レイプ被害告発会見に山口敬之が反論、その内容がヒドすぎる! 安倍応援団も詩織さんにセカンドレイプ攻撃

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不起訴処分の1カ月以上前に出版された『総理』(幻冬舎)

「準強姦疑惑」の“安倍官邸御用ジャーナリスト”・山口敬之氏が、被害女性である詩織さん(28)の記者会見を受け、昨夜、自身のFacebookに「週刊新潮記事に関する会見について」と題する「反論」を投稿した。

 詩織さんは強い決意のもと、顔と本名を明らかにして記者会見にのぞんだのに対し、山口氏はFBに書き込むだけ。森友問題で籠池泰典前理事長が証人喚問を受けた際、昭恵夫人がFBでのみ反論したのと同じで、結局、社会にきちんと説明する気などさらさらないらしい。

 しかもその内容は、またしても詩織さんを貶める“セカンドレイプ”そのものものだった。

 まず山口氏は、〈週刊新潮の私に関する記事の情報提供者であった女性が記者会見を行ったとの事なので、見解を申し述べます〉と、この期に及んで詩織さんをわざと「情報提供者」と呼ぶ。これだけでも、山口氏に誠実さのかけらもないのは明白だが、いったい会見のどこに「反論」したのか見てみると、山口氏は〈法に触れる事は一切していません〉〈不起訴という結論が出ました。よって私は容疑者でも被疑者でもありません〉と前回同様の主張を繰り返しているだけだった。

 そもそも、詩織さんは不起訴が不当だとして訴えているのだから、反論にすらなっていない。そのうえ、山口氏が詩織さんを酩酊状態でホテルに連れ込み、性行為を行ったこと、そして避妊具をつけず膣内射精をしたことは、タクシー運転手の証言やホテルの監視カメラ、事件後の詩織さんと山口氏のメールのやり取りから明らかだ。実際、山口氏も「週刊新潮」(新潮社)の取材でそのことは否定していない。

 準強姦罪は女性の心神喪失・抗拒不能に乗じて姦淫した場合に成立するものであり、こんなたわごとで〈法に触れる事は一切していません〉と言っても、なんの説得力もないだろう。

 だが、山口氏のこのFBでの「反論」がもっと悪質なのは、自己弁護でデタラメを言い募り、厚顔無恥にも“自分ははめられた”と印象付けようとしていることだ。山口氏は「反論」をこう締めくくっている。

〈他方、不起訴処分はすでに昨年7月に全ての関係者に伝えられています。私はこの結論を得て、本格的な記者活動を開始しました。
 当該女性がもし、純粋に不起訴という結論に不満だったなら時をおかず不服申立していたと考えます。なぜ私がメディアに露出するようになってから行動が起こされたのか、なぜ当該女性の主張を一方的に取り上げた週刊誌の報道が先行したのかなど、今後の対応を検討する為に全体状況を理解しようと努力しています。〉

 よくもまあ、こんなデタラメを平気で口にできたものだ。周知の通り、山口氏は『総理』(幻冬舎)という“安倍ヨイショ本”で脚光を浴びたが、その発売日は昨年6月9日。また同日発売の「週刊文春」(文藝春秋)でも「TBSエース記者独立第一弾!」として安倍官邸についての集中連載をスタートさせている。不起訴処分の昨年7月22日よりも1カ月以上前の話であり、つまり、“不起訴を受けて本格的な記者活動を始めた”などという説明からして真っ赤な嘘なのだ。

 また、続く“不服申し立てをするならすぐにやったはず”との言い分にいたっては、悪辣な印象操作と言うほかない。

 検察審査会への不服申し立てに時間がかかったことについては、ホテルの防犯カメラやDNA鑑定、タクシー運転手やベルボーイなどの証言等の証拠申請の準備が必要だったからだと詩織さん自身がきちんと説明している。

 また、詩織さんは「週刊新潮」の記事が出る前々から、警察・検察の判断に疑問をもち、告発の動きを見せていた。実際、当の山口氏じたいが「週刊新潮」に書かれる直前のFBで、〈当該人物側がこの話をスキャンダルとして各種メディアに売り込もうとしていたことは察知していました〉と投稿し、予防線を張っていた。

 性犯罪を被害者自らが告発することのリスクや覚悟を完全にネグり、これを「売り込み」などと表現することじたいが、完全にセカンドレイプだが、いずれにしても、準強姦疑惑報道が山口氏のメディア露出以降になったのは、手続きや媒体側の都合であって、詩織さんの意思とは関係がない。

