安倍首相が否定したい南京大虐殺を日本テレビの番組が精緻な取材で「事実」と証明! ところが番組告知は…

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

 さらに取材班は、小野さんが所蔵する資料だけでなく、独自に元海軍兵士に会いに行く。当時18歳だった元海軍兵は、南京戦に参加した際、揚子江岸での銃殺を目撃していたという。それは12月18日のこと。“処刑場”はまた別の揚子江沿岸部だった。

「12月18日、午後の2時ごろに、突然機関銃の射撃音が響いてきて。河川敷のなかに火を噴く機関銃と、倒れてわいわい……」「いわゆる陸軍のね、重機関銃の銃座が片っ方にあって。河川敷にトラックで運ばれてきた25人か30人程度の人が重機関銃の標的にされて、撃ち殺されてたということですね」「はじめはダダダンダダダンダダダンと」「やがてはダダダン、ダダダン、ダーン、ダーン……ともう、残り少なくなった弾を一発でボン、ボンと狙い撃ちしているようなのが……音聞いてわかるというふうに慣れてしまった」

 このとき海軍が南京にいたことも軍の公式資料と一致している。この元海軍兵は南京戦の後、日本へ戻ると、海軍士官からある注意を受けたと証言した。

「南京で見たことは決して口外するな、ということを注意されましたね」

 これらの証言や日記などの一次資料をクロスさせると、12月16日から18日の3日間だけでも、百や千ではすまない大勢の中国人捕虜が殺されたことは間違いないだろう。ようするに、捕虜を大量に殺害したあと、死体を川に流して処理するため、南京城に近い揚子江の河川敷が“処刑場”に選ばれたのだ。

 安倍政権が本音では否認したい「南京事件」は、すくなくともネット右翼や右派論壇の一部がいうような「存在自体を否定」されるようなものではなかったのだ。

 そして今回、歴史問題を扱うとすぐさま「反日偏向報道!」と一斉にバッシングされるテレビメディアで、ここまで踏み込んだドキュメンタリーを放映した『NNNドキュメント』には、手放しで賞賛を送りたい。番組のチーフディレクターである清水潔氏は、桶川ストーカー殺人事件など、警察・司法発表に依存しない調査報道で、なんどもスクープを重ねてきたジャーナリストだ。今回も、ひとつの証言や文献に頼ることなく、実際に現地・南京を取材し、中国人女性による証言を得た後も彼女のふるさとを訪ね家族の墓を確認するなど、徹底した裏付け調査を行っていた。その真摯な姿勢こそ、いまのマスメディアに求められているものだろう。

 ただ、ひとつだけ気になるのは、今回の放送のタイトルが、事前の新聞のラテ欄では「しゃべってから死ぬ 封印された陣中日記」とされていて、「南京」の文字がなかったことだ。先週の『NNNドキュメント』の最後に流された予告編でも「南京」の言葉は一言も出てこず、番組公式サイトでも事前に告知されていなかった。ようするに、4日深夜の初放映時になって初めて「南京事件 兵士たちの遺言」という真のタイトルが明かされたわけだが、ここに何か裏を感じるのは穿ち過ぎだろうか。

 権力を忖度し、ネット上の批判に怯え、萎縮した報道を続けるテレビ業界だ。その圧力を避けようとしたのか、真相は不明だが、こうした番組が継続して放送されれば、業界の失いつつある信頼も取り戻せるはず。今後も期待しつつ、まずは『NNNドキュメント 南京事件 兵士たちの遺言』の再放送を待ちたい。
(小杉みすず)

最終更新:2015.10.08 07:21

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

南京事件

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

安倍首相が否定したい南京大虐殺を日本テレビの番組が精緻な取材で「事実」と証明! ところが番組告知は…のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。マスコミ小杉みすずの記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 維新が「ヒトラー」抗議で橋下と一体認める馬脚! 吉村知事は批判封じ条例
2 橋下徹は石原慎太郎からも「ヒトラーに該当」と称賛されていた!
3 高裁でも山口敬之氏の伊藤詩織さんへの“性暴力”認める判決
4 葵つかさが「松潤とは終わった」と
5 Netflix版『新聞記者』の踏み込みがすごい! 綾野剛が森友キーマンに
6 維新・松井一郎市長が「保育士が足りないから親が自宅で面倒みろ」と呼びかけ
7 羽田雄一郎参院議員の死が示すコロナ検査の現実
8 坂上忍『バイキング』打ち切りはフジ上層部による政権批判潰し
9 ブラマヨからTBS井上アナまでが叫ぶ「オミクロンたいしたことない」論の詐術
10 グッディ高橋克実が北朝鮮危機で本音
11 東野・ブラマヨ吉田と吉村・橋下・松井の馴れ合い番組に「偏向」調査
12 ペジー社社長の財団が山口敬之の実家に
13 NHK捏造・虚偽放送問題で河瀬直美監督のコメントが無責任すぎる!
14 吉村知事がまたまた後手! 全国ワーストのコロナ死者を出しているのに…
15 アパホテルのトンデモ極右思想の正体
16 小倉優香の番組中「辞めさせてください」の本当の理由は番組のセクハラ
17 若者は受診せず家で寝てろ! 背後に岸田政権の怠慢
18 大阪カジノ800億円負担は松井市長の命令! 大石あきこは「黒塗り」を告発
19 黒歴史!封印されたドラえもん
20 安倍政権御用ジャーナリスト大賞(前編)
1橋下徹は石原慎太郎からも「ヒトラーに該当」と称賛されていた!
2若者は受診せず家で寝てろ! 背後に岸田政権の怠慢
3東野・ブラマヨ吉田と吉村・橋下・松井の馴れ合い番組に「偏向」調査
4維新・松井一郎市長が「保育士が足りないから親が自宅で面倒みろ」と呼びかけ
5吉村知事がまたまた後手! 全国ワーストのコロナ死者を出しているのに…
6Netflix版『新聞記者』の踏み込みがすごい! 綾野剛が森友キーマンに
7ブラマヨからTBS井上アナまでが叫ぶ「オミクロンたいしたことない」論の詐術
8維新が「ヒトラー」抗議で橋下と一体認める馬脚! 吉村知事は批判封じ条例
9高裁でも山口敬之氏の伊藤詩織さんへの“性暴力”認める判決
10国民民主・玉木雄一郎が節操なさすぎ!都民ファ、維新、ネトウヨに媚び媚び

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