『とと姉ちゃん』反戦メッセージ封印の一方でモデル「暮しの手帖」編集部には「政治色が強すぎ」と批判が!

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 たしかに、前任者の松浦氏は「暮しの手帖」から徹底的に政治性、反権力的姿勢を排除してきた。「暮しの手帖」といえば、『とと姉ちゃん』にも出てくるように、広告に一切依存せず、消費者目線で生活製品の使い勝手や安全性などを厳しくチェックする「商品テスト」(ドラマ内では「商品試験」)という名物企画で知られてきたが、松浦氏の編集長就任とともにこの企画は終了してしまった。

 さらに、松浦氏の姿勢が鮮明になったのが、福島原発事故への対応だった。東日本大震災の後、「暮らしを守る」という方針を掲げる同誌なら、原発事故や放射能の問題を独自の視点で記事にしてくれるだろう、と注目が集まっていたが、松浦編集長のもとで同誌が原発問題にふれることはなかった。

 松浦氏の講演レポート(文化経済研究会2016年1月講演)によると、原発問題を取り上げなかったことで「凄いバッシングを受けました」と松浦氏は当時を振り返っている。だが、同時に松浦氏は原発事故や放射能の問題を取り上げなかったにもかかわらず部数が伸びたことをあげ、こうつづけている。

「僕自身びっくりして、被災地の仮設住宅を訪ねました。すると読者の方が皆さん言うんですが、テレビも雑誌もネットも、悲惨な話しかしない時に『暮しの手帖』だけはどこのページを見ても震災のことも、放射能のことも書かれていなかった。あの時皆さんは現実逃避するために『暮しの手帖』を選んでくれたんです。雑誌やメディアは真実を伝えるという役割もありますよ。でも現実逃避させるという役割もあるんです」

 現実逃避という役割──。そんなものはほかの雑誌がいくらでも担っていたはずで、よりにもよって「暮しの手帖」がその役割を選択する必要があったのかと疑問でならないが、これこそが松浦氏のスタンスだった。

 だが、今年春、澤田氏が編集長になると、「暮しの手帖」は政治的なテーマも扱うようになり、民主主義、平和の必要性を訴える企画も見られるようになった。たとえば、澤田氏が編集長に就任して最初の80号では、料理や手芸などのページとともに、「今デモが変わってきています」と題し、安保法制以降の国会前デモの流れを紹介。〈政治はわたしたちの暮らしとは切り離せない関係にあります〉〈わたしたちがいちいち声をあげることで、もし物事が危険な方向に動いていれば、声の力は抑止力になります〉と社会活動に参加する意味を誌面で読者に問いかけている。また、82号では、「若い人におくる選挙ガイド」として、作家・高橋源一郎が学生たちと民主主義などをテーマに対話を行う企画も掲載された。

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