舛添が公私混同で辞任なら安倍首相も…政治資金でキャバクラ、ウニの爆買い、コスメにジュエリー、ガリガリ君

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自由民主党HPより


 舛添要一東京都知事がいよいよ正念場に追い詰められた。一時はこのまま逃げ切ると思われたが、自民党までが不信任案を提出する構えを見せ、舛添都知事は辞職か解散しか選択肢がなくなった。

 たしかに、舛添都知事の一連の政治資金私的流用はセコくて、批判されるのも当然だが、一方で、舛添ひとりが集中砲火を浴びていることは、不思議でならない。

 というのも、いま、舛添氏が追及されている程度のことは、みんなやっているからだ。安倍政権の閣僚や自民党の政治家たちも同じように政治資金を使って私的な旅行を楽しみ、趣味の品や嗜好品、日用品を購入し、飲食店やクラブに通ってどんちゃん騒ぎを繰り広げている。

 なかでもセコくてひどいのが、誰あろう総理大臣、安倍晋三だ。その政治資金収支報告書を見ていくと、まさに、舛添以上の公私混同と思われる支払いが山ほど出てくるのだ。

 安倍首相の公私混同といえば、有名なのが、庶民のささやかな嗜好品の代表的氷菓たる、あの「ガリガリ君」を政治資金で賄っていたことだ。

 この問題は、日刊ゲンダイが1万円以下の支出に関わる「少額領収書」の開示請求を行ったところ発覚したものだが、2012年9月5日に発行された「セブンイレブン衆議院第一議員会館店」の領収書には、こう記載されている。

1日分のビタミン炭酸 @168×2 ¥336
ユンケルローヤルD2 @1,000×2 ¥2,000
赤城ガリガリ君コンポタージュ @126×2 ¥252

 ……事務所スタッフが「ガリガリ君」をおやつとして買ったのか、はたまた安倍氏本人が齧り付いたのかはわからない。

 しかし、この領収書が発行される5日前である8月31日の安倍氏のFacebookには、秘書が〈安倍さんはコンビニで大好きなアイスを購入。秘書にも「ガリガリ君」買ってくれました(^.^)〉と綴っており、これも同様のものと考えて間違いないだろう。

 小学生だってお小遣いから捻出して自腹で「ガリガリ君」を買っているというのに、大物政治家が政治資金で落としているとは……。たかが252円と笑って済ませてはいけない。わずか252円のものまで政治資金で買っているということは、ほかのもっと大きな買い物でも同様のことをやっていると考えるべきなのだ。

 実際、探していくと公私混同はいくらでも出てくる。たとえば、安倍氏は大のお気に入りだという例の“若返りの水”も政治資金で購入していた。

 安倍氏が「ダメだ。あの水じゃなくちゃ、ぜったいダメなんだ」と言う程に愛飲しているのは、「神立の水」なる天然温泉水。この水の販売元の社長およびその父の経営指導は“「お告げ」や「悪霊ばらい」を行うなどオカルトじみていた”(日刊ゲンダイ15年1月17日付)といい、安倍首相は以前にこの水の広告塔を務めるほどに安倍家とは深いつながりをもっていた。この怪しげな水について、安倍氏は10年の事務所費として計3万1920円分を計上している。

 安倍首相が若返りたいのか何なのか知らないが、一般社会では会社員が「美容のためにコントレックスじゃなきゃダメ」と言って経費でそれを落とすことなどできるはずがない。

 自分で飲む水くらい自腹で買えよ……と思うが、安倍氏の支出はこのようにケチなだけではない。いわゆる夜の店、キャバクラやスナックといった女性が接客する飲食店での支出も政治資金から出していたのだ。

 安倍首相が代表を務める「自由民主党山口県第四選挙区支部」は、10年4月12日は福岡の歓楽街・中州にあるクラブ、同年6月5日には北九州市のキャバクラなどの費用を政治活動費の「交際費」「渉外費」として計上。こうしたクラブやキャバクラ、スナックでの支出は、09年から11年の3年間のあいだで〈少なくとも59回、計126万2150円〉(しんぶん赤旗13年1月29日付)にものぼる。

 しかも、不適切な支出ではないかと指摘を受けて、その後、収支報告書を訂正したものの、〈少なくとも10回分、17万7,000円を訂正せず、支出項目に計上し続けている〉(同前)という。つまり、キャバクラやスナックでの飲み食いは政治活動だと“正当化”したのだ。舛添氏を「恥知らず」と呼ぶなら、安倍首相だって結構な鉄面皮である。

 疑惑はまだある。安倍氏の政治資金管理団体「晋和会」の近年の収支報告書を見ると、地元・山口県の水産加工会社から高額の購入を行っているのだ。その水産物の会社は複数にまたがるが、いずれも「ウニ」を売りにした会社。こうした会社から、11年は14万6060円、12年にいたっては75万5695円分も「贈答品」として買い上げている。まさに“ウニの爆買い”である。

