アマゾンがつくりだした「宅配業界」の過酷すぎる労働環境! 拘束14時間、年100万円分のサービス残業…

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「ヤマト運輸では、2000年代初頭には、1個当たり750円近くあった運賃単価が、底となる2014年3月期の決算では500円後半にまで下がった。佐川急便では、2000年代初頭に1000円台近くあったのが、底となる2013年3月期には500円を切るまで落ちている」

 運賃が下がれば、末端の下請け業者の報酬が下がるのも当然の帰結だといえるのだが、そもそもどうして運賃が下降してしまったのか。それは、拡大するネット通販市場のシェアを“運賃のダンピング”という形で奪い合ったことが大きな原因なのだ。同書では、ヤマト運輸の長尾裕社長(取材当時、常務)による、以下のコメントを紹介している。

「宅配業界の主なプレイヤーは三社ですが、それぞれが得意とする分野が重なる領域も少なくない。その部分では競争が起こります。本来はサービスの内容で競争しなければならないのでしょうが、ただ価格(を下げること)もサービスの一つになり得るのです。お客さんの側から安い運賃を求めることもあります。その運賃にどこが応えられるかということで、これまで競争が起き、それが運賃単価を引き下げてきたことは否定できない事実です」

 そして、運賃のダンピングの大きなきっかけとなったのが、ネット通販最大手のアマゾンだ。

 アマゾンは日本に進出した2000年当時、「1500円以上の買い物をすれば送料無料」という設定だった。その当時は、「物流センターの構内作業から宅配業務まで日本通運に業務を一括で委託していた」という。つまり、日本通運のペリカン便(現在の日本郵便のゆうパック)がアマゾンの商品の宅配を担い、その運賃は300円前後だったという。しかし、その後、アマゾンは大きな決断に出る。

「アマゾンジャパンは全品送料無料として、日本での売り上げ拡大を図った。
 その日通に代わって、佐川急便がアマゾンの荷物を運びはじめたのは、2005年前後のこと。佐川急便が値引きした運賃を武器に日通から荷物を奪い取った」

 佐川急便は、一体どれくらいの値引きを行ったのか?

「宅配業界では、一個当たりの運賃が250円以下になると、宅配業者がどのように工夫しても利益が出ない構造になっている。大口割引込みで佐川がアマゾンに提示したのは、全国一律で250円をわずかに上回る金額だった、といわれる」

 もはや、捨て身の覚悟でシェア拡大を狙った佐川急便。たしかに、アマゾンのシェア獲得でヤマト運輸を抜き業界1位の座を手に入れたが、大きな代償を払うこととなる。

「アマゾンの荷物によって佐川急便の各営業所の収支が悪くなったばかりか、商業地区における午前中の配達率や時間帯サービス履行率、発送/到着事故発生率などの現場の業務水準を測る指標も悪化した。収支だけでなく、サービスレベルも悪くなったのだから、踏んだり蹴ったりの状態だった」

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