蓮舫「二重国籍」報道はグロテスクな純血主義にもとづく差別攻撃だ! さらにはガセの可能性も浮上

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 時事通信などが7日付で、〈日本政府の見解では、日本は台湾と国交がないため、台湾籍の人には中国の法律が適用される。中国の国籍法では「外国籍を取得した者は中国籍を自動的に失う」と定めて〉いると報じたからだ。読売新聞も7日付の記事で〈台湾籍を持つ人は日本では中国籍と扱われる。法務省によると、中国の国籍法は「中国国外に定住している中国人で、自己の意思で外国籍に入籍、または取得した者は中国籍を自動的に失う」と規定している〉と、同様の趣旨の記事を報じている。

 つまり、蓮舫氏が85年に日本国籍を取得していたとすると、そのとき自動的に中国の法令に基づいて台湾籍(中国籍)は失っており、二重国籍というのはありえないことになる。

 一方、八幡氏はこうした報道自体を「知識のない記者が聞きかじりで書いた記事」と否定しているが、複数の新聞や通信社が一斉に同内容の記事を書いているということは、普通に考えれば、法務省当局のブリーフィングがあったと見るべきだろう。


■そもそも大騒ぎするのがおかしい! 専門家も問題なしの見解

 また、仮に蓮舫氏が「アゴラ」や産経が述べるとおり、85年の日本国籍取得の際に台湾国籍を離脱しておらず、結果、いままで「二重国籍」であったとしても、これはそこまで目くじらをたてるような問題なのか。

 たしかに、「国籍単一の原則」をとる日本では重国籍は認められておらず、85年施行の改正国籍法には、20歳未満の重国籍者には22歳までに国籍を選択させるように定め、〈選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない〉(第16条)という規定が設けられている。そして、国籍選択をしなかった場合、法務大臣は書面で国籍の選択を「催告」することができ、そのうえで「催告」を受けても1カ月以内に選択しないとき、日本国籍を失うとされている(第15条)。

 しかし、実際の国籍法の運用実態はまったく違う。第16条は「努力規定」的な運用しかされておらず、第15条でいう法務大臣による「催告」も、少なくとも施行から16年が経過した2001年の段階まで、法務省は「これまで一度もない」と回答している(柳原滋夫「永住外国人地方参政権問題でクローズアップ 宇多田ヒカルもフジモリ前大統領も 『二重国籍』容認が国を変える」/講談社「月刊現代」01年7月号)。

 国籍法に詳しい近藤敦名城大教授も、朝日新聞9月8日付でこう解説している。

「日本の国籍法は二重国籍保持者の外国籍の離脱について、努力義務のような規定になっており、より厳格に運用することは現実的ではない。世界的な潮流として複数の国籍を認める国が増えており、知らずに二重国籍のままというケースも多い。仮に二重国籍があったとしても、日本の国会議員、首相や大臣になる上での法的な禁止規定はなく、有権者がどう判断するかだ」

 今日の『スッキリ!!』(日本テレビ)でも、やはり国際法に詳しい五十部紀英弁護士がこう解説していた。

「日本国籍を選択した時点で、台湾の籍は日本の法上ではなくなるということになります。台湾で国籍が残っているかどうかは、台湾側の判断ということになります。日本においては二重国籍の問題は生じない可能性が高いと思います」

 これが国際法の専門家の常識なのだ。むしろ、蓮舫は前近代的な父系血統主義の旧国籍法の被害者と言うべきだろう。

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