 また、ウニ以外にも、「贈答品費」「慶弔費」として、11年には真珠で有名なジュエリーメーカー「ミキモト」で9万7020円、デンマークの高級陶磁器メーカー「ロイヤルコペンハーゲンジャパン」では11年に計51万5869円、12年は計75万5920円、13年は計26万2500円を支出。そのほかにも、女性に人気のフランスコスメブランド「ロクシタン青山本店」でも購入の記載(6万7200円/12年)がある。いずれも安倍氏の妻・アッキーこと昭恵夫人が好みそうなブランドばかりだ。

 さらに、安倍氏の山口県萩市の伝統工芸である萩焼も“お気に入り”のようだ。窯元・岡田窯からは、11年に計74万5397円、12年は計85万265円、13年は計88万9787円、14年は計75万946円分をお買い上げ。なんと4年間で約324万円分も陶器を買い求めているのだ。

「贈答品費」「慶弔費」での物品購入は禁止されていないが、ウニや萩焼の爆買い、ミキモトのジュエリーやロクシタンの化粧品が本当に政治活動上に必要な「贈答品」「慶弔費」なのか。これって、小渕優子・元経産相の政治資金疑惑報道の際、地元名産の「下仁田ネギ」約60万円分をはじめ、ストールやベビー用品などを「贈答品」として政治資金で購入していたことが発覚したのとまったく同じ疑惑ではないか。

 このようなカネ遣いなのだから、「会合費」という名の飲み食いでは湯水のように政治資金を投入。「晋和会」の計上だけで、11年には合計で757万2723円(1回1万円以上の「会合費」の合計。以下同)、13年は469万2053円、12年はなんと1407万6874円もの大金が飲み食いで消えている。

 当然、1回の支払いで10万円超えなんてザラ。収支報告書の支払先の欄には有名ホテルに高級フレンチ店、高級焼肉店の名前が並ぶが、とくに目に余るのが12年9月10日の支出先だ。

 この日、「会合費」として支払われている先は、まず、安倍首相がよく利用する高級シティホテルのANAインターコンチネンタルホテル東京を運営する「パノラマ・ホテルズ・ワン」(当時)に計42万4698円、安倍首相御用達の銀座のワインバー「アムルーズ」に4万68円、高級寿司店で有名な「銀座久兵衛」に6万9300円、フレンチレストラン「FOREST」で2万9436円、さらに三國清三シェフが腕を振るうオテル・ドゥ・ミクニの運営会社「ソシエテミクニ」に7万2300円、ダメ押しは高級フレンチの最高峰とも呼ばれる「シャトーレストラン ジョエル・ロブション」で16万2786円。1日で使った金額は締めて79万8588円だ。

 この店のラインナップには思わずバブル世代のミーハーな感覚を感じて薄ら寒くなるが、どんな一流企業の接待族だって一日でこんなに高級店ばかり回ることはないだろう。時期的に考えると、この日は総裁選告示の4日前。票固めのために高級店接待でも行っていたのかもしれないが、そうだとしたら尚更、党内政治のために血税が使われていることに怒りを覚えずにいられない。

 しかも姑息なのは、この豪遊の翌日11日、安倍氏の秘書がFacebookにこんな投稿を行っていることだ。

〈晩ご飯を食べていないのに気づいた安倍さんが『お腹すいた…「天や」行こう!』と言い出し、みんなで近所の「天や」で深夜の天丼!! …カロリーが気になります^^〉

 前日には政治資金でこれだけの高級店で飲み食いしておいて、ワンコイン天丼チェーンで写真を撮って庶民アピール……。もはや詐欺的行為である。

 また、安倍首相は、以前、本サイトで言及した麻生太郎副総理の「愛人」と一部報道で噂された会員制サロンバーを運営する女性の会社にも、12年に2回、計15万円を支出している。麻生副総理も政治資金からこの会社に13年には798万円も支払っており問題視されているが、同じように政治資金でお友だちが懇意にする女性の会社にお金を落とすなんて、安倍首相はなんと副総理思いなのだろう。

 とまあ、納税者にとっては暴挙としか思えない、安倍首相の政治資金の使いっぷり。安倍首相は舛添都知事の疑惑に対し、「公私混同という厳しい指摘がなされている以上、政治家は『信なくば立たず』であるので、しっかりと説明責任を果たしていくことが大切だ」と述べているが、国民からの信頼が大事だと言うのなら、総理自ら、政治資金で「ガリガリ君」を買うことの正当性から説明していただきたいものだ。

 しかも、安倍首相の政治資金疑惑は、使い途だけではない。その集金にも、かなり怪しげなものがいくつもある。そのへんは後編でお届けしよう。
(田部祥太)

最終更新:2017.12.05 09:56

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