パリ同時多発テロで右派が大ハシャギ! 日本会議の田久保忠衛は早速、戦争扇動、曽野綾子は「戒厳令は大歓迎」

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 まず曽野は「非常時こそ見るべきものあり」と題し、パリ同時多発テロで〈私は日本人の反応に興味を持った〉と書き始める。そして、パリ行きの飛行機や旅行ツアーが次々にキャンセルされたこと自体は「常識」だとした上で、他方、〈仮にあの日、私が個人的にパリに行こうとしている旅行者だったら、決して予定を変更しなかったと思う〉と述べるのだが、続く文章が度肝を抜く。

〈若い時からそうだった。エボラのような強烈な感染症が出たのでもない。町中に放火・略奪・レイプなどを行う輩が跋扈しているわけでもない。いわば戒厳令に近い治安維持の警察だか軍だかが投入されたわけだから、こんな安全な時期はないのである。昔からわが家では、私が近々行くはずの外国に政変が起きて戒厳令が出ると、夫は喜んでくれたものであった。
「これでスリもコソ泥も減るから、安全になってよかったな」〉

 ……もう、困惑するほかない。文字通り捉えれば、曽野は非常事態宣言が発令中のパリを「こんな安全な時期はない」と言い切っているわけである。価値がいろいろと転倒しすぎていて、こっちの頭までおかしくなってしまいそうだが、マジで曽野はそんなことを思っているのだろうか?

 いや、曽野はむしろ、そう書くことで「戒厳令」を大いに評価しているわけだ。裏を返して“日本でも戒厳令を出せるようにしましょう”と主張していると見た方が正しいだろう。

 念のため言っておくが、戒厳令とはそもそも人々の権利や自由を大幅に制限して、行政や司法の統治機構を軍の支配下に置くことだ。逆にいえば戒厳令は、権限が飛躍的に強化された軍部の暴走、為政者による全権掌握の絶好の契機となる。にもかかわらず、曽野センセイは「戒厳令ってね、かえってスリがいなくなってよろしくてよ。オホホ」という調子のまま、こうお気楽に語るのだからヤバい。

〈戒厳令がある場合、騒ぎの中心部に行けなくなることと、夜半過ぎからの外出禁止令が施行されることが多いが、私はそんな時間まで飲んでもいないから別に困らない。夜通し話を聞きたい相手なら、最初からそのうちに泊めてもらうことにすればいいのである。〉

 あの、センセイ、これはパジャマパーティの話じゃないんだから。

 いやはや、こうしたテロ事件が起こるたびに、日本の右派は護憲派を“お花畑”と揶揄するが、これはどう見ても……である。いずれにせよ、パリ同時多発テロを利用した保守派による改憲・戦中回帰キャンペーンに決して騙されてはいけない。
(宮島みつや)

最終更新:2015.11.25 04:04

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