横田一「ニッポン抑圧と腐敗の現場」30

小泉進次郎も加担した名護市長選の“フェイク演説”を検証 日ハムキャンプ問題や経済停滞も大嘘だった!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
shinjiro_150513.jpg
「小泉進次郎 Official Site」より


 詐欺集団の安倍自民党が“フェイク演説”で市長ポストを騙し取った──これが「安倍政権vs翁長雄志沖縄県知事の代理戦争」と言われた名護市長選(2月4日投開票)の取材実感だ。自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長ら有名国会議員が続々と現地入りをした名護市では、虚偽情報で特定候補を当選または落選させることを禁じる公職選挙法などどこ吹く風の無法地帯と化していたのだ。

 進次郎氏が市内3カ所で自公推薦の渡貝知武豊候補(現市長)の応援演説をした1月31日、人気抜群の総理大臣候補とは思えない言葉の軽さに唖然とした地元記者はこう言い放った。「『代理戦争報道はフェイクニュースだ』と訴えた進次郎氏本人が、北海道日本ハムファイターズのキャンプ期間短縮について“フェイク演説”をしていた!」。

 日ハムキャンプ問題は、渡具知陣営が「稲嶺市長三大失敗の一つ」として批判していたものだが、進次郎氏も次のように訴えていた。

「日ハムのキャンプの拠点だった名護市。残念ながら今度からいままでよりも名護市にいる期間が圧倒的に短くなってしまった。なぜ、その日本ハムファイターズのキャンプの拠点として求められていた球場の改修を含めて、もっとスピード感をもってやることはなかったのか。そういったことをやれば、地域の観光、飲食、宿泊、いろいろなことで地元の経済効果はもっともっと潤うはずです」

 告示前日(1月27日)に応援演説をした山本一太元沖縄北方担当大臣も、「いまの市長の判断が遅れたために、日本ハムファイターズのキャンプが丸ごとアリゾナのほうに行ってしまった。2020年に名護市民球場ができますが、この時に名護に戻ってくるのかわからない」と同様の責任追及をしていた。

名護入りした進次郎、山本一太もたれ流したフェイク演説

 しかし地元記者は、これを「フェイク演説だ」と断言し、こんな説明をしてくれた。

「稲嶺進市長の前任者で基地容認の島袋吉和市政が、老朽化した市営球場を放置したのが諸悪の根源です。スピード感をもって対応しなかった島袋市政の“負の遺産”を稲嶺市長が引き継ぎ、球場建て替えを具体化した。そして新球場完成までの間はキャンプの前半をアリゾナ、後半を名護市と国頭村で行うことになりました。暫定キャンプ地としてアリゾナを選んだのも、国内だと地元から引き止められて名護に戻り辛くなることを避けるためです。だから『丸ごとアリゾナの方に行ってしまった』わけでもないし、『戻ってくるのか分からない』というのも事実誤認で名護に戻ることは既定路線だった。日ハム関係者が稲嶺市長に感謝の弁を述べるなど両者の関係は良好なのです」

 日ハムに問い合わせれば、すぐにフェイクニュースと分かるようなデマ情報を進次郎氏も山本氏も鵜呑みにして“フェイク演説”をしたのだ。しかも基地容認の島袋市政時代(2006年1月から10年1月)こそが問題だったことは、過去記事の検索ですぐに確認できた。2016年2月18日付の夕刊フジには「(老朽化した球場について)球団では10年以上前から改善を求め」とあり、06年1月には問題が顕在化していたことが確認できた。真っ先に責任追及すべきなのは、自民党が支援した島袋元市長だったのだ。

 しかし山本氏は「稲嶺市長は国と対立しているから球場建て替えの補助率が5割と低く、市民負担が増えた」とも批判したが、一方、国と良好な関係の基地容認の島袋市長が高補助率で球場建替をしなかった“不都合な真実”は紹介しなかった。判断が遅れた島袋元市長は免責し、職務怠慢の後始末をした稲嶺前市長に全責任を押し付けたともいえる。

「フェイク演説」は他にもある。山本氏は渡具知氏の隣でこうも訴えていた。

「沖縄は未曾有の経済好況を謳歌しています。全国で一番経済が元気なのは、沖縄なのです。那覇も浦添もうるまもとっても元気なのです。その未曾有の好調を呈しているはずの沖縄。名護はどうでしょうか。これだけ美しい自然があって、これだけの観光資源があって、名護市民は市民生活が良くなったといえるのでしょうか。大変申し訳ありませんが、経済のデータを見たときに、沖縄の未曾有の経済活性化の流れに、名護は乗り遅れていると言わざるを得ません」
「名護が取り残されているからなのです」「沖縄11市の経済成長率は平均11.4%なのです。名護は9.4%なのです。市長のアンチ・ビジネス的な政策がこういう経済停滞を招いていることをはっきりと申し上げていきたいと思います」