 山口氏はそれを知っていながら、まるで自分が売れっ子になったから「売名」目的で告発したかのような印象操作、デタラメをふりまいたのだ。

 このように、山口氏の言い分は「反論」になっていないばかりか、さらに詩織さんの尊厳を傷つけるまさにセカンドレイプとしか言いようのないものだ。

 ところが、驚いたことに、安倍応援団やネトウヨはこんな山口氏を擁護し、逆に会見をおこなった詩織さんをバッシングし始めた。家族の希望で苗字を伏せていた詩織さんの苗字を暴き、〈詩織さんはシャツの胸元開け過ぎで説得力ない〉〈同情を逆手に取った売名行為です、女から誘って男がはめられた〉〈証拠を出してもない、女性証言のみで捜査した警察が馬鹿じゃね?〉〈はい、詩織さん、左翼まわしもの確定ですね〉などとわめきはじめたのだ。

 呆れてものも言えない。そもそも、“胸元を開けていたらレイプされても仕方がない”という発想は異常だが、それ以前に、詩織さんは昨日の会見で「胸元開け過ぎ」な服など着用していない。

 また、“詩織さんの証言だけで他の証拠がない”というのも事実ではない。会見で明かされた元捜査員の証言以外にも、ホテルの監視カメラには詩織さんを抱えるように引きずる山口氏の姿が映っており、「週刊新潮」には山口氏が嫌がる詩織さんを無理やりホテルに連れ込んだことを裏付けるタクシー運転手のこんな証言が掲載されている。

「女性は何度か“駅の近くで降ろしてください”と訴えたのですが、男性が“何もしないから。ホテルに行って”と。それで、結局2人をホテルに連れて行ったのですが、到着しても彼女はなかなか降りようとしませんでした。けれど最終的に彼女は体ごと抱えられて、座席から降ろされたのです」(5月18日号)

 さらに、山口氏は事件後、詩織さんのメールに対して、〈あなたを部屋に移してベッドに寝かした〉〈(自分は)別のベッドで寝ました〉あなたは私の寝ていたベッドに入ってきた。(略)あなたのような素敵な女性が半裸でベッドで入ってきて、そういうことになってしまった〉などと言い繕っている。仮に泥酔した女性が半裸でベッドに入ってきたとして、レイプに正当性など微塵もないが、「週刊新潮」が報じたホテル関係者の証言は、山口氏の言い訳メールの矛盾をも暴くものだった。

「客室に2つあったベッドのうち1つしか使われた形跡がなかった。しかも、そのベッドには血痕がついていた」(5月25日号)

 さらに言えば、安倍応援団とネトウヨは、詩織さんが会見で「共謀罪の審議止めろ」と発言したとして〈完全に工作員〉〈共謀罪つぶしのための神輿〉なる虚妄のレッテル貼り、攻撃を仕掛けているが、これも極めて悪質なデマである。

 まず、詩織さんは会見で「共謀罪の審議止めろ」などと一言も言っていない。質問のなかで、今国会で共謀罪の審議が優先されたことで性犯罪の厳罰化法案の成立が後回しされていることについて疑義を呈しただけである。

 無知なネトウヨのために説明しておくが、もともと、この性犯罪の罰則強化と非親告罪化を柱とする刑法改正法案は、自民・公明両与党が今国会での成立を明言してきたものだ。とくに公明党からは刑法改正案を共謀罪よりも先に審議すべきだという意見が出ており、たとえば3月30日には山口那津男代表が安倍首相に対し「(債権規定の見直しなどの)民法改正案と(性犯罪を厳罰化する)刑法改正案を優先して審議すべきだという認識は持っている」と伝えていた。実際、政府は刑法改正案を共謀罪よりも先に国会に提出している。

 ところが、自民党と安倍首相は、今国会での共謀罪成立を最優先とし、4月6日に強引に衆院審議入りさせた。通常、国会では先に提出した法案から優先的に審議するので、これは異例のこと。そして、共謀罪に関連する議論の紛糾もあり、刑法改正法案はどんどん日程がずれ込んでいる状況なのである。

 ようは、ネトウヨたちは安倍首相のオトモダチである山口氏を擁護するためだけに、詩織さんが言ってもないことをでっち上げ、バッシングに明け暮れているのだ。

 何度でも繰り返すが、こうした山口氏の反論未満の言いがかりも、ネトウヨのバッシングも、完全に詩織さんに対するセカンドレイプに他ならない。本来、なすべきことは、性犯罪の卑劣な実態を直視し、そして権力による“もみ消し”の疑惑を徹底追及することだ。詩織さんは昨日の会見でこう語っている。

「私の一番の願いは、今後、同じ思いをする方が出てきてほしくはないということです。このことはあなたにも、ご家族にも友人にも誰にでも、起こりうることです。このまま沈黙し、法律や捜査のシステムを変えないのであれば、私たちはみなこの犯罪を許しているのと同じことではないでしょうか」

 安倍政権を忖度している捜査当局関係者とマスコミ関係者は、この言葉に真摯に向き合うべきだ。

最終更新:2017.12.04 03:36

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