ワタナベエンタ大澤常務のセクハラはなぜ報じられない? 週刊誌も大澤常務と癒着、志らく妻の不倫、闇営業問題でもいいなりに

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渡辺ミキ社長名で謝罪文を掲載したワタナベテンターテインメント(公式HPより)


 この間、渡部建のゲス不倫報道一色になっているワイドショーやスポーツ紙。しかし、「週刊文春」が渡部のことをスクープした同日に発覚したもうひとつのとんでもない芸能スキャンダルのほうはなぜかまったく報じられていない。

 それは、「文春オンライン」がすっぱ抜いたワタナベエンターテインメント・大澤剛常務による自社タレントへの悪質なセクハラ事件だ(ちなみに「週刊文春」と「文春オンライン」は編集部が全く別で、社内では協力どころかライバル関係にあるらしい)。

 ワタナベエンターテインメント(通称ナベプロ)は老舗大手芸能プロダクション・渡辺プロダクションのタレントマネジメント部門を分社化した組織だが、近年は恵俊彰、立川志らく、林修、ネプチューン、ハライチ、アンガールズ、イモトアヤコなど、数多くの売れっ子タレントを抱え、ワイドショーやバラエティを席巻。以前にも増して勢力を拡大している。

 そんななかで、「事実上、ナベプロを仕切っている大幹部」としてテレビ業界や芸能マスコミ関係者から恐れられていたのが、大澤剛常務だった。

「ナベプロは創業者の渡辺晋さんの娘である渡辺ミキ氏が社長を務めているが、大澤常務は完全にミキさんにつぐナンバー2の存在です。広報担当として、所属タレントのスキャンダル潰しに手腕を発揮したのを買われ、近年ではタレントのプロデュースやマネジメント部門も牛耳るようになった」(スポーツ紙芸能担当記者)

 ところが、この大澤常務がプロデュースする男性アイドルグループのメンバーだったA氏が、大澤常務から性的な行為を迫られていたことを、文春オンラインに告白したのだ。

 興味本位に受け取られかねないので、詳細は控えるが、2019年2月、大澤氏のタワーマンションでキスをされ、目隠し状態で裸の写真を撮られたのを皮切りにわいせつな行為の強要は1年続き、移動中のタクシーや撮影中のスタジオのトイレでもわいせつな行為を強要されたこともあったという。

 A氏が所属するアイドルグループは大澤常務が自らプロデュースしており、メディア出演や振り付け、撮影の立ち位置までツルの一声で左右していたため、A氏は要求にさからえず、応じざるをえなかったと告白している。

 A氏はこうしたセクハラを裏付ける大澤常務のひわいなLINEを「文春オンライン」に提供しており、ほとんど事実と見て間違いないだろう。

 実際、大澤常務自身も「文春オンライン」の取材に「Aの素行が悪いため教育的指導の意味合いがあった。彼から誘ってきた」などと語る一方、キスをしたことなどの事実は認めている。

 また、ワタナベテンターテインメントも、記事がアップされた当日、大澤常務を役員から解任、停職処分とし、自社のHPに渡辺ミキ社長名で以下のような謝罪文をアップした。

〈2020年6月11日に文春オンラインに弊社取締役に関する記事が掲載されたことについて、弊社の取引先、関係者、所属タレント・アーティストのファンの皆様をはじめ、日ごろから弊社を応援してくださっている方々にご心配やご迷惑をおかけすることとなり、誠に申し訳ございません。
文春からは6月9日に問い合わせがあり、同日、社内で調査委員会を設置する事を決定し、この件に関する調査を開始しております。現在、事実関係の詳細について確認中ですが、このような記事が公表されたこと自体、弊社が設立以来大切にしていた、お互いに信頼し合い、能力を引き出していくというポリシー、タレントとマネージャーの対等な関係性を損なうものであると認識しています。
調査委員会による調査結果が判明次第、弊社としての正式な処分を下す考えです。〉

大澤常務とべったりの『フライデー』は闇営業報道でザブングルをスルー

 事件はまさに、芸能界の権力関係を悪用したセクハラであり、故ジャニー喜多川社長によるジャニーズJr.へのセクハラ事件を彷彿とさせるが、しかし、問題は冒頭で指摘したように、この重大な不祥事がメディアでほとんど報じられていないことだ。当の大澤常務がある程度の事実を認め、ワタナベエンターテインメントも謝罪をしているのに、ワイドショーもスポーツ紙も週刊誌も不自然なくらい一切封じようとしない。いったいなぜか。

 背景にはもちろん、ワイドショーのMCやコメンテーターに、恵俊彰、立川志らくなど、ナベプロ所属のタレントが大挙起用されていることがある。

 しかし、スポーツ紙や週刊誌系ネットニュースまでが報じなかったのには、もうひとつ大きな理由がある。それは、これらのメディアがまさに大澤常務と癒着し、大澤常務にいわれるがまま、ナベプロ所属のタレントのスキャンダルや不祥事を握りつぶしてきた経緯があるからだ。週刊誌記者が解説する。

