横田一「ニッポン抑圧と腐敗の現場」⑨

石原慎太郎のどこが「侍」なのか? 言い逃れと責任転嫁に終始した会見はなんと言おうと「恥さらし」だ!

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 実は、石原氏に約578億円の請求をするように都に求める住民訴訟が2012年5月に起こされている。「汚染対策費を考慮せずに土地を購入したのは違法な公金支出」というのが訴えの理由だが、住民訴訟について質問をしたのが、ビデオジャーナリストの神保哲生氏だ。

神保氏「(土地購入について)つかさつかさに任せていたが、最高権者として裁可を下したことの責任はおありになる」というふうに認めたのかどうかを確認させていただいた上で、もし責任があるとすれば、現在、都民が原告となって東京都が石原知事に対して、汚染を前提としない金額で土地を買ったことの過失、損害を返金する訴訟がいま起こされています。現在は市民が東京都に請求を出している段階ですが、石原さんご自身に最高責任者の権者として裁可を下したことに対して、損害を返金、もしくは弁済する責任があるとお考えになるのか」

石原元知事「これは裁判の問題だし、私は日本は健全な法治国家だと思いますよ。こういうもの(訴訟)がまかり通るのであれば、私は不当提訴します。だっておかしいじゃないですか。みんなで決めたことでしょう。しかも私は、それをまとめた上で、こういうことで合意を決めましたし、議会にも相談しましたから、『裁可願いますよ』と(言って議会が)イエスと言った。これは衆知を集めて決めたことで、これに対して私個人の損害なんてことは、住民訴訟で責任を問われる筋合いは法的におかしいと思います」「むしろ今、豊洲は科学者が安全だと保証しているのに、これを使わずに野放しにして、無駄なお金をどんどん、税金を払っている。これは不作為の責任だと思いますよ。これは問われるべきだと思います」

 結局、石原氏は地方自治体のトップとしての責任を最後まで認めることはなかった。東京・田園調布の自宅をはじめ石原家の財産を守りたいという気持ちは分からないではないが、産経新聞に「日本よ」と銘打ったエッセイを月一回出している愛国者標榜のイメージとは大きなギャップがある。「果たし合いに出かける昔の侍の気持ち」と今回の会見に臨む心境を語った石原氏だが、私の目には、自らの不始末の責任を潔く取らない“守銭奴”にしか見えないのだ。

 なお「豊洲は科学者が安全だと保証している」という主張も、「安心」の重要性を理解していない子供騙しの暴論にすぎない。豊洲に移転しても市場機能が維持されるには、科学的根拠による「安全」だけでは不十分で、消費者や関連業者が「安心」と思うことが不可欠であるからだ。

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