安倍政権の「地方創生」は「原発広告」バラまきの手口と似ている

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
genpatsukoukoku_01_141011.jpg
『原発広告と地方紙 原発立地県の報道姿勢』(亜紀書房)

「どんなことが起こっても決して、周囲の人びとに被害を与えない/これが原子力発電の安全の考え方です」

 これは日本原子力文化振興財団が1976年4月18日に愛媛新聞に載せた広告のメインキャッチコピーだ。今やこのメッセージに「その通り」と頷く人は誰1人としていないわけだが、原発行政は長年、真っ先に被害を与えることになる「周囲の人びと」を騙す広報活動に勤しんできた。元・博報堂の営業マンにして作家の本間龍『原発広告と地方紙 原発立地県の報道姿勢』(亜紀書房)は、原発安全神話を作り上げたインチキ広告の数々が、いかにして原発を近くに持つ地方紙ばかりに投じられ続けてきたかを明らかにする労作だ。

 電力会社が、原発誘致によって支払われる交付金という名の札束で地方の人びとを引っぱたいてきたことはよく知られたところだが、その札束を優しく包み込む役割を果たしたのが地方紙だったと言える。広告の安定確保が難しい地方紙にとって、値下げ交渉が不要な電力会社は何よりの上客だし、電力会社にとっても、地元では全国紙よりも圧倒的に読まれている地方紙の存在は、原発の安全神話をバラまくのに最適の場所だった。

 積まれた広告費を前に、社論も堂々と歪んでいく。交付金で武道館・プール・総合運動場・野球場・テニスコート・体育館を建てた福島県大熊町の福島民友(1980年8月31日)は、「すばらしい施設 交付金でうるおう原発の町」と書いたし、1981年4月に起きた敦賀原発の放射性物質漏えい事故の後に、福島民報(1981年4月27日)は「(福島原発は)二重、三重のガード」「敦賀とは施設が違う」「事故は絶対ない」と福島第一原発の所長の談話を載せ、「東京電力、東北電力は日本原電とは比べようがないほど安全管理に心を砕いていることがわかった」と書いた。このようにして、たくさんのお小遣いをくれる電力会社へのおべんちゃらを繰り返してきたのである。

 安倍首相は現在開かれている国会を「地方創生国会」と名付けて、自身の対抗馬になることを恐れた石破茂を新設の地方創生相に押し込んでいるわけだが、やたらと繰り返される「地方創生」のスローガンは、何ら具体性を持っていない。

 所信表明演説で安倍首相は、地方の地ビールが売り上げを伸ばしている、隠岐の島の「さざえカレー」が売れている、鳴門のうず潮を観に外国人観光客が増えていると、安手のグルメレポーターのような情報を並べて訴えてみたが、つまるところ、沖縄県知事選・福島県知事選といった、結果次第では政権運営の汚点となりかねない選挙を前にして「地方をケアしていますよ」と急造のアピールを繰り返しているだけにすぎない。

 形だけのPRだから、結局はカネでの解決になる。地方創生に関してようやく出てきた具体案が、「地方で起業したら税制を優遇する」(4日・石破茂地方創生相が講演会で発言)なのは、いかにもその一つの証左と言えるだろう。

 朝日新聞の世論調査で「安倍首相の掲げる『地方創生』政策」に「期待できる」と答えたのは36%、「期待できない」と答えたのは47%、始まる前から有権者の多くは、どうせカネのバラまきになることに気付いている。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

原発広告と地方紙――原発立地県の報道姿勢

新着芸能・エンタメスキャンダルマンガ・アニメビジネス社会カルチャーくらし教養

安倍政権の「地方創生」は「原発広告」バラまきの手口と似ているのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。原発安倍晋三武田砂鉄の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
いいね! 数
1 安倍政権が企む“子なし世帯増税”の異常性
2 安保法制密約で自衛隊将校が実名告発!
3 レコ大責任者がバーニング周防社長を告発
4 安倍の教育無償化はやっぱり嘘だった
5 日馬富士暴行で貴乃花批判のおかしさ
6 安倍がネトウヨ『報道特注』に出演熱望
7 柳広司、中原昌也らが東京五輪に疑問の声
8 欅坂・平手が「今年はひどいことばかり」
9 たけしが安倍を「軍国主義」と批判!
10 マツコ「安倍首相は馬鹿」にネトウヨが
11 内田樹が喝破!安倍独裁を容認させるもの
12 オリラジ中田が日馬富士事件で松本批判?
13 稲垣、草なぎ、香取と日本財団の関係
14 宇多田「東京は子育てしにくい」は事実
15 マツコがいじめ、弱者叩きの構造を喝破
16 「不倫学」が教える防止策とは?
17 池上彰が朝日叩きとネトウヨを大批判
18 鶴保前沖縄担当相に辺野古利権疑惑
19 今年も紅白はジャニーズが私物化
20 武富士より恐い奨学金の実態
1国連が安倍政権のメディア圧力に勧告へ
2加計学園で設置審委員が内情暴露!
3安倍政権が企む“子なし世帯増税”の異常性
4直撃!前川前次官が加計認可の動きを批判
5日本大使館が「民進党は米国が分裂させた」
6義家前文科副大臣が加計疑惑に茶番質問
7萩生田が前川前次官にシンゴジラを観ろ
8安倍政権が乱発するトンデモ閣議決定
9欧米で安倍と訪日トランプに嘲笑の嵐
10安倍の教育無償化はやっぱり嘘だった
11鶴保前沖縄担当相に辺野古利権疑惑
12内田樹が喝破!安倍独裁を容認させるもの
13マツコがいじめ、弱者叩きの構造を喝破
14安倍がネトウヨ『報道特注』に出演熱望
15沖縄タイムス記者が官邸と百田に反撃
16 安保法制密約で自衛隊将校が実名告発!
17 柳広司、中原昌也らが東京五輪に疑問の声
18「朝日、死ね」足立議員のトンデモぶり
19日馬富士暴行で貴乃花批判のおかしさ
20JASRACが坂本龍一を騙しうち!

人気連載

アベを倒したい!

室井佑月

連載一覧へ!

アベを倒したい!

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄

"体育会系相田みつを"松岡修造は本当に「ブレない男」なのか? 年を追うごとに変わっていく修造語録を読み解く

「売れてる本」の取扱説明書

ネット右翼の15年

野間易通

高市早苗はいかにして"ネオナチ"と出会ったか

ネット右翼の15年

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

戦争を放棄せよ! 軍事力がなくても侵略と闘う方法はある、自由のために闘える!

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」