安倍応援団・つるの剛士がこの状況で「安倍首相にお疲れ様を言いませんか?」 ならば首相が本当に疲れるほど働いていたか徹底検証

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
安倍応援団・つるの剛士がこの状況で「安倍首相にお疲れ様を言いませんか?」 ならば首相が本当に疲れるほど働いていたか徹底検証の画像1
つるの剛士Twitter


 毎日新聞につづき朝日新聞の世論調査でも内閣支持率が20%台に突入し、いよいよ「危険水域」に足を踏み入れた安倍政権。新型コロナ対応の後手ぶりはもちろん、そこに黒川弘務・前東京高検検事長の問題が噴出したことを考えれば、当然の結果だろう。

 だが、こうした世論に焦っているのは安倍首相本人だけではない。安倍応援団も同じだ。なかでも露骨だったのが、安倍首相の会見がおこなわれた25日に投稿された、つるの剛士のこんなつぶやきだ。

〈国民の皆さんで安倍首相にお疲れ様、ご苦労様を言いませんか?
震災の時、テレビに出てくる度お疲れ顔になっていた枝野さんに“お疲れ様です!寝てください!”と労った時のように。
政治家の皆様も同じ人間。人です。
未曾有で大変な時こそ、皆んなで励まし労い合いませんか?
今頑張ってる全ての人に。〉

 何を言い出すかと思えば、“お疲れの安倍首相を労おう!”って……。だが、どうして痛みばかり押し付けられている国民が、後手後手の新型コロナ対策しか打ち出せていない安倍首相に「お疲れ様」「ご苦労様」と言わなければいけないのか。

 安倍首相は新型コロナ対応に追われているはずのこの数カ月間、公邸に泊まり込むのではなく基本的に私邸に戻っており、土日もちょろっと官邸・公邸に顔を出すだけでほとんどの時間を自宅で過ごしている。例のコラボ便乗星野源動画でも自ら示したように、休日には犬を撫でて茶を飲みテレビをザッピングするという優雅な生活を送っているのである。

だいたい、東日本大震災と原発事故対応で当時の枝野幸男官房長官に対して「枝野寝ろ」の声がネット上で起こったのは、昼夜問わず1日に何度も会見を開いていたからだ。だが、安倍首相が新型コロナ対応でこれまで会見をおこなったのは、たったの8回。つるのがこの投稿をおこなった25日の会見後も、安倍首相は記者からの質問をシャットアウトするために入れているとしか思えない対策本部の会合に18分出席すると、20時32分には富ヶ谷の私邸に帰宅。翌26日は9時52分に官邸入りしている。新型コロナに全力で当たるために公邸に泊まりきりだというならまだしも、私邸にしっかり帰宅している総理大臣のどこが「お疲れ様」なのか。それを、医療従事者なども含めた「今頑張ってる全ての人」のなかに安倍首相を入れろ、とつるのは言うのである。

 いや、さらに言えば、総理大臣としてリーダーシップを発揮すべきだった初動はもっと酷かった。国内初の感染者の死亡と、中国と接点のない国内感染者が新たに発表された2月13日には、対策本部での会合などをさっさと済ますと、東京・丸の内のパレスホテル東京でおこなわれた精神科医らでつくる安倍首相の後援会「晋精会」の会合で挨拶。その後は平河町の中国料理店「赤坂四川飯店」へ向かい、細田博之元幹事長、麻生副総理兼財務相とともに細田派・麻生派の衆院当選3回生議員、いわゆる「魔の3回生」らとの懇親会に出席し、私邸に戻ってしまった。

 また、「ダイヤモンド・プリンセス」号に乗船し、感染が確認されていた80代の日本人男女2名が死亡した2月20日には、約2分間、記者のぶら下がりに応じて哀悼の意を表して官邸を後にすると、その足で六本木に直行。鉄板焼き店の「花郷 六本木店」で、安倍応援団の金美齢氏や自民党の城内実、池田佳隆、石川昭政、長尾敬、簗和生、山田賢司各衆院議員、小野田紀美参院議員ら“ネトウヨ議員”と宴会をおこなった。

ネトウヨサイト「政治知新」も「過労死ラインを超えて国事に奔走する安倍総理!!」

 極め付きは、2月27日に突然ぶち上げた一斉休校要請の際の言動だ。休校にともなう親の休業補償策もないままのこの決定には批判が殺到し、29日に新型コロナ関連ではじめて安倍首相は記者会見を開いたが、その重要な会見の前日、安倍首相は安倍応援団である百田尚樹氏と有本香氏を公邸に招待して会食。場当たり対応で社会を混乱させている最中だというのに、感染症の専門家からレクチャーを受けるでも、教育現場の生の声を聞こうとするでもなく、声だけがでかい無教養なネトウヨ論客と会っていたのである。

