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つるの剛士が「保育園落ちた日本死ね」の流行語選定を批判! 親たちの困難を理解せず国家への批判を許さない危険な思考
つるの剛士オフィシャルサイトより
12月1日に発表された2016年の「ユーキャン新語・流行語大賞」。大賞は、25年ぶりのリーグ優勝を果たした広島東洋カープの緒方孝市監督が放った「神ってる」が輝いたが、ベストテンにランクインした「保育園落ちた日本死ね」をめぐり、ネット上では「死ねってヘイトスピーチだろ」「どこで流行ったの?」などと炎上。この問題を国会で取り上げた民進党の山尾志桜里議員が受賞した点も槍玉に挙げられている。
しかも、今月2日にタレントのつるの剛士がこのようにツイートし、批判はさらに加速した。
〈『保育園落ちた日本死ね』が流行語。。しかもこんな汚い言葉に国会議員が満面の笑みで登壇、授与って。なんだか日本人としても親としても僕はとても悲しい気持ちになりました。きっともっと選ばれるべき言葉や、神ってる流行あったよね。。皆さんは如何ですか?〉
「こんな汚い言葉」「日本人としても親としても悲しい」……。このつるのの投稿は、はっきり言って問題を矮小化するものだ。
まず、「もっと選ばれるべき言葉があった」というが、「保育園落ちた日本死ね」という匿名ブログが国会で取り上げられ、待機児童が大きな社会問題として捉えられるようになったのは明白な事実だ。ブログの文章が政治を動かす力をもった。それを今年のトピックに選ぶことは、何も不自然ではない。
そして、どうしてこの言葉がそれだけの訴求力をもったかといえば、「日本死ね」という表現に、いま子をもつ親が抱える現実の切実さが表れていたからだ。
子を保育園に預けなくては復職できない。でも、認可外までハードルを下げても見つからない。仕事を続けたい、だいたい会社を辞めれば生活は立ち行かない。他方、総理大臣は「女性が輝く社会」などと言う。輝くって、どうやって? ……そんな行き場のない、追い詰められた末に出てきたのが「日本死ね」というフレーズだったはずだ。実際、現状は「保育園落ちた 政府はどうにかしてください」とか「保育園落ちた つらいです」とか、そんな悠長な状態ではけっしてない。
しかも、待機児童は現役親世代だけの問題ではない。子をもたない女たちも、いかに「保活」が大変か、その現実を知っている。現在、働く女性のじつに6割が非正規雇用だ。さらに非正規の育休復職率はわずか4%。仕事が不安定な上に、子どもを産んでも保育園に預けられないのならどうすればいいのか。そうした不安が多くの女性に子づくりを躊躇させている。待機児童問題は、少子化にも影響を与えているのだ。
なのに、そうした現実を告発したものを「汚い言葉」と呼んでしまえば、責任の所在は国ではなく親たちにはね返ってくる。つるのが「親として」と言うのなら、悲しむべきは「日本死ね」としか怒りのぶつけようがないくらい追い詰められた親たちがこの国には数多くいるという現実にあるはずだ。
だが、このように言ってみたところで、つるのにはきっと届かないのだろう。
そう思うのは、つるのはこれまでも、安倍政権の政策を無批判に“応援”してきたからだ。
たとえば、昨年7月、安保法制の衆院通過後には、〈「反対反対」ばかりで「賛成」の意見や声も聞きたいなぁって報道やニュース観ていていつも思う。賛成派だって反対派だって平和への想い、戦争反対の想いは同じ〉〈強行採決。。いや、民主主義に則った多数決だとおもいます〉などとツイート。さらに同年9月には、こんな投稿も行っている。
〈僕の小学校時代(大阪、高槻)は国旗掲揚、国歌斉唱廃止、「皆平等」ということで運動会の点数制度廃止、何故か隣国の事を学ぶ授業。今考えればかなり偏った教育を受けていた地域、時代でした。イチ先生の歪んだ思想に多数の子供達を巻き込まないで頂きたい。断固。〉
偏った報道、偏った教育──。つるのの批判の仕方を見ていると、もはやネット右翼と変わらないが、今回、つるのが「日本死ね」という表現に対して「汚い言葉」と反応したのは、ネット右翼と同様に「日本を誇れ」という思いが強いからなのだろう。しかし、そうして日本を誇ることを強要し、「自国に対して汚い言葉を使うな」と言っていると、それこそ北朝鮮のような国家と何も変わらなくなってしまう。そのことに、彼ははたして気づいているのだろうか。
(編集部)
最終更新:2017.11.12 02:00
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