NHK理事の中に官邸との連絡係が…NHKの現役職員が安倍政権との癒着、籾井支配の実態を告発!

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 そのひとつの事例が、『ニュースウオッチ9』のキャスター降板劇だ。昨年3月に大越健介キャスターが同番組を降板したが、この裏側で起こっていたことは、まさに“安倍政権による報道圧力の実態”と呼べるものだ。

 同書のなかで『ニュースウオッチ9』関係者は、こう証言している。

「2013年頃から、政治部の記者や財界など外部の関係者から、『安倍側近が大越さんのコメントは偏っていると不満を言っているから、注意したほうがいい』と忠告されるようになった。これは親切心から言ってくれたのだが、ウチの上層部は、過剰に反応して、大越キャスターのコメントには気をつけろとか、ネタの取り上げ方を慎重にしろと現場に注文がきはじめた。大越キャスター本人は『うまくやるから心配するな』と動じる様子はなかったが、それ以来、原発や沖縄、あるいはアベノミクスを取り上げる時は、いつも以上に慎重に制作するようになった」

 くわえて、NHKの報道局幹部は、〈安倍首相に近い政治部の岩田明子記者を通じて官邸の「不快感」が伝えられることも度々あった〉と明かしている。そうして大越キャスターは降板に追い込まれていった、というのが真相だ。

 安倍政権側や官邸は、記者などの“伝書鳩”を通じて番組内容やキャスターのコメントに対する“警告”を発し、上層部に間接的な圧力をかける。無論、これはNHKに限らず、『NEWS23』(TBS)の膳場貴子キャスターとアンカーの岸井成格氏、『報道ステーション』(テレビ朝日)の古舘伊知郎キャスターの降板の裏で起こっていた事態とまったく同じ構造だ。

 しかも、NHKにおいては、もっと直接的に官邸の意向を汲み上げていた。同書では、『ニュースウオッチ9』大越キャスターの降板を最終的に決定したのは籾井会長に近いとされる放送総局長の板野裕爾専務理事だったと述べられているのだが、この板野専務理事の背後には官邸のある人物の存在があるといい、具体的な名を挙げている。

〈板野のカウンターパートは杉田和博官房副長官と言われ、この頃にはダイレクトに官邸からの指示が板野を通じて伝えられるようになっていったと証言する幹部職員もいる〉

 さらに、2014年に理事に抜擢された元政治部長である井上樹彦氏も、この板野専務理事とともに〈官邸や自民党との連絡役となっていた〉という。

 じつはこの井上氏も、以前から菅義偉官房長官との“親密ぶり”が取り沙汰されてきた人物だ。一部報道によれば、井上氏は菅氏が総務相だった時代から関係を深めてきた。そして、井上氏をNHK理事にするように籾井氏に働きかけたのは、ほかならぬ菅官房長官だと言われてきたのだ。

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