渋谷区がLGBTに優しくホームレスに厳しいのはなぜ? マツコも憤るLGBTの商売利用

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 他にも、パートナーシップ条例の文面には「個人の尊重及び法の下の平等の理念」「差別のない社会を実現する」など文言が踊っている。長谷部氏は「渋谷区の世界戦略にはダイバーシティ(多様性)の要素が必要」と高らかに謳い上げているが、自身が行ってきたホームレス排除を考えれば、この宣言は明らかな矛盾だ。

 しかし、長谷部氏のかつての発言を見てみると、ある明確な論理が内在していることがわかる。区議時代の12年11月、都内のイベントでこのような発言をしているのだ。

「ホームレスが寝泊まりして児童公園として活用できなかった場所を、ナイキに働きかけてバスケットコートなどを整備してもらった。(略)企業は宣伝になるし、渋谷区はやっぱり税金を使わないで今度は公園が整備できたのです」
「次の街づくりのキーワードはダイバーシティで、パラリンピックが日本に来たら、それが普通になるかもしれないですね。LGBTの人なども、うまく活用できないかということも考えています」(ウェブサイト「エコッツェリア」12年11月12日付より)

 ようするにこういうことだろう。ナイキのようなグローバル大企業とは積極的に結びつきを強め、経済・流行の発信地としたい渋谷区の宣伝戦略にとって、ホームレスは邪魔でしかない。アメリカなどの先進国に向けてはLGBTを「活用」してイメージアップをはかりたい──。

 実はこうした姿勢の自治体は、渋谷区に限ったことではない。たとえば大阪市淀川区は「多様な方々がいきいきと暮らせるまちの実現のため、LGBT(性的マイノリティ)の方々の人権を尊重します!」(同区ホームページより)と宣言し、区職員に「人権研修」を行うなど、LGBTフレンドリーを打ち出していることで知られる。しかし他方では、生活保護受給者に対する締め上げを行っているのである。名目上は「生活保護不正受給対策」だが、実際には大阪府警と連携して受給希望者の相談などを受ける市民団体らに家宅捜索を行うなど、正常な福祉までも萎縮させるような行政なのだ。

 そもそも、LGBT政策の背景にあるのは、たんにレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの権利を尊重するということではなく、それ以外の性的マイノリティ、さらにあらゆる属性、境遇の人が「健康で文化的な生活」を送る権利を保証するという精神であるはずだ。

 ところが、渋谷区も淀川区もLGBTだけを尊重し、それ以外のマイノリティ、野宿者・貧困者の人権を軽視する。いったいなぜか?──どうやらその答えは“マーケティング”にありそうだ。

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