暴力団、スパイ、安倍首相父の懐刀…なべおさみの自伝がヤバい!

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 だが、決してなべは晋太郎の単なる子飼いだったわけではない。ときはタレント議員がもてはやされ始めたころ。赤坂のお座敷で、なべも晋太郎から出馬要請を受けたが、なべは同席していた「絵に描いた様な美人」を指さし、彼女を立候補させれば?と進言するのだ。「なべおさみって、『女ののど自慢』の司会だった人でしょ」と侮るなかれ。その裏では“政界のプリンス”と見事に渡り合う、恐ろしい人物だったのだ。だがそれ以上にビックリするのは、晋太郎はその提案通り、ほんとうにその美人を参議院議員選挙に出馬させたこと。ちなみにその美人とは、元タカラジェンヌで後に大臣職にまでのぼりつめた扇千景である。

 このほかにも、晋太郎からの依頼で金丸信と会い、いきなり「すまんが、北海道に入ってくれんかね」と鈴木宗男の選挙協力を打診されたり、さらにはなべがOKすると、金丸に「(テーブルの)下へ手を出して!」「両手を広げて!」と言われたり(なべは「広げた両手にドサッと来た」と書いているが、これは選挙資金か?)など、本書に登場するエピソードは、タレント本の枠を超えすぎたスケール&ダーク感なのである。

 とまぁ凄まじい交遊録ではあるが、肝心の“明大裏口入学事件”の真相については、上手いのか上手くないのかよくわからないオチをつけて、結局は明かしていない。それでも十分面白いので、アウトロー方面が好物の人には一読を勧めたい。
(田岡 尼)

最終更新:2017.12.07 07:28

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