「ナベプロは大手芸能プロですが、以前は、スキャンダル報道にそこまで圧力をかけるような体質ではなかった。ところが、大澤さんが広報担当になって以降、ワイドショーはもちろんのこと、スポーツ紙、週刊誌などにも、徹底的に介入してくるようになった。少しでもナベプロのタレントにマイナスな話を載せようものなら、ものすごい勢いで怒鳴り込んでくる。一方でメディアの取り込みもうまく、飲食接待はもちろん、バーターで他の事務所にからむ芸能情報を提供してきたり、タレントのグラビアや連載をもちかけてくる。それで、スポーツ紙も週刊誌も抱き込まれてしまったんです。最近のナベプロは、ジャニーズ、バーニングに匹敵するタブーになっていました」

 その癒着、象徴といえるのが、闇営業問題が発覚した時の報道だろう。周知のように、この問題は「フライデー」が宮迫博之ら吉本芸人が反社会勢力のパーティに参加していたことを報じたことがきっかけで大きな問題になったのだが、実はこのパーティには、ワタナベエンターテインメント所属の芸人・ザブングルの2人参加していた。実際、「フライデー」が掲載した写真にも2人の姿はうつっていた。ところが、「フライデー」は2人の存在には一切触れなかったのだ。

「これも、『フライデー』編集部と大澤常務の関係があったためです。『フライデー』は、AKB全盛期に柏木由紀らナベプロ所属のAKBタレントのグラビアをしょっちゅう掲載しており、大澤常務とべったりで、情報をもらったりもしていた。大澤常務はテレビやスポーツ紙などにも『ザブングルには触れるな』と圧力をかけ、ザブングルのことはなかなか報じられなかった。結果的にこれで、ナベプロは体制を整えることができて、吉本と対照的に批判を免れた」(前出・週刊誌記者)

 また、立川志らくの妻と弟子の不倫関係を「週刊文春」が報じた際、やはり後追い報道がほとんどなかったが、これも大澤常務の圧力の結果だった。今度はスポーツ紙担当記者が語る。

「文春発売の前日だったか、大澤常務から直接電話があり、報道しないよう要請があった。それでスポーツ紙はどこもネット版で少し触れるだけにして、本紙では取り上げなかったわけです。おそらく、各局ワイドショーにもうそういう要請が入っているはずです。本人に『グッとラック!』で説明させるから、とねじこんだんでしょう」

自社タレントの中村昌也のために「週刊女性」と組んで矢口真里の不倫バッシング仕掛け

 また、大澤常務は、自社タレントが有利になるよう自らスキャンダル報道を仕掛けることもあったという。その典型が矢口真里の不倫報道だ。

 矢口の不倫が発覚したのは2013年6月、「週刊女性」(主婦と生活社)が掲載した「激震スクープ!矢口真里 夫が目にした衝撃 『2月23日 不倫現場』自宅寝室に知らない男が!」という記事が発端。当時の夫・中村昌也が帰宅すると、矢口と梅田賢三の2人の不倫現場に遭遇してしまったという内容で、これがきっかけで矢口は猛烈なバッシングを受け、芸能活動自粛に追い込まれるのだが、これを仕掛けたのが大澤常務だった。

「当時の夫である中村はワタナベエンターテイメントの所属。中村から相談を受けた大澤常務が、中村のマイナスイメージになるような情報が出る前に先手を打ち、同情を集めて中村を再売り出ししようと、『週女』に情報をリークしたというのが定説になっている。しかも、大澤常務は当時、直々に『週女』の会議に参加していたという噂まで流れた。実際、掲載された情報は当事者の中村でないとわからないものばかりでしたからね」(前出・週刊誌記者)

 ようするに、こういう癒着の構図があったため、今回、ワイドショーだけでなく、スポーツ紙、(文春以外の)週刊誌系のニュースサイトまでが、口をつぐんでしまったのだ。

「というか、大澤常務のタレント私物化、えこひいきは前々から噂になっていました。柏木由紀や志尊淳なども特別可愛がられていましたしね。でも、みんな見て見ぬ振りをしていたんです」(芸能ジャーナリスト)

そういう意味では、テレビやスポーツ紙、週刊誌もこうした芸能界的なセクハラの共犯者といっていいだろう。

 しかも、この癒着の構図の結果、大澤常務はこんなひどいセクハラが発覚しても、しばらくしたら復活するのではないかという見方もある。

「ナベプロは独自の調査委員会を立ち上げて厳正な処分をすると言っていますが、ミキ社長はこれまで汚れ仕事を率先して大澤常務にやらせてきた。このまま切り捨てたらら、これまでの暗部を暴かれかねないですから、完全にクビにするということはないでしょう。メディアもいまの調子だと問題にすることはない。そのうち、こっそり幹部に戻るという可能性も十分ある」(前出・芸能ジャーナリスト)

 腐り切った日本の芸能界には、「MeToo」から始まったセクハラ追及の世論も届かないということなのか。

最終更新:2020.06.14 08:14

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