「僕は、淳君に映る自分を殺したかった」酒鬼薔薇聖斗が手記に綴った性衝動と本当の動機

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 最愛の祖母の死がひとつのきっかけとなり「死とは何か」という問いに取り憑かれたという当時10歳だったAは、祖母への思い出に浸るため、生前祖母が暮らした部屋に行きそこで初めての精通を経験したという。

 Aは祖母を思い愛用していた按摩器を取り出し、祖母の位牌の前に正座し、祖母を癒したであろう心地よい振動に身を任せる。そんなAが、何気なしにそれをペニスにあてた時だった。

「その時突然、身体じゅうを揺さぶっている異質の感覚を意識した。まだ包皮も剥けていないペニスが、痛みを伴いながらみるみるふくらんでくる。(略)遠のく意識のなかで、僕は必死に祖母の幻影を追いかけた。祖母の声、祖母の匂い、祖母の感触……。涙と鼻水とよだれが混じり合い、按摩器を掴む両手にポタポタと糸を引いて滴り落ちた」

 Aにとってそれはとんでもなく穢らしくなぜか激痛も伴うものだったが、途中でやめることはできず、その後も祖母の遺影に見つめられながら“冒涜の儀式”を続けたという。

「僕のなかで、“性”と“死”が“罪悪感”という接着剤でがっちりと結合した瞬間だった」

 精通を経験したAは次に猫殺しに走る。その時の感覚をAはこう記述している。

「風邪の引き始めのような、あの全身の骨を擽(くすぐ)られるような、いても立ってもいられなくなる奇妙に心地よい痺れと恍惚感……。
 間違いない。“ソレ”は性的な衝動だった」

 Aはコンクリートブロックを猫に思い切り投げつける。あがく猫はAの手を思い切り引っ掻いた。

「——バンッーー
 何かが破裂する音が聞こえた。僕の中で日に日に邪悪な膨らみを増していた真っ黒い風船が、この目の前の美しき獣のいまわの一撃によって、今まさに破裂したのだ」

 その際、なぜか逆に冷静になったAは自室からカッターを持ち出し、猫の両目を横一文字に切り、クビを締め上げ、脇腹を抉った。

「心臓が大音響でドラムを叩く。その演奏に呼応するように、“もうひとつの心臓”が首を擡(もた)げた。僕は勃起していた」

 

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