“奴隷”扱いされるベトナム人留学生たち、偽装留学をネグり外国人をブラック労働に駆り立てる安倍政権の国策が

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『ルポ ニッポン絶望工場』(出井康博/講談社+α新書)

 日本で働きながら技術を学び人材育成を目的とする“外国人技能実習生制度”。1993年のスタートから数多くの外国人がこの制度を利用し、2015年末には約19万2千人が実習生として日本で働いている。

 しかし、この制度については、実習生たちが劣悪な環境や待遇で働かされていたり、深刻な人権侵害を受けるなど多くの問題が報じられている。実際15年、賃金不払いなどの違反は03年以降最多の3695事業所で発覚し、無資格でフォークリフトを運転させられ死亡するなどの悪質な事例も数多く報告されている。こうした状況から国内でも廃止の意見書が出され、米国国務省の「人身売買に関する年次報告書」でも毎年のように劣悪な強制労働の温床と批判され、“現代の奴隷”と揶揄されているほどだ。

 だが、日本においてその実習生以上にひどい状況に置かれている外国人労働者たちが存在するという。それが“留学生”だ。

 外国人労働者の実態を描いた『ルポ ニッポン絶望工場』(出井康博/講談社+α新書)には、その悲惨な実情と背景にある日本の“欺瞞”が赤裸々に描かれている。

 とくに近年、増え続けているのがベトナム人留学生だ。現在ベトナムでは日本留学ブームが巻き起こりブローカーも数多く存在するという。

「日本に留学すれば、アルバイトで月20万円は簡単に稼げる」
 
 そんなキャッチフレーズで多くのベトナムたちが来日するのだが、しかしその実情は“留学”や“月20万円”とはほど遠いものだ。

 たとえば本書に登場する埼玉県の日本語学校に入学したフーンさん(20歳)は、緑溢れるキャンパスで楽しそうに学生生活を送り月20〜30万円を稼ぐという日本人経営のブローカー広告をネットで見たことがきっかけで“人生を変えるため”に日本への留学を決意したという。

「フーンさんを日本に送り出すため、家族は田畑を担保に入れて150万円を借金した。内訳は日本語学校の初年度の学費が70万円、半年分の寮費に18万円、ほかにブローカーに支払う仲介料や渡航費などだ。『150万円』はフーンさん一家の7年分の収入に相当する。そんな代金を用意したのも、日本に『留学』する娘からの仕送りを期待してだった」

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