経済成長率9.4%なのに“経済停滞”と主張するトンデモ欺瞞ぶり

 経済部の学生でもビックリ仰天の山本氏の思考能力だ。山本氏は「沖縄11市の経済成長率は平均11.4%で名護市が9.4%」というデータから“経済停滞”と決め付けているが、しかし「経済成長率9.4%」という立派な数字から経済停滞などと結論づける学者がいたら「権力者にゴマする御用学者」と見なされて信頼失墜するに違いない。また2%の平均との差についても、「那覇周辺の好景気が県北部の名護市など県全体に波及するまでのタイムラグ」といった解説をする専門家はいても、「名護市が取り残されている」などと否定的に捉える専門家は皆無に違いない。

 応援に駆けつけた自民党国会議員だけではない。応援をされた渡具知氏もこの“フェイク演説”に同調し「いま沖縄県、景気がすべて好調です。観光も好調、住宅も好調、建設も好調。その好景気をわれわれ名護は享受出来ていない」と訴えていた。小泉氏や山本氏、そして渡具知氏が、虚偽事項流布を禁じる公職選挙法違反や名誉毀損で訴えられても不思議ではないほどの“フェイク演説”が繰り返さられていたのだ。

 3月初旬に始まる予定の名護市議会では、多数派の稲嶺前市長系市議が、選挙中の“フェイク演説”や基地政策の二枚舌的立場などについて新市長を徹底追及する構えを見せている。推薦を受けた自公両党の基地政策の埋め難いギャップについても追及が予定され、渡具知氏が市長選では決して口にしなかった「辺野古新基地容認」を表明する事態も考えられる。そうなったら「公明党との政策協定に盛り込まれた『海兵隊の県外・国外移転』と矛盾」「公約違反だ」などの批判が噴出するのは確実で、市長リコールに向けた動きが出る可能性もある。

“フェイク演説”に加え、二枚舌的基地政策、基地容認の是非を問わなかった争点隠し、公開討論会の出席拒否などを駆使した結果、市長選に勝利したものの、いくつもの“爆弾”を抱え込んでしまったといえる。

辺野古の海上軍用滑走路に地震・津波リスクも!

 アベノミクス批判の急先鋒で安倍晋三首相がもっとも嫌うエコノミストの藻谷浩介氏も2月11日付毎日新聞で「事実に反する“イメージ” 流されてはいけない」と銘打ち名護市長選中の渡具知陣営の訴えに疑問を提示していた。

「沖縄県名護市長選で、辺野古沖海上への軍用滑走路新設反対を明確にした現職が、『経済活性化』を掲げた新人に敗れた。これだけ聞くと『名護の景気はさぞ悪いのだろう』と感じられる。だが実際には同市の人口増加率(10年→15年、国勢調査準拠)は、人口5万人以上の全国522市町の中で上から64番目、3大都市圏を除いた296市町の中では22番目であり、『これが“不振”なら“活性化”とは何か』と聞きたくなる。人口増加の原動力は、沖縄県内最大級のリゾートホテル集積であり、米軍基地の市内での増強は、こうした滞在型観光地としての経済活性化の未来に真正面から水を差すものである」

 小泉氏や山本氏の“フェイク演説”が訴訟となった場合、データ(統計)を元にした講演を全国各地で続け、フェイクニュースに警告を発している藻谷氏の主張は有力な根拠となるだろう。

 さらに藻谷氏は、辺野古に新設予定の海上軍用滑走路周辺に沖縄トラフが存在し、津波リスクがあることを指摘しているが、元土木技術者の北上田毅氏もまた月刊誌「世界」(岩波書店)3月号で「辺野古新基地建設はいずれ頓挫する」と題して、辺野古周辺海域に活断層が存在する可能性があり、軍事基地として不適切ではないかと疑問呈示、活断層に関する情報公開も求めている。

“フェイク演説”に、二枚舌的な基地政策、さらに地震・津波リスクについても市議会などで徹底的に追及される話はいくつもある。前代未聞の詐欺的手法で当選はしたものの、これから針のムシロに座らされて追い詰められるのは渡具知新市長のほうではないか。“フェイク演説”による“イメージ市長選”で稲嶺氏は選挙で敗北したが、事実に基づく市議会での論戦や法定闘争などで反転攻勢に転じる事態は十分に考えられる。

