催奇形性成分、死に至る場合も!? 効かないサプリ、体に悪い健康食品

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『病気になるサプリ 危険な健康食品』(幻冬舎新書)

 グルコサミン、コラーゲン、ビタミンC……、これらはサプリメント取扱い業者の人気成分のベストスリーだ(日本通信販売協会サプリメント部会の調査による)。サプリなどの健康食品市場の売上は、年1兆8200億円と、いまや市場規模2兆円に迫ろうかという巨大産業。利用者は、主にダイエットやコレステロール値の改善、カルシウムの補給を目的にしており、「年齢が上がるほど複数のサプリメントを利用する割合が増える傾向がある」という(内閣府消費者委員会「消費者の『健康食品』の利用に関する実態調査」2012年)。

 同調査では購入時に重視するポイントとして、「効き目・有効性」を重視する人が約5割ともっとも多いのだが、その効き目はどれくらいのものか。

◯グルコサミン「関節の動きをなめらかにするとして人気ナンバーワンのサプリ」「骨関節炎を軽減させる効果があるとされるが、その効果はないとする研究結果もある」「短期間、適量の摂取は安全だが、過剰に長期間とり続けると血糖値、血圧、血中コレステロールが上昇する」

◯コラーゲン「全身のタンパク質の3割を占める」「飲んでも肌に直行してそのままコラーゲンになるわけではない。塗っても皮膚内部には吸収されず、せいぜい皮膚表面の保湿効果がある程度」

◯ビタミンC「アセロラ、ミカン、パセリなどにふくまれる水溶性のビタミン」「サプリの99%が安価で大量に人工生産される合成品を使用。過剰摂取によるもっとも一般的な症状は、吐き気、下痢、腹痛」「多量摂取したところで、疾病が治癒したり、より健康が増進するものではない」

 なんとその効き目には疑問符がつくどころか、懸念される副作用がたくさん詰め込まれているのがサプリだというのだ。『病気になるサプリ 危険な健康食品』(左巻健男/幻冬舎新書)によれば、そもそも、サプリメントは米国の食品区分の1つである栄養補助食品(ダイエタリー・サプリメント)の訳語。日本におけるサプリの定義はあいまいで、一般には健康食品のうち、錠剤やカプセル、顆粒状のものを指すことが多い。

 同書によれば、「世間には、『健康食品・サプリは薬ではなく食品だから安全』というイメージが浸透しているようですが、実際には数多くの健康障害報告があります」「サプリは、錠剤やカプセルの形になっていることが多いので、簡単に過剰摂取することが可能です。カルシウムやビタミンDなど、過剰摂取による健康被害をもたらすサプリは少なくありません。しかも、乳幼児、高齢者、妊婦、授乳婦、肝機能や腎機能が低下している人たちの場合、通常量のサプリであっても問題が起こる可能性があります。たとえば、ビタミンAは、妊娠初期に過剰摂取すると催奇形性(奇形を生じさせる性質)があるといわれていますが、どれくらいの人がこのことを知っているでしょうか。これらの警告はサプリには表示されていません」というのだ。

 このほか「ビタミンE」は「サプリとして過剰摂取すると死亡率が高まるとの報告も出され、注意が必要」。「ビタミンB群」も「オーストラリアで1日50ミリグラム以上のビタミンB6を摂取した女性が、足や下腿部に灼熱痛など末梢神経障害になったという報告がある」。「ビタミンD」は「長期間、過剰摂取すると、血液中のカルシウム濃度が上昇して、血管の内壁や心臓、肺、胃、腎臓などの内臓にカルシウムが沈着しやすくなる。とくに腎臓に沈着すると尿毒症になり最終的に死に至る」という。

 また、錠剤にするために多くの食品添加物も使われている。

「一定のかさや質量および形状を保つために、乳糖、結晶セルロース、微粒二酸化ケイ素などが使われます。他に、着色料、甘味料、香料、保存料などが使われる場合もあります」

 乳糖を消化しにくい人は、お腹がゴロゴロしたり、下痢をするおそれがあり、また、二酸化ケイ素は消化・吸収されないために体への影響はほとんどないとされているが、ガラスの成分だというのだ。わざわざ、体に悪い成分を取り込んでいるというわけだ。

「健康食品・サプリは、効能効果はもとより、品質や安全性についても医薬品のような厳しいハードルがなく、全て業者に任せられている状態です。行政のチェックを受けず業者任せで提供されているのですから、かなり不安ではないでしょうか」

「サプリの原料や添加物などは、格安な中国産を輸入したものが多いようです。(中略)サプリの原料や添加物については、国内に明確な品質基準がないので、製造会社、販売会社を信用するしかないというのが現状です」

「医薬品の成分量はどの会社の商品であっても統一されており、定期的にその薬価が見直されています。それに比べ、サプリの価格はさまざまです。安いものもあれば、法外に高いものもあります。消費者のなかには高いほうが質がよくて効能もよい、と思っている人もいるので、業者はそれを逆手にとって、割高な価格設定がされている場合もある」

 実はサプリの原価率は10%以下と言われている。

「とくにビタミン系で天然物からの抽出ではなく合成したものは、原価率が卸値の10%を超えることがないようです。それはつまり、原価5円のビタミン系サプリがコンビニやドラッグストアに50円で売られ、店頭では100円の価格になっているということ」

 売れれば売れるほど業者はボロ儲け。さらに、その売上の一部は「疲れがとれて元気になれそう」「不足している栄養を補充できそう」「簡単にやせられそう」といった「効く」イメージを演出している巧妙な広告の原資にまわされ、ますますサプリが売れる……というビジネスモデルなのだ。「健康になる」というよりも「カネになる」サプリということか。
(河内保雅)

最終更新:2014.08.15 06:29

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