ブラ弁は見た!ブラック企業トンデモ事件簿100 第17号

壮絶なパワハラで心を壊された広告会社社員 「死にたい」と口にした夫に妻は…パワハラ被害者家族の手記

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Aさんを追い詰めた壮絶なパワハラ 数時間もの罵倒、脅迫、人格攻撃、家族の悪口まで

 Aさんは、2014年7月14日月曜日、精神科を受診し、「適応障害・不安障害」との診断を受け、休職。妻はAさんに、会社で何があったのか、詳しく聞き出した。

 Sは、それまでの上司と違い、自分で仕事をほとんど受け持たなかった。営業が10個仕事を持ってくると、Sが受け持つのは1~2個で、残りはAさんと派遣社員に割り当て、Sは定時で帰る。派遣社員も定時で帰るため、Aさんが残業すると、Sは「なぜそんなに時間がかかる!」と叱責する。しかし、Aさんが仕事を残して退勤すると、Sは「なぜ仕事を残して帰る!」と叱責する。SはAさんに「今日は何時に終わるのか?」と尋ね、Aさんが「22時です」と答えると、「ギュっとやって19時に帰れ!」と不可能な時間を指定する。翌日、SがAさんの日報で指定時刻よりも遅く残業していることを知ると、厳しく叱責。悩んだAさんが、日報に作業時間を短めに書くと、SはAさんを「犯罪者だ!」と罵倒する。

 Sは、自分の中で独自のルールを作っており、それは前任の上司とは全く違うものだった。Aさんがあるクライアントと直接メールでやりとりしていると、「営業を通してやりとりしろ。ルール違反だ。お前は俺を馬鹿にしているのか!」と叱責し、Aさんが「このクライアントは前任の上司の時代から、このようなやり方でやっています」と説明しても聞こうとせず、「お前のミスだ!」と叱責する。Sは一度叱責を始めると、派遣社員にも、「お前もAが間違っていると思うだろう」と同調を強制しつつ、大声で2時間、3時間と叱責を続ける。過去、Sの長時間の叱責で倒れ、救急車で運ばれた社員もいたほどだった。

 Sの叱責は、「もしお前のせいで会社に何千万と損害が出たら、賠償できるのか」と脅迫する。「お前は嘘つきだ」「卑怯だ」「俺を馬鹿にして腹の中で笑ってる」と人格を批判する。直立不動で涙を流しながら叱責を聞くAさんに、「その涙も嘘としか思えない」とさらに罵倒する。Aさんの顔を見て、「なんだその目は、文句あるのか」「恨めし気に見つめやがって」「小馬鹿にした顔しやがって」と表情を批判する。果ては、「大阪は食い倒れとか言って馬鹿。大阪弁は嫌い」「お前の前の職場や上司はろくでもない」「お前の嫁さんは世間知らずのオタク」と、出身地や前職や家族まで罵倒する。明らかに「指導」の範囲を逸脱していた。

 SはAさんに、「営業と馴れ合うな」「営業が努力をしないせいで、なんで制作が余分な作業をしなければならんのだ!」「営業の言いなりになって甘い顔をし、便利に使われているお前が悪い!」「営業に面白半分な批判をされたら、毅然とした態度で抗議し、謝罪させろ。見逃せば、お前も同罪と見なすからな」と脅していた。そのため、Aさんは口頭で営業1人1人に、Sが言う「営業への苦言」を伝達し、代理店の社員全員が閲覧する日報にも、苦言を書かされた。Aさんは、それまで雑談をしたり一緒に飲みに行ったりしていた営業社員たちから、話しかけられることも飲みに誘われることもなくなり、社内で孤立していった。

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