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安倍一派のテレ朝支配は『報ステ』以外にも! 杉田水脈まで擁護するネトウヨ局アナの小松靖が“お昼の顔”に
テレビ朝日公式HPより
テレビ朝日の夜のニュース番組『報道ステーション』が政権批判報道をしなくなった問題。先日、本サイトは、安倍首相と近いテレ朝の早河洋会長が『報ステ』のチーフプロデューサーを交代させ、報道を骨抜きにしようとしている結果だと指摘した。
実際、その後もこの計画は着々と進んでいるようで、きのう、サブキャスターの小川彩佳アナが降板し徳永有美アナに交代になることが発表された。小川アナは嵐の櫻井翔との交際が話題になったが、古舘伊知郎がキャスターを務めていた時代、東日本大震災の直後から出演しており、取材にも積極的に出かけ発言もリベラル。差別事件や政権の不正には厳しい発言もしていた。そんなところから、小川アナは現在の路線に抵抗を示した結果、とばされたのではないかという見方も流れている。
しかし、テレ朝におけるこうした政権批判封じ込めの動きは『報ステ』だけではない。テレビ朝日の午前から午後にかけての情報番組『ワイド!スクランブル』でも、とんでもない事態が進行している。
『ワイド!スクランブル』は午前10時25分から午後13時40分にかけての大型情報番組(とちゅう『徹子の部屋』などで中断される)だが、2014年から橋本大二郎がキャスターを務めてきた。同時間帯の『ひるおび!』(TBS)が政権擁護一色の安倍応援団番組なのに対し、地味ではあるが他局ワイドショーがスルーするような政治ネタもフォローし政権批判もしてきた。
ところが2014年以来キャスターを務めてきた橋本が9月で降板することになり、後任のキャスターがなんと、あの小松靖アナだというのだ。
小松アナは、以前『羽鳥慎一モーニングショー』の前身『情報満載ライブショー モーニングバード!』でコーナーMCを担当していたが、ここ数年はAbemaTVのニュース番組『Abema Prime』やBS朝日の『日曜スクープ!』でキャスターを務めていた。地上波番組のレギュラー出演は3年ぶりで、『ワイド!スクランブル』のMCは大抜擢と言っていいだろう。
実はこの小松アナ、安倍政権擁護や右派的主張を連発して、ネトウヨに大人気の局アナなのだ。上述の『Abema Prime』や『日曜スクープ!』の放映後には「テレ朝にはめずらしく真っ当」などという小松アナを褒める声がSNSで拡散、逆に『報ステ』で富川悠太アナが政権に少しでも批判的なコメントをすると、「報ステの富川を小松アナに交代させろ」という声が上がる状態になっている。
たしかに、小松アナの発言をふりかえってみると、局アナどころか、安倍応援団のコメンテーター連中と比べても、遜色ないようなコメントを連発している。たとえば、つい先日の杉田水脈LGBT差別問題でも、それがあらわになった。
8月2日放送の『Abema Prime』で、コメンテーターのウーマンラッシュアワー村本大輔が杉田の謝罪撤回はおろか一切説明すらしていない姿勢を批判したところ、小松アナはこんなことを言い出しのだ。
「村本さんのおっしゃることわかるんですけれども、杉田さんが出て来ないという決断を当面してる以上は、出て来ないのはおかしいという欠席裁判になるような一方的なことは。村本さんがおかしいと言うのは自由だけど、おかしいという価値判断をしてしまうことは難しい」
ようするに、国会議員が自分で決断してるのだから、説明責任を果たさないことを「おかしい」とは言えない、というのだ。
「杉田水脈さんを批判するのは欠席裁判」と擁護した小松靖アナ
これに対して、村本は「本当のことを言わなくていいんですか? この記事で人を傷つけたまま逃げていいんですか?」と当たり前な反論をするのだが、小松アナは自説をまったく曲げようとせず、「だから、本当のことがこれ以外にあるかどうかは、杉田さんしかわからない」と杉田をかばい続ける。
小松のあまりに無理矢理すぎる主張には、日頃、中立厨的発言の多い博報堂の原田曜平までが割って入ってきて「杉田さんに出てきて話すべきだって言うのは言ってもいいんじゃないですか」と諌めたが、小松アナはそれでも頑として自説を変えようとしない。逆にキレ気味に「出て来ないのはおかしいまで言っちゃうと。(杉田議員は)今とりあえず出て来ないという判断をしているわけですから」と、意味不明な強弁を繰り返し、さらに原田と村本から「でも、相手は国会議員なんだから、おかしいって思ってもいいじゃないですか」「僕ら、税金だって払ってるわけだし」とつっこまれても、こんな主張を続けた。
「それはいま判断してるわけですよ。だって殺害予告が出てるわけですよ。かばってるわけじゃないんですよ。だけど、欠席裁判の様相を呈してくるから」
「殺害予告のせいで出ていけない」という杉田の言い訳に丸乗りして、杉田が謝罪も説明もしないことを擁護。そのうえで、出てこないことを批判したら「欠席裁判になるから、批判するな」。これって、杉田のことを一切批判するな、と言っているのと同じではないか。
村本が途中で突っ込んでいたが、小松アナは以前の放送で村本の朝生での発言などが炎上したことが話題になった際、村本に「どういう理由でこういう発言をしたんだ」などと追及していたらしい。それが、相手が杉田になると、この豹変ぶり。小松アナは、「かばっているわけじゃない」などとエクスキューズしていたが、そのめちゃくちゃな理屈を聞いていると、とにかく、自分が応援する安倍首相に近い杉田議員をかばいたい、それしかないのが丸わかりなのだ。
「沖縄タイムス」や「琉球新報」を批判し「八重山日報は公正中立」