 全国的な注目を浴びた名護市長選は、進次郎氏の正体を浮き彫りにする役割も果たした。“客寄せパンダ”として全国の重要選挙に駆けつける同氏だが、「事実を確認にせずに応援陣営のウソを受け売りする“詐欺的若手芸人風政治家”ではないか」という拭い難い疑問が浮かんできたのだ。市長選という第一ラウンドでは自公推薦候補が勝利したが、第二ラウンドの3月市議会では演説内容をファクトチェックする“爆弾質問”で攻守逆転する可能性は十分にあるのだ。

最終更新:2018.02.15 05:50

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

小泉進次郎も加担した名護市長選の“フェイク演説”を検証 日ハムキャンプ問題や経済停滞も大嘘だった!のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。北海道日本ハムファイターズ小泉進次郎山本一太横田 一沖縄の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 大阪の入院率10%のなか、維新議員が「コロナ感染、即、入院」で非難殺到!
2 入管法改正強行に小泉今日子らが反対表明!スリランカ人女性見殺しにも非難
3 宮本亞門が「“お金がからない五輪”は架空」海外のVIP接遇費44億円
4 内閣官房参与の高橋洋一がコロナ感染状況を「さざ波」「笑笑」とツイート
5 コロナのさなか自公が高齢者の医療費負担を2倍にする法案を強行採決へ
6 JOC竹田会長が女性死なせる交通事故
7 池江璃花子のツイートを菅政権やメディアが反対運動封じに利用!
8 『めざまし8』で3時のヒロイン・福田らが「吉村知事はタイプ」話で盛り上がる
9 吉本芸人「ほんこん」のサムすぎるネトウヨぶり!
10 水道橋博士が安倍首相批判で大炎上!
11 葵つかさが「松潤とは終わった」と
12 五輪3兆円超え戦犯・森喜朗の重大疑惑
13 田崎史郎が『ひるおび』共演・柿崎首相補佐官就任で不機嫌に!
14 櫻井よしこ、西岡力、文春…朝日・慰安婦報道叩きのデタラメが次々露呈
15 菅首相「五輪選手と国民が交わらない」は嘘 528自治体で選手団と住民が交流
16 東京都が東京五輪の観戦に子ども81万人を動員! 感染拡大中に通達
17 日本城タクシー坂本社長が橋下徹を再び論破!「アホな議論」と一刀両断
18 文春の元編集長の子どももフジに入社!
19 自民党がネトサポに他党叩きを指南
20 西村担当相が「マスクでも感染」認めたのに濃厚接触者の定義変更しない菅政権
1 東京都が東京五輪の観戦に子ども81万人を動員! 感染拡大中に通達
2 大阪の入院率10%のなか、維新議員が「コロナ感染、即、入院」で非難殺到!
3 コロナのさなか自公が高齢者の医療費負担を2倍にする法案を強行採決へ
4 吉村知事が“批判逃れ”に必死! 橋下徹と宮根誠司は“同情誘う作戦”
5 菅首相がコロナ対応の失敗を改憲にスリカエる発言! 国民投票法も強行成立
6 吉村知事が「変異株対応」を強調して私権制限主張も…国内初の変異株死者を隠蔽
7 菅首相が「人流は間違いなく減少」と真っ赤な嘘! 東京駅前は昨年の1.8倍
8 『めざまし8』で3時のヒロイン・福田らが「吉村知事はタイプ」話で盛り上がる
9 大阪で123の病床が削減! コロナ医療崩壊でも菅政権が強行する医療カット
10 宮本亞門が「“お金がからない五輪”は架空」海外のVIP接遇費44億円
11 菅首相「五輪選手と国民が交わらない」は嘘 528自治体で選手団と住民が交流
12 内閣官房参与の高橋洋一がコロナ感染状況を「さざ波」「笑笑」とツイート
13 大阪「高齢者の入院の優先順位下げろ」は職員の問題ではない! 吉村知事も
14 池江璃花子のツイートを菅政権やメディアが反対運動封じに利用!
15 菅首相が「休んでいる看護師がいるから五輪に500人」妄言の直前に…
16 西村担当相が「マスクでも感染」認めたのに濃厚接触者の定義変更しない菅政権
17 入管法改正強行に小泉今日子らが反対表明!スリランカ人女性見殺しにも非難
18 フジ系『最高のオバハン』が結婚詐欺師の名を小室氏と一字違いの「小室敬」に

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