官邸の圧力!?『報道ステーション』で安倍批判をした古賀茂明が番組を降ろされた!

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『国家の暴走 安倍政権の世論操作術』(角川oneテーマ21)

 古賀茂明氏といえば、元経産官僚ながら歯に衣着せぬ批判で知られる評論家。とくに昨年9月に『国家の暴走 安倍政権の世論操作術』(角川oneテーマ21)を上梓してからは「安倍政権による“軍事立国”化を食い止めよ!」と“反安倍”の姿勢を鮮明にしていた。

 その古賀氏が、定期的に出演していた『報道ステーション』(テレビ朝日系)のコメンテーターを3月一杯で“更迭”されることになった。

 かねて安倍官邸から敵視されていたため、いつかこんな日が来るのではないかと心配されていたが、直接のきっかけと見られているのが先月1月23日の放送だ。「イスラム国」による人質事件の最中でほとんどのメディアが政権批判を控えているなか、敢然と、しかも痛烈かつ的確な言葉で安倍晋三首相の外交姿勢を批判したのだ。

 古賀氏の論理は明快だった。

〈日本政府は、2人の日本人が人質に取られ、後藤健二さんに関しては身代金を要求されていることを事前に知っていた。「人命第一」に考えるなら、いちばん大事なことは犯人を刺激しないこと。10億円、20億円程度なら官房機密費ですぐに払える。1月に首相の中東訪問を控えているなら、それまでに解決しておくこともできた。にもかかわらず、それをしないでわざわざ「イスラム国」を刺激するようなパフォーマンスを繰り返し、「『イスラム国』と戦う周辺国に2億ドル出します」と宣戦布告のようなことを言ってしまった。これは「イスラム国」の側からすれば交渉の余地なしということになる。だったら、宣伝に使うか、思いっきりふっかけてやろうということになったのが今回の事態ではないか。
 ではなぜ、安倍さんは人質が取られていることを知りながら挑発的な言動を繰り返したのか? それは、「後藤さん犠牲になっちゃうかもしれないけど、でも、もっと大事なことがある」と判断したのだと思う。では、安倍さんにとってもっと大事なこと、何が第一だったのかというと、「イスラム国と戦っている有志連合の仲間に入れて欲しい」ということだ。しかし、アメリカやイギリスと一緒になって空爆を(安倍さんはしたいけど)するわけにはいかない。だから人道支援ということにしたわけだ。ただ、この人道支援はあくまでも「『イスラム国』と戦うための支援ですよ」ということをアピールしたくて、ああいう言い方になったと思う。
 ただ、我々はやはり「日本は戦争をしない国なんだ」というところにもう一度、立ち返らなければいけないと思う。安倍さんは「有志連合に入りたい」と願っているかもしれないが、日本は憲法もあるし、できないはず。それが今回、安倍さんの発言によって日本の良いイメージが逆の方向に行ってしまった。日本という国は「アメリカの正義」を正義と思い込んでいるんじゃないか? アメリカやイギリスと一緒なんじゃないか? そういうことが世界に発信されてしまい、「イスラム国」にも利用された。しかし、我々は「いや、そうじゃないんだ」と言うべきだ。「日本は戦争をしない国だし、日本を攻めてこないような人たちを一方的に敵だなんて思いませんよ」と、もう一度、世界にアピールしていく必要がある〉

 そして、こう言い放ったのだ。

〈“私はシャルリー”っていうプラカードを持ってフランス人が行進しましたけど、まぁ私だったら“I am not ABE”(私は安倍じゃない)というプラカードを掲げて、『日本人は違いますよ』ということを、しっかり言っていく必要があるんじゃないかと思いましたね〉

 時間にしておよそ7分。この“演説”に官邸がどれほど激怒したことか。放送中から番組関係者の元には数分と置かず抗議と思しき電話が入った。しかしオンエア中なので出られず、着信だけがずらりと残り、官邸のイラつきの激しさがわかったという。そして、あまりに電話に出なかったため、最後は怒りのメールで締めくくられた。テレビ朝日関係者がこう話す。