 私邸に帰ろうが、やることをしっかりやっていればそれでいい。だが、打ち出したことといえばアベノマスクくらいで、PCR検査体制の強化も給付金の早急な支給もいまだ実現していない。その一方でちゃっかり“安倍政権の守護神”である黒川検事長の違法な定年延長を後付けで正当化し、時の政権が検察人事に介入することを合法化する法案を強行採決しようとしていたのだから、国民が怒るのはごく当たり前の流れだったのだ。

 なのに、「安倍首相にお疲れ様、ご苦労様を言いませんか?」とは、さっぱり意味がわからない。むしろ、「もっと働け安倍晋三」と言いたいくらいだ。

 しかし、この期に及んで「安倍首相を労おう!」などととんでもないことを言い出しているのは、つるのだけではない。じつは、つるのがこんなことを言い出した同日には、日本経済新聞が〈安倍晋三首相の連続執務日数が24日、120日となった〉と報道。これを受けて、ネトウヨまとめサイトの「政治知新」は、こんなタイトルのまとめ記事を配信し、ネトウヨが必死に拡散していたからだ。

「安倍総理、120日連続勤務!1月26日から1日の休みも取っていなかった!過労死ラインを超えて国事に奔走する安倍総理!!そして、政権批判ばかりの芸能人がいつ国民の為に働いたの?」

 ちょろっと官邸・公邸に顔を出した日まで勤務日にカウントしているだけなのに、「過労死ラインを超えて国事に奔走」とは……。このまとめ記事を配信している「政治知新」は本サイトの既報の通り、菅義偉官房長官ほか自民党との関係が囁かれているサイトなのだが(参照→https://lite-ra.com/2019/04/post-4661.html)、それを真に受けて拡散しているネトウヨも見えている世界が違うとしか言いようがない。

つのだひろはアベノマスクを「お国がくださった大切なマスク」「仏壇に供えておきます」

 だが、もっとすごいのは、歌手のつのだ☆ひろだろう。つのだは24日未明、アベノマスクについて、自身のFacebookにこんな投稿をおこなっているのだ。

〈ありがたいことに我が家にもマスクが届きました。僕は洗えるマスクを何枚も買っていたので、これは使わずに仏壇に供えておきます。お国が僕に下さった大切なマスクです。物の溢れた現在の大人にはこのマスクが有り難くないないらしい。文句を言っている人たちは国家が個人のためにこの騒ぎの中、デザインを発注し、梱包を依頼し、配達をお願いして家まで届けてくれたことの有り難さを考えてください。〉(原文ママ)

「お国が下さった大切なマスク」「仏壇に供えておきます」……。もういろいろとパワーワードが並びすぎて圧倒されるばかりだが、まず、「国家が個人のためにまでマスクを届けてくれたことの有り難さ」と言うものの、そのマスクがいまだに届いていない人が大勢いるのだが……。

 しかも、つのだは「文句を言っている人たち」に対し、〈政治や国の手法に文句があるなら、あなたが選挙に立って、選ばれて、国民のために働けば良いじゃないですか?〉などと国民主権を無視するような話をおっぱじめ、さらにこう畳み掛けるのだ。

〈それに安倍首相の足を引っ張っている方々で外交上信用されている人いますか?この国を理想形にできる方いますか??〉
〈反対ばかりしていないで共に前進しよう。まずは前に進んでみないと良いも悪いもわかりませんよ!〉

いや、いくら時間が経ってもマスクも給付金も届かず、検査体制は一向に整わず、安倍首相は「この国を理想形にでき」てなど、まったくもってないのだが。しかも、安倍首相が国民の健康と生命を第一に考えているのであれば、検査体制の強化も、支援策の拡充も、こんな遅れに遅れる事態には陥っていなかったことは間違いない事実だ。

そして、芸能人を含めた国民が批判の声をあげ、怒りをぶつけてきたからこそ、安倍首相は10万円の現金給付や、事業者への家賃支援、文化・芸術分野への支援といった支援策の拡充に乗り出さざるを得なくなり、検察庁法改正案も今国会での採決見送りにいたった。多くの国民が安倍首相の詐術や愚かさに気がつき、その結果、政治を動かしたのだ。だが、そんななかでもまだ“安倍首相に感謝しろ”と安倍応援団は訴えるのである。もはやこれは宗教か、と言うしかない。

最終更新:2020.05.27 10:54

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

安倍応援団・つるの剛士がこの状況で「安倍首相にお疲れ様を言いませんか?」 ならば首相が本当に疲れるほど働いていたか徹底検証のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。つのだひろつるの剛士アベノマスク安倍応援団安倍晋三政治知新新型コロナウイルス編集部の記事ならリテラへ。

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