタビューは応じるが、都合の悪い取材には一切応じない。だからこそ、私は潜入という手法をとったんです。

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