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玉川徹が『モーニングショー』で「ネトウヨの正体」を追及!「なんで私のことを反日、パヨクというのか」
12月27日放送『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)より
27日に放送された『羽鳥慎一モーニングショー』で、テレビ朝日社員の玉川徹氏のコーナー「そもそも総研」が話題になっている。というのも、普段、ネット右翼から目の敵にされている玉川氏自らが、「そもそもネトウヨとはいったい何者なのだろうか?」とのテーマで取り上げたからだ。
「私もネトウヨのかたからいっぱい言われているらしい」「反日だとかパヨクだとか」と話す玉川氏。まず、番組VTRでは、本サイトでもお伝えしたように(https://lite-ra.com/2018/05/post-4016.html)、「余命三年時事日記」なるネトウヨブログの扇動によっていわれのない懲戒請求を大量に受けた弁護士のひとり、北周士弁護士にインタビュー。現在、北弁護士は懲戒請求をした全員に損害賠償を求めた訴訟の提起、あるいは謝罪と和解を呼びかけている。
北弁護士は、「懲戒請求者は一番若い人で40歳。一番上の人で70代」と把握していると話す。玉川氏は「僕のイメージだと、そういうふうなことをする、いわゆるネット右翼という人は、ある種若くて引きこもったり、そういう人だというイメージがあったんですけど」というが、北弁護士が会った人は、多くは50〜60代で、職業も会社経営者や医師など、それなりに社会的地位が高い人というのだ。
さらに、玉川氏はネトウヨ雑誌「ジャパニズム」(青林堂)の元編集長で、自身も「かつてネトウヨだった」と自認する古谷経衡氏にもインタビューをした。古谷氏は以前から、ネトウヨは巷間思われている「若者の貧困層」という説に異を唱え、独自の調査で「実態は40代の富裕層が多い」などと主張してきた。
玉川氏が「よく私も反日とかパヨクとか言われてるらしいんですけど、いったい(ネトウヨは)私のどこが反日だと思って(いるのか)。(自分は)日本のことを考えて話しているんですね」と尋ねると、古谷氏はこう語った。
「まずネット右翼と呼ばれる人たちがいわゆる反日、まあ左翼の変化形がパヨクなわけですけれども、それが敵認定するときの基準というのは、韓国と中国と朝日新聞、この3つ、これが嫌いかどうかです。単純にこれだけ。一個でも好きだったら反日。一個でも好きだったらパヨクです。それだけ。思想とかイズムはないんですよ」
実のところ本サイトの編集部にも、ネトウヨの“捨てアド”からしょっちゅう頭の悪いメールが届くが、まあ、この古谷氏の分析はあたっていると言えるだろう。あえて具体的に紹介はしないが韓国・朝鮮人、中国人に対する差別語を用いた内容や、「朝日の別働隊」とか「お前ら反日を叩き潰してやる」というような中身のない中傷(?)がほとんどだからだ。
また、番組では古谷氏の分析として、実際にはネトウヨの数は多くはないが、ネットで声が大きいことで、これを世論だと勘違いしたメディアが抗議を恐れ、自粛や忖度することの危険性が指摘された。そして、スタジオでは玉川氏が、「ネット右翼に過剰に反応しても意味はない」「テレビにしろメディアにしろ、それから講演とかね、そういうようなのもちょっと電話かかってくるかもしれないけど、大したことではないんで、そういうので恐れずちゃんとやりましょう、われわれは、という(自戒の)意味を込めて」と締めくくった。
実際、ネトウヨたちの“電凸”と呼ばれる抗議等によって、リベラル系識者の講演会が中止に追い込まれたり、日本軍の戦争犯罪をめぐる映画上映会に圧力が掛けられたりという事例が、近年相次いでいる。だが、こうした下劣な行為に怯えて、メディアが伝えるべきことを伝えず、言論が萎縮してしまったら、それこそ連中の思う壺だろう。
ネトウヨの実態を検証するも、安倍政権やネトサポとの関係にはふれず
いま、ネトウヨたちは「『そもそも総研』ネトウヨ特集は玉川氏の私怨」なる意味のわからないことをほざいているようだが、玉川氏の「過剰に反応しても意味はない」「恐れずやる」という結論は、メディア人としてはまっとうな宣言といえる。
ただ、本サイトとしてはひとつ物足りなさを感じたのも事実だ。というのも、番組では、ネトウヨの個人的なプロフィールを探ることに注力されたが、その一方で、安倍政権との親和性についてはまったく触れられなかったからだ。
本サイトでは何度もお伝えしているが、そもそも自民党は下野時に「自民党ネットサポーターズクラブ」(J-NSC、通称ネトサポ)なるネット有志の別働隊を組織。そのメンバーを自称するアカウントが政敵のネガティブキャンペーンを連呼すると同時に、中国・韓国へのヘイトを連発する傾向にあることを指摘してきた。ようは、自民党はネトウヨを組織化することで、ネット工作をしてきたわけである。
また、それまでネット上でクダを巻いていたネトウヨたちが、現実の路上に出て、ヘイトスピーチやヘイトクライムを犯している事実も置き去りにされている。そして、在特会に代表されるそれらヘイト市民運動の関係者らが、片山さつき・地方創生相や、“生産性がない”発言の杉田水脈衆院議員や和田政宗自民広報副本部長など、安倍首相の覚えがめでたい政治家たちと昵懇であることも忘れてはならない。他にも在特会との関係が裁判所からも認定された稲田朋美元防衛相、在特会関係者とのツーショットが海外からも批判を浴びた山谷えり子・元国家公安委員長などあげていけばキリがない。つまり、安倍政権の政治家たちはずっと、ネトウヨからヘイト団体への連なる流れと一緒に歩んできたのである。
そして、これは言うまでもないことだが、ネトウヨの大部分は安倍政権を支持している。番組では、古谷氏が2014年衆院選での次世代の党(その後「日本のこころを大切にする党」などへ移行し、政党としては消滅)への比例得票数から、ネトウヨの数はだいたい200万人ほどであると分析していたが、実際には、ネトウヨの全てが次世代の党に投票したわけではない。むしろ、安倍自民党に投票した者たちのほうが多いと考えるのが自然だろう。
その意味では、『モーニングショー』は、ネトウヨのプロファイリングやその影響力の推測だけで終わらせるのではなく、逆に、現政権がいかにネトウヨに接近してきて、あるいは内閣自身がネトウヨ化しているかについても、きっちりと言及してほしかったところだ。
いずれにせよ、たとえネトウヨが“ノイジーマイノリティ”だとしても、その言説が差別やデマを垂れ流すものであることに変わりはなく、過小評価すべきではない。そして、実態としていかに少数であろうが、ネットというひとつの空間においては、残念なことに「市民権」を得ており、政権との相乗効果で新聞・テレビなどの論調にも明らかに一定の影響を及ぼしている事実を受け止めなくてはならない。
ネトウヨの言うことにいちいち耳を貸さなくてもよいが、無視すれば際限なく悪意は広がる。弁護士に対する大量の懲戒請求事案は、そのひとつの例ではなかったか。ネトウヨたちが徹底的に間違っていることを、しっかり示していくのがメディアの役割だろう。
(編集部)
最終更新:2018.12.29 12:30
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