書店文化の象徴・リブロ池袋店閉店…背後に大家の「セブンイレブン」オーナーの追い出しが

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〈3月4日の毎日新聞に「セゾン文化体現『ニューアカ』の聖地 リブロ池袋6月閉店」の記事が載った。2月頃からそれは噂として業界を駆け巡っていたが、新聞記事を目の前にしてあらためて「私たち」が受けた衝撃は深い。
「私たち」とは誰だろう。1976年に当時の西武百貨店書籍部〈75年設立〉に入社し、97年にリブロを退社した私もむろんその数に入る。だが、毎日新聞のタイトル、そして5月11日の朝日新聞記事「仕掛けた書籍 難解本も売れた」、つまりリブロ池袋店が書店として表現した時代を記憶しているかつての顧客層が「私たち」の筆頭なのだろう。そしてリブロで働いている、いた、書店員たちだ。彼らのためにも「リブロ池袋店」を書き残したい〉

 そして、リブロにまつわる数々の逸話、その場所をつくりだした、中村文孝や今泉正光という2人の書店員の思い出を綴り、こう分析している。

〈まさにリブロはアカデミズムの外、書店という情報発信の中心にいたのだ。それまで書店は「情報を並べる場」であった、それが「発信地」という役割を初めて持った、と私は思う。そして東(浩紀)の総括通り、90年代半ばにその役目を終え、リブロは変容を余儀なくされた。それは「時代」のせいばかりではい、端的に「堤清二の失脚」がど真ん中なのだが、堤清二が「時代の子」であったと考えれば、時代のせいなのであろう〉

 たしかに、このところのリブロがかつてほどの影響力は失っていたのは事実だ。だが、今回のリブロ閉店は「時代のせい」ではない。まさしく経営者の身勝手な都合で「読者不在」のまま、断行された。本を、書店を、愛する者として、今回の件は残念でならない。
(井川健二)

最終更新:2018.10.18 03:22

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