「官邸からダイレクトに局の上層部にも連絡があったと聞いています。さまざまなルートでプレッシャーをかけてきた。『古賀に何を言わせてるんだッ』『発言を止めろ!』って。いつもは番組終了後に反省会があるのですが、あの日はそれどころではなかったですね」

 それにしても、「抗議」というのはどういう了見なのだろう。古賀氏は古賀氏の責任において、今回の事態に対する自らの見解を述べたに過ぎない。しかも、テレビで顔出しをして。人質解放の交渉の余地があったのになぜしなかったのか? 人質が取られていると知っていながらなぜ相手を刺激するパフォーマンスを繰り返したのか? 一国民として誰もが抱く疑問を口にして、元官僚の知見からそれに対する解説を述べただけだ。それが政権にとって都合の悪い内容だったから、国民に知られてはマズイ内容だったから、抗議をしたというのだろうか。

 いずれにしてもこの一件で、4月以降、古賀氏の姿は『報ステ』から(おそらくテレ朝全体から)消えることになった。すぐに降板とならなかったのは、3月一杯の出演日をあらかじめ決めていたからだ。テレ朝幹部はこの間の古賀氏の出演日には、どんな言葉が飛び出すか固唾を飲んで見守っているという。当の古賀氏自身は相変わらずだ。2月13日の放送でも「先進国のなかで原発が安いと言っているのは日本だけ」と、健在ぶりを見せつけていた。

 実は、今回の古賀氏“更迭”は、本サイトがしばしば指摘してきた官邸による「報ステ潰し」の一環のようなのだ。というのも、“粛清”は古賀氏だけではなさそうなのだ。いま局内で囁かれているのが、メーンキャスターの古舘伊知郎の信頼が厚く、これまでの『報ステ』路線を支えてきた番組統括の女性チーフプロデューサー、そして古舘と絶妙なコンビネーションワークで視聴者に人気のあったコメンテーターの恵村順一郎氏(朝日新聞論説委員)の2人が、古賀氏と同時に4月から“粛清”されることが決まったという。先のテレ朝関係者が言う。

「チーフプロデューサーは『報ステ』の前身の『ニュースステーション』時代からディレクターを務めてきた人で、安倍政権に限らず歴代与党からの圧力にも臆することなく『報ステ』路線を貫いてきた。古舘さんや恵村さんが自由にコメントできたのも、彼女の存在が大きかった。それだけに、上層部が官邸サイドから『あの女プロデューサーをなんとかしろ』と言われているという噂はずっとあった。その意味で、今回の人事はあまりにわかりやす過ぎ。4月以降、番組の雰囲気はガラリと変わるかもしれません」

 この“粛清人事”を主導しているのは、これも本サイトが何度も書いてきた、安倍首相→見城徹(幻冬舎社長)→早河洋(テレビ朝日会長)ラインだといわれている。

 安倍首相のマスコミ対策指南役ともいわれる幻冬舎の見城社長は現在、テレビ朝日の放送番組審議会委員長を務めていて、審議会の席でもしばしば『報ステ』とコメンテーターの恵村氏批判を繰り返していたという。

 一方、開局以来、朝日新聞社の支配が続いていたテレ朝で史上初の生え抜き社長となった早河会長の悲願はテレ朝の「脱朝日新聞化」だ。朝日新聞の不祥事が続いたこの機に乗じて、一気に達成したいという思惑がある。

 この二人が安倍首相の手先となって、いよいよ反原発や政権批判を続ける報ステの“改革”に乗り出したということらしい。

 安倍首相が人質事件の対応であれだけの下手を打っておきながら内閣支持率が下がらないどころか上昇しているのは、NHKを筆頭にテレビが政権にとって「不都合な真実」をほとんど伝えていないからだ。これは、再登板した安倍首相が前政権時代の教訓で早くから報道各社の幹部と会食を繰り返すなどして、メディアを手なずけることに成功したからだ。

 これで『報ステ』が安倍政権の軍門に下れば、日本のテレビ翼賛体制はますます強固になるだろう。『報ステ』にはなんとか踏ん張ってほしいと思うが、状況は絶望的といわざるをえない。
(田部祥太)

最終更新:2017.12.13 09:27

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