小松アナのこうした姿勢は、森友・加計問題でも垣間見えた。たとえば、4月に加計問題で愛媛県“首相案件”文書が新たに見つかったとき、小松アナは『日曜スクープ』で、「限りなくグレーな以上、クロとは言えない」「推定無罪という原則は何事にもある」「印象だけで物事が進んでいくことの危険性を我々は知っておかなければならない」などと必死で安倍政権を擁護していた。
一般人による刑事事件の報道でこんな主張するならわかるが、行政に関する不正疑惑なのだから、少しでもグレーなら、公権力を監視する立場から説明を求め、追及するのは当然の話だ。ところが、小松アナは杉田問題で「欠席裁判になる」と批判を封じたのと同様、「クロとは言えない」「推定無罪」と疑惑追及を封じたのだ。
実はこの「クロとは言えない」とか「推定無罪」というのは、モリカケ問題で安倍応援団やネトウヨたちの常套句でもあったのだが、それを局アナがそのまま使って、安倍政権を擁護していたのである。
もっとひどかったのは、昨年8月、『Abema Prime』が沖縄基地問題をあつかったときだ。「沖縄メディアの異端児“八重山日報”日報とは」と題する特集のなかで、小松アナはなんと、基地反対運動へのデマ拡散で知られる「八重山日報」の記者と一緒に沖縄基地反対運動の現場を取材。その際に基地反対運動の住民に「八重山日報は中立、客観的」「沖縄タイムスや琉球新報は反基地ありき」「反対、反対だけ載せると、みんなそっちに流れちゃうじゃないですか」などと無神経なネトウヨそっくりの主張をくり広げたのだ。
また、同じく『Abema Prime』の2017年11月放送では、安倍首相が総選挙後の会見で改憲についてスケジュールにこだわらない姿勢を見せたことについて、
パックンマックンのパックンが「地球平和の祭典である東京五輪で世界から注目が集まっているときに、世界で唯一の平和憲法を日本が捨てるのかどうかと注目が高まるとやりづらいのではないか」との見方を話したところ、小松アナはすかさず「改憲が平和主義を捨てるというのは印象操作だ」と、まるで安倍首相が乗り移ったかのような主張をして、パックンの発言を封じ込めた。
とにかく、小松アナは司会を務める『日曜スクープ』『Abema Prime』では常にこんな調子で、安倍政権やその政策を擁護し、批判を封じ込めてきた。局アナが一切政権批判をしないというのは、日本では珍しくない普通のことだが、ここまで安倍応援団ぶりを露骨にしている局アナというのもほとんどいないだろう。そして、だからこそ、小松アナは前述のように、ネトウヨから支持を集めているのだ。
実際、youtubeには「聞いてて最高!テレ朝の保守 小松アナが石破茂を正論で完全論破!安倍内閣擁護の貴重なシーン!」「テレビ朝日唯一の希望…小松アナ野党のワガママを正論で完全制圧!!」「赤い大地北海道出身だがテレビ朝日の小松靖アナは本当にまともだぞ!テレ朝は彼に変化を託してはどうだ!?」「テレ朝でたった一人で戦う小松アナ、野党をド正論で蹴散らしてス」などと小松の“活躍”を讃えるネトウヨ動画が大量にアップされている。まるで青山繁晴か和田政宗のような扱いだ。
小川榮太郎やケント、竹田恒泰、有名ネトウヨまでフォローする小松アナの思想
しかも、小松のツイッターアカウントのフォローをチェックしてみたら、小川榮太郎やケント・ギルバート、櫻井よしこ、有本香、竹田恒泰、生田よしかつといった安倍応援団の面々や、DAPPIやブルーといった有名ネトウヨアカウントまでがずらり。前述の言動を見てもわかるが、ようするに、ネトウヨから支持を集めているだけでなく、自身がネトウヨ思想の持ち主なのだ。
こんな人物がキャスターに就任したら、『ワイド!スクランブル』がどんなことになるかは、火を見るより明らかだろう。
『ワイド!スクランブル』は、ほかのワイドショーがスルーしているような地味な政治ネタもきちんと報道。安倍応援団コメンテーターも出演するが、それでも政権擁護をそのまま垂れ流させるようなことはなかった。しかし、小松アナがMCになれば、番組の性格は大きく変わるだろう。単に政権批判が消えるというだけでなく、政権批判に対して「対案を出せ」「印象操作だ」と批判封じのカウンター番組になってしまうだろう。
そして、小松アナの就任により『ワイド!スクランブル』が政権擁護番組になるというのは、テレビ朝日から政権批判がほぼ消えることを意味している。
『報ステ』の豹変については、すでに指摘したが、『モーニングショー』もある時期から政治的トピックの扱いが極端に少なくなっており、玉川徹や青木理にそうめんについて議論させているありさまだ。陰謀論ではなく、確実に、テレビ朝日というテレビ局から政権批判が消滅しようとしているのだ。
いや、テレビ朝日のだけの問題ではない。TBSの『ひるおび!』がすでに、政権擁護番組になっていることを考えると、お昼のワイドショーは安倍応援団一色。『バイキング』の坂上忍がまだ一番マシという状態になるだろう。
テレビはオワコンなどと言われながらも、森友・加計問題の例を見ても明らかなようにテレビが報道するかどうかが世論に大きく影響しているのは言うまでもない。テレ朝から政権批判が消え、お昼のテレビから政権批判が消える。このような言論状況で、三選した安倍首相が改憲に乗り出せば、いったいどうなってしまうのか。これから先、また森友・加計問題のような不正が起きても、テレビではまったく報道されず多くの国民は知らないまま不正がまかり通る。そんな未来がすぐそこに来ている。いよいよ本当にヤバい。
(編集部)
最終更新:2018.08.09 10:17
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