これでもカジノ合法化? 世界でダントツに「ギャンブル依存症」が多い国は日本だった! 中毒者たちの悲惨な実態

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〈Aさんは高校1年のとき。ギャンブル好きの父親に連れられて競馬場に初めて行った。やがてひとりでパチンコ店にも行くようになり、週1回はパチンコをして、費用はアルバイトで得た金から出していた。短大にはいってから、パチンコの回数は週に4、5回に増え(中略)ほとんど講義には出なかった。(中略)
 20代前半になって借金開始、50万から100万円に増えたため、弁護士に相談して任意整理をした。月に3万円ずつ5年で返済が決まった。しかし弁護士費用の8万円をパチンコで使ってしまい、立替えてもらった親からこっぴどく叱られた。(中略)
 これまで1年やめてはいるものの、パチンコ店の横や液晶の宣伝を眼にすると、ハッとする〉

 これが典型的なギャンブル依存症患者だ。しかし、事態が重くなれば、事はこの程度ではすまない。他の精神病を併発し、取り返しのつかない傷を負うケースもある。

〈Bさんは高校卒業して会社にはいり、20歳からパチンコを週1回始めた。20代終わりに見合い結婚したあと、パチンコの回数が週に4、5回に増えた。
 30代になって長男が誕生したとき、消費者金融の借金が300万円に達した。妻が一部を貯金から返済し、残りは自分でローンを組んで返済を続けた。しかし40代になって借金は400万円になり、妻が再び貯金から返済した。それでもパチンコとスロットはやまず、40代の終わりには、また250万円の借金をつくり、妻の貯金では返せなくなった。
 うつ病も併発、仕事ができなくなり依願退職し、そのまま失踪した。妻が捜索願いを出して発見され、精神科病院に入院した〉

 日本では、ギャンブル依存の患者のことを、偏見から「単なる怠け者」「どうしようもない人」というイメージで捉えがちだ。もちろん、ギャンブルを嗜む人のなかには、そういう類の人も相当数いるだろう。だが、本当のギャンブル依存症患者は、「ぐうたらな性格」などではなく「ドーパミンの過活動」など脳内神経経路の不調が大きな要因となっている、立派な「病気」の人だ。本人の気合いや努力では、どうにも解決できない。専門医の力が必要なのである。しかし、日本ではアルコール依存症と比べても治療機関や専門医の数が圧倒的に少ない。なので、周囲の家族もどうサポートすれば分からないというケースが往々にして起こりやすい。結果として、周囲の人の精神的な健康まで損なわれてしまう事例も少なくないのだという。

〈Vさんは高校を卒業して就職、20歳を過ぎてパチンコとスロットを始めた。20代半ばにはカードローンで借金して、パチンコ店に通い、給料が出ると返済していた。20代後半に結婚しても、パチンコとスロットはひどくなるばかりだった。それを知った妻は体調を崩して、精神科に通院するようになった。反省してギャンブルをやめたいと思い、20代の終わりに私の診療所を初診した。これまでギャンブルに使った総額は2000万円になっていた〉

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ギャンブル依存国家・日本 パチンコからはじまる精神疾患 (光文社新書)

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