山本太郎が『日曜討論』で指摘したことは妄想じゃなかった!

安保法制の狙いは武器輸出、経団連=軍需産業が安倍政権を動かしていた! 税金使った武器バラマキ計画も

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経団連の総会に出席し挨拶する安倍首相(首相官邸HPより)


 安保法案の参院強行採決が確実視されるなか、経団連(日本経済団体連合会)がある提言を発表した。それは「防衛産業政策の実行に向けた提言」と題され、武器など防衛装備品の輸出を「国家戦略として推進すべきだ」と主張するものだ。

 このことを報じた朝日新聞(9月10日付)によると、経団連は〈審議中の安全保障関連法案が成立すれば、自衛隊の国際的な役割が拡大するとし、「防衛産業の役割は一層高まり、その基盤の維持・強化には中長期的な展望が必要」と指摘〉。10月に発足する防衛装備庁に対して〈「適正な予算確保」や人員充実のほか、装備品の調達や生産、輸出の促進を求めた〉という。

 やっぱりそういうことか。じつは、安倍政権が集団的自衛権容認、安保法制を強行しようとする背景に、米国の意向だけでなく、経団連の要望があるとの見方は以前から根強く囁かれていた。

 たとえば、今年7月19日、NHKの『日曜討論』にVTR出演した山本太郎・参院議員はこう主張していた。

「この法案の真の目的というのは、安全保障ではなく、経団連の金儲けなんです。国内には武器を製造する企業がたくさん存在しています。たとえば、イージス艦1隻に2500社、戦闘機1機に1100社、国内企業がかかわっている。武器輸出の解禁(は)、経団連の提言、リクエストです。これを実現させたのが安倍総理。選挙のときの組織票、日頃の資金提供へのご恩返しなんですね」 

 また、山本議員は9月13日の同番組でも同様の指摘をしていた。

 たしかに、製造業中心の経済団体・経団連には、軍需産業、武器製造企業が数多く参加している。会長の榊原定征・東レ相談役最高顧問、宮永俊一・三菱重工業社長、中西宏明・日立製作所会長、内山田竹志・トヨタ自動車会長。現執行部の顔ぶれを見ても、すべて戦闘機事業にかかわる“軍需企業”だ。

 そして、経団連は、奥田碩会長時代から改憲と安保問題といった政治問題に踏み込みつつ、武器輸出三原則の見直しをたびたび迫ってきた。

 昨年4月、安倍政権は「武器輸出三原則」を撤廃し、「防衛装備移転三原則」に変更した。それまで原則的に禁止してきた武器や兵器、それに関連する技術などの輸出を認める犯罪的な政策転換を行ったが、これも、経団連のリクエストに応えたものだった。

 だが、「防衛装備移転三原則」では、一応、武器の輸出を「平和貢献・国際協力の推進に資する」「日本の安全保障に資する」場合と限定しており、武器を大々的に輸出するためには、「国際協力」「安全保障」の範囲を広げる必要があった。そこで、経団連はさらに集団的自衛権容認、安保法制の成立を安倍政権に働きかけてきたのだ。つまり、自衛隊が「地球上のあらゆる場所」に出かけることのできる体制をつくることで、これもあれも日本の安全保障に資すると、さまざまな国に武器を輸出することができるようになるというわけだ。

 事実、防衛省と日本の軍需企業関係者は、かなり早い段階から、武器商戦に前のめりになっている。

 昨年6月、フランスのパリで開かれた世界最大規模の武器見本市「ユーロサトリ」に、日本ははじめて本格的に参加。音頭をとったのは防衛省で、三菱重工、東芝、NEC、日立製作所、川崎重工、富士通らの企業とで「日本パビリオン」を設けた。

 この模様に密着したNHKスペシャル『ドキュメント“武器輸出”防衛装備移転の現場から』(14年10月5日放送)では、防衛省の堀地徹・装備政策課長が「国でやっぱりPRできる、出展できる。(日の丸の)フラッグのもとでみなさんの士気も上がるし団結力もあると思うんですよ」と笑顔で語っている。

 武器輸出解禁からわずか2カ月、安倍政権の動きを事前に知らなければ、絶対に出展準備するのは不可能だ。この事実ひとつをとっても、いかに政権と経団連=軍需企業が連携しているかがよくわかるだろう。 

 しかも、ここにきて、安倍政権は新たにとんでもない武器輸出政策を検討し始めている。開発途上国などを対象に、武器購入資金を低金利で貸し出すほか、政府自ら日本の防衛関連企業から武器を買い取り、相手国に贈与する援助制度を創設するのだという。

 つまり、国民の血税を使って、海外に日本製の武器をばらまき、最終的に日本の軍需産業を儲けさせようというわけである。

 しかも、これは防衛省や自民党政治家にとってもこのうえなく美味しい利権になる。

 防衛省はこの武器援助を通常のODAとは別枠で運用する予定だ。特殊法人をつくり、その法人を通して開発途上国や日本の防衛関連企業への直接の資金援助を行うのだという。すでに、日本の防衛産業には多くの防衛官僚、自衛隊幹部が天下りしているが、武器援助事業への参入を狙う新興企業やこの特殊法人が彼らの新たな天下り先になる。

 さらに、援助事業への参入を口利きすることで、自民党の政治家たちは軍需企業、防衛産業から巨額の献金を懐に入れることが可能になる。

 防衛省の堀地装備政策課長は、先のNHKの番組で「(防衛装備移転は)安全保障対話の、ひとつの大きなツールになっていると思いますね」と語っていたが、実際は逆だろう。「安全保障」という名目が、軍需企業、防衛省、政治家の金儲けの「大きなツール」として使われているのだ。

 そして、安保法制が成立すれば、この金儲けはさらに広がり、日本に巨大な利権をもった軍産複合体がが誕生することになる。

 しかも、その金儲け、利権のためにばらまかれる武器は確実に、海外で“人殺し”に使われる。防衛装備移転三原則では「輸出先の国から第三国に日本の事前同意なしに(武器を)移転することも一定の条件のもと認められて」おり、一旦、海外に輸出されたら、どこの国で使われるか追跡は不可能だ。現に、元アメリカ国務省日本部長のケビン・メアはNHKの同番組で、「アメリカに部品を供給すれば、その先、どこに輸出されるか追跡する術はない」と言い切っている。すなわち、日本がつくり、売った武器・兵器が、紛争地域やISなどの過激派組織の手にわたることだって十分考えられるのである。

 まさに、日本を「死の商人」にしようとしている安倍政権と経団連=軍需企業──。

 最後に、「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社)14年6月21日号が掲載した「日本の軍需企業トップ10」の企業名を紹介しておこう。

 1位・三菱重工業、2位・三菱電機、3位・川崎重工業、4位・NEC、5位・IHI、6位・富士通、7位・コマツ、8位・東芝、9位・日立製作所、10位・ダイキン工業──。

 国民は安倍政権だけでなく、こうした「死の商人」企業に対しても、製品の不買運動などで、徹底批判を行っていく必要がある。
(水井多賀子)

最終更新:2018.10.18 01:42

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