被災地でも!家事労働を女性に押しつける“家事ハラスメント”の原因とは

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「中には、女性被災者だけが避難所の食事作りを任されていた例もあった。男性被災者は、がれき処理などの労働に出かけていくが、これには賃金が払われる。『なぜ自分たちはただ働きの食事作りを引き受け、男性がお金をもらうる仕事に出て行くのか』」

 夫婦で生計を共にして、その賃金が妻に返ってくる場合は、一応の分担制があるかもしれないが、しかし単身の女性はそうではない。

「『やって当たり前の無償の家事労働』が、避難所でも女性の役割として当然視され、女性たちの将来への不安をかきたてていた」

 しかも家事労働を抱えた女性は、職場から排除され、経済力を獲得しにくい仕組み、状況にもある。

 33歳で子供を出産した大阪のシングルマザーは1年4カ月の育児休業の後、会社に復帰した。

 しかし子どもにアレルギー疾患が出たため、残業ができず、保育所からの呼び出しも多かった。社長は1年契約を何度も更新すればいいと嘱託を進め、彼女は従った。しかし、「1年後の契約満了後、更新は拒否され」てしまう。さらに次の職場では9年間働くも、セクハラ騒動に巻き込まれた挙げ句、非常勤の更新を拒否された。

「制度が育休の権利を保障していても、仕事で実績を上げていても、会社は子どもを産んだら最後、戦力にならないと、あっさり切るんです」

 こうして女性が家事や育児、そして看護に押しつぶされる中、日本男性の家事時間は圧倒的に少ないという。日本の夫の平均家事時間は1時間だというが、これは他先進国の3時間超えに比べあまりにも少ない。なぜ日本の男性は家事をしないのだろうか。その理由はいくつか挙げられるという。

 まず、女性の幸せは専業主婦で「妻を働かせるなどあってはならない」と思いこむ男性は多い。「妻が働いている家庭の夫はカッコ悪い」「夫の収入が低いと思われる」という思い込みだ。また多くの家事をしている姿を近所に見られるのは「みっともない」との思いもある。

 だが問題は個々の意識だけではない。例えば積極的に家事を分担しようとする男性にも家事ハラは襲いかかる。

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家事労働ハラスメント――生きづらさの根にあるもの (岩波新書)